百人一首のやり方や各種ゲームについて解説。競技かるた部の体験談も
こんにちは、学生広報スタッフの山田結瑞羽(スペイン語学科2年)です!
みなさんは百人一首はご存じでしょうか?
あまりなじみがない方も、マンガや映画などで大ヒットした『ちはやふる』と言われたら、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。
『ちはやふる』は百人一首を使った「競技かるた」の世界を描いた作品ですが、私自身、高校時代に部活動で競技かるたに3年間取り組みました。
また、百人一首を使ったかるた(=競技かるたとは別の一般的なかるた)は古くから伝わる遊びでもあり、日本の伝統文化などを世界に向かって発信する国際日本学科のnoteで取り上げるのにもいいかなと考えました。
そこでこの記事では、競技かるた部出身の私が、百人一首の魅力についてご紹介!
百人一首とは
百人一首って覚えるのが難しい?
競技かるたと一般的なかるたの違いは?
など、さまざまな疑問について自分の経験などを元にお話できればと思います。
百人一首とは
あらためまして、学生広報スタッフで、高校時代に競技かるた部に所属していた山田です。
まずは百人一首とはどういったものなのかを簡単にご紹介します。
百人一首とは、百人の和歌を一人につき一首ずつ選んで作られた詞華集(詩文の美しいものを選び集めた本)です。
上の引用でもでてきますが、百人一首は「小倉百人一首」と呼ばれることが多く、13世紀の前半に誕生したと推定されていますが、実際のところは不確かなところです。
百人一首を使った様々なゲーム(遊び方)
ひとくちに「百人一首」といっても、さまざまな遊び方があります。
ここでは代表的なものとして、
散らし取り
逆さまかるた
源平合戦
競技かるた
についてご紹介します!
散らし取り
100枚すべてを畳の上に置いて、札を取り合うかるた(一般的なかるた)です。
ルールについて見てみましょう!
読み手は一人
取る人は何人でもOK
読み札100枚、取り札100枚を使用
並べ方はバラバラでOK
読み手が、読み札を見ながら、和歌を読む
上(かみ)の句から下(しも)の句へと読み、下の句は2回くり返して読むのが一般的
お手つきはなし
全ての札を読み終えて、一番多くの札を取った人が勝ち
取り札を囲むように座って、複数人で遊ぶケースが多いと思います。
お手つきはありませんが、「1回お休み」「取った札の枚数から1枚減らす」などのローカルルールもあります。
逆さまかるた
通常のかるたは、読み手が読み札を読み上げ、取り手は畳の上に並べられた取り札を取ります。
逆さかるたは名前の通り、読み札と取り札とが「逆」になり、読み手は取り札の下の句を読み上げ、取り手は読み札を取ります。
それ以外のルールは、基本的に「散らし取り」と同じです。
源平合戦
2チームに分かれて戦う、団体戦です。
散らし取り同様に絵札と字札を分け、読み手を一人選ぶ
100枚の字札を50枚ずつに分け、それぞれのチームに渡す。両チームはそれを3段に整列して並べる
散らし取り同様に、読まれた首の字札を取る
相手のチームの札を取った時は、自分のチームの札を一枚相手チームに渡す。これを「送り札」という
札のなくなったチームの勝ちとなる
百人一首を使ったかるたは個人戦が基本となりますが、団体で行うのがこの源平合戦ということになります。
ゲーム名は、源義経などの活躍で有名な「源氏」と「平氏」の戦いが由来ですね。
競技かるた
全日本かるた協会が定めたルールに基づいて行われる競技のことです。
対戦は一対一
それぞれが取り札100枚の中から無作為に25枚ずつ選び、自分の前(「自陣」)に並べる
読手が読む短歌の上の句を聞き、相手より先に札を取る
「相手陣」の札を取った場合は、自陣の任意の札を相手陣に送る
陣の札がなくなった選手が勝ち
毎年1月に女子の日本一決定戦であるクイーン戦、男性の日本一である名人戦が行われています。
また、7月下旬には、高校生の日本一である、「全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会」が行われています。
競技かるた部での体験談
冒頭でもお話ししましたが、私は高校生のときに3年間、部活動で競技かるたをしていました。中学校まではまったくの未経験で、競技かるたに興味をもったのはマンガ『ちやはふる』を読んだのがきっかけです。
『ちはやふる』で漠然と関心を持っていたところへ、進学した高校にたまたま競技かるた部があり、ものめずらしさもあって入部を決めました。
百人一首の覚え方
百人一首は「百」とあるように百人が詠んだ和歌がセレクトされています。
競技かるたは札を取るスピードを競うわけですが、その最初の第一歩として、百人一首かるたに出てくる和歌を暗記が求められます。
和歌の暗記に関しては、正直、気合で一首ずつ覚えていくしかないのですが(笑)、一般的にいわれている効率的な覚え方もあるので、ご紹介します。
現代語訳を参照しながら、和歌のおおよその意味をつかむ
単語カードの活用(表裏にそれぞれ「上の句/下の句」を書いて、移動時間などに覚える)
くり返し声に出して和歌を詠む
和歌を書いて覚える
といった感じです。
また、「村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ」という句がありますが、上の句が「む」から始まるのは百人一首の中ではこの句しかありません。
なので、競技中に「む…」と最初の一字が読み上げられると、自動的に取り札は「きりたちのぼる あきのゆうぐれ」になり、これを「決まり字」と呼びます。
「決まり字」は全部で7首あり、かるたは札を取るスピードを競う競技なので、覚えておくとより素早く札に反応することができますよ。
競技かるた部は文化系クラブだけどフィジカルも重要!?
競技かるた部は文化系のクラブになりますが、体育会系のクラブといっても過言ではないくらい、なかなかハードだったりします。
例えば、相手に勝つためには、
自分に有利な札の配置(自陣において、特定の札の配置をあらかじめ決めておくなど)
試合の経過と共に変化する「決まり字」の暗記
瞬発力(読み手の声にいかに速く反応できるか)
札を取る俊敏な動き
など、さまざまなスキルが求められ、記憶力などの知力面だけではなく、体力や身体の動きなどフィジカル面も重要になってきます。
これらのことから、メンタル&フィジカルの双方を日々鍛える必要があり、それが「かるた」という響きからはなかなかイメージしにくいのですが、体育会系に近い厳しいトレーニングが求められる理由となっているわけです。
私は部活動を通じて大きな功績を残したわけではありませんが、「3年間続けてきた継続性」「暗記力や精神面で鍛えられたこと」が良い経験になったと感じています。
競技かるたの階級について
また、競技かるたには「階級」があります。
階級を上げるために大会に出場し、勝ち上がった上位何名がA級といった感じで、階級が与えられます。高校時代は、県内の大会に団体や個人で出場していました。
ちなみに、競技かるた部がある高校自体が少なく、私の出身地である広島市では3校しかありませんでした(数が少ないので、よくお互いの高校で練習し合いをしていました)。
競技かるたをやってみよう!
競技かるたについて紹介してきましたが、どうやって始めたらいいの? という人もいると思います。私のように中学や高校に競技かるた部があれば、入部して始めてみるのもいいでしょう。
また「一般社団法人全日本かるた協会」というものが存在し、所属することで同協会が主催する「かるた会」に出場することができます。
関西外大がある大阪府内には、
大阪なにはえ会
大阪大学かるた会
大阪暁会
東大阪かるた会
という4つのかるた会があります(2023年12月現在)。
ちなみに、関西外大にも競技かるたサークル「Magpie」という大学公認のサークルがあります。興味のある方は、入学後ぜひ覗いてみてください!
▼ 競技かるたサークル「Magpei」公式Instagram
百人一首「私の好きな句」の紹介
百人一首をやっていると、自然と「自分の好きな句」というのが出てきます。
好きな句ができると、より関心をもって競技やゲームに取り組めるわけですが、ここでは私が大好きな2首をご紹介します!
この和歌の詠み人は小野小町で、桜の花が色あせてしまったことと、自分自身も衰えてしまったことを、物思いにふけていることを表しています。
1つの言葉で2つの意味をもつ掛詞も複数使われ、
「世にふる」の「世」⇒「世代」という意味と、「男女の仲」という2つの意
「ふる」⇒「降る=雨が降る」と「経る=経過する」
「ながめ」⇒「物思い」という意味と「降り続く雨」という意味
といった感じです。
時間の経過とともに自らの姿も衰えたということを謳っていますが、あまりに早く流れる時のはかなさを嘆くだけではなく、「今からでもやり残したことを始めましょう」という解釈もあり、その点がとても好きで選びました。
この句は、平兼盛によって詠まれ、「人に知られないように恋をしてきたけど、隠しきれずに、恋がばれてしまった。なにか物思いをしているのではないかと人に尋ねられるほどに」というのが大意です。
百人一首のなかにも恋の歌はいくつかありますが、私が特にお気に入りなのがこの句です。
また、『ちやはふる』の大好きなキャラクターである若宮詩暢(わかみやしのぶ)の得意札でもあるので、私自身も思い入れのある句になりました。
他にも魅力的な句がたくさんあって、意味を知るともっと面白いです。ぜひ、調べてみてください!
さいごに
私が競技かるたを始めたのは、マンガ『ちはやふる』がきっかけでしたが、作品の中で描かれているような競技の世界に私が入っていけるのか、不安しかありませんでした。
具体的には、
札を取るまでの驚異的な速さ(かるたの払いのスピード感)
スピードだけではなく、正確さも求められる
試合開始前の15分の暗記時間ですべての札を覚えられるのか
大会では1日かけて試合を行うので体力が持つのか
といったことで、実際にやってみると精神的・肉体的にもきつく、何より試合で相手に負けたときの悔しさは、想像していた以上に大きかったです。
一方で、強い相手に勝利したときの喜びは格別で、それが何よりのやりがいになっていました。また楽しいなかにも厳しさのある競技かるた部を3年間続けることができたことで、人間的にも成長できたように思います。
この記事を読んで、少しでも百人一首に興味を持ってもらえたらとても嬉しいです! ご愛読ありがとうございました!
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