「サラリーマンは300万円で会社を買いなさい」をグラレコ
皆さん、このメッセージをどう受け止められますか？
一見すると命令調の一方的なメッセージ。
実際はあくまで選択肢の一つとしての提案。
「営業はいらない」を読んで持った興味関心。
三戸政和さんの著書。
その代表作の一つである本書。
タイトルだけではおそらく読まなかった本書。
それでも購読した理由は「営業はいらない」を読んでの感想。
物事の本質をついており、サラっと読めて、かつ何度も繰り返し読んで、人にも勧めたくなる本である為。
本書は万人向けでなく、向き不向きもあるかもしれない。
それでも事実に基づく数字や根拠、それらを踏まえた傾向や提案などが記載されており、人生の選択肢の一つとして、自分の今後の考えにも加わった大事な教養の1つ。
■結論
「会社を買う」=事業承継（オーナー社長になる）の方が、ゼロイチ起業よりリスクが少なくお勧めである。
以下3点を同時に満たすことができる新たなビジネスチャンスである。
・キャリアを生かす
・労働対価だけでは得られない金銭メリット
・老後不安からの自由
■ポイント
①バイアウト投資（既に出来上がっている事業）を推奨⇔ベンチャー投資（ゼロイチ起業）
②中小企業（特にヴィンテージ企業）を推奨
→宮大工、旅館、華道、仏具、鋳物などブランド化している老舗企業
③スタートアップや飲食業には極力手を出さない
④準備は定年後でなく40～50代のうちに着手
■背景
・人生100年時代
（生き残るリスクへの対応）
・大廃業時代
（今後10年の間に起こる深刻な問題であり有限なチャンス）
■根拠
①ゼロイチ起業の難しさ
・ベンチャーキャピタル投資
→筆者の経験含め、1,000社のうち997社は討ち死にする確率が高い。（千三つ）
・ゼロイチ起業
→起業後5年以内の廃業率は42％、10年度だと23％。
一方で5年を超えた企業の生存率は90％。
※その為、ゼロイチ起業自体、またスタートアップへの投資はハイリスク。
②中小企業の現状
・後継者問題
→日本全国の中小企業380社のうち、250万社（70％）が後継者不足。
※単純計算で日本の労働人口を6,500名とすると、16人に1人が社長
→上記のうち、60歳以上の社長の運営する会社は200万社あり、そのうち100万社（50％）が後継者不足。
→更に、中規模以上の社長の60％は「他者」に事業譲渡したいとの考え。
・ヴィンテージ起業
→世界に12社しかない1,000年以上の歴史を誇る企業のうち7社が日本にある。
③飲食店の難しさ
・外食産業のシェア
→25兆2,500億円規模の産業のうち、No.1のゼンショーHDでもシェアは僅か5,250億円で2％、TOP10でも2.2兆円で僅か10％との完全なるレッドオーシャン市場。
・廃業率
→18.9％で業界最多（業界平均10.2％）
④サラリーマン（特に大企業）のOJT=勝利のマネジメントモデルは武器になる。（特に小規模でも一つの組織やチームのマネジメント経験=会社経営の視点やノウハウが自然と身につく高度な教育システムとなっている。）
⇔中小企業は反対にこれらの教育研修が成されておらず、属人的で生産性が低いケースが非常に多い。
■具定的手法のポイント（資本家=あちら側の人間になる手段⇔雇われサラリーマン=こちら側）
・会社という「箱」を持ち、その資産価値自体をあげる。
→オーナー社長として、経営を担い、報酬を得るだけでなく、「箱」の資産価値向上によるキャピタルゲイン（売却益）も享受できることが最大のメリット。
※孫正義さんもゼロイチ起業家というより、この思考。
1→10、10→100など、成長可能性ある企業へ投資し、グループに取り込み、その成長を見守り、資産価値が高まったら卒業して貰い、キャピタルゲインを得て、次の成長先を探す…との繰り返しで自社の企業価値も高める。
⇔堀江貴文さんは完全にゼロイチ起業家であり、数少ない成功者。
■所感
完全に納得できたわけではない。
それでも「何もしない」よりは選択肢の一つとして検討することも必要であると実感。
少なくとも、今の会社でレールに敷かれた上を歩むのではなく、これらのエビデンスや今後の時代の変化に即して、自分に何ができるか？何のスキルや人脈や心掛けが必要か？と考え直すよいきっかけとなった一冊。
興味関心だけだと、日本酒産業、農業など、日本が世界に誇り、自分自身思い入れや日々の生活の中で切り離せない業界に関して、何らかの地方創生含めた貢献をしたいとの想いがある。
ただし、理想と現実を知っておく必要性が大事であり、準備は今からしておくべきだと感じた為、早速図書館でまずはそれらの産業の断片的な知識の教養化へ向けた内容の習得の為、幾つかの書籍を予約。
合わせて行きつけの酒屋と八百屋から生の情報と逸品を仕入れた週末。