モダンにおけるURコントロール
皆さんは『差し戻し』→『血染めの月』の脳汁ムーブを決めたことがあるだろうか?
対戦相手の2ターン目の動きをいなし血染めの月を設置。相手はマナ基盤が破壊され手札に戻された呪文も唱えられず、この美しい月を恨めしそうに見つめることしかできないだろう。
やってる側は最高に気持ち良く、やられる側は最悪の気分になること間違いなしのムーブである。
しかし、大量のカードが使用でき多様なデッキがメタゲーム上に存在するモダンでも、このような月とカウンターを用いるプランを採用できるのは『血染めの月』の制約上、青と赤の2色で構成されたデッキに限られてくる。
青赤(以下UR)のデッキはインスタントの火力と打ち消しによって相手の行動に対応しながら、クロックを刻むことを得意としている。
相手に対応して勝つスタイルや、独特の挙動が多いことから根強いファンがいる色の組み合わせだ。
そんな私も特有の魅力に取り憑かれ、気がつけばUR系のデッキを使い続けかれこれ2年、草の根大会やMagic OnlineのLeagueで結果を残すことができるようになってきた。
そこで、この記事では自分のプレイングや考え方を振り返る意味も込めて、相棒「URコントロール」について話して行こうと思う。
皆さんもこの記事を読んで舐めたマナ基盤を咎めに行こう!
特殊地形、許すべからず
1. URコントロールとは、その歴史
URコントロールはモダンでは長らくマイナーなデッキであったが、プロツアー「神々の軍勢」でTeam MTG Mint Cardが土地縛りに重きを置いたコントロールデッキ、ブルームーンを持ち込んだことから注目を集め一躍有名デッキになった。
プロツアー「神々の軍勢」ベスト8 使用者:Lee Shi Tian
これはメインデッキから4積みされた『血染めの月』や『広がりゆく海』によって相手のマナを拘束することをコンセプトとして構築されたデッキだ。また、自分は大量の島を採用していることから月の影響を受けずにカウンターやバウンスなどの青の呪文を用いることができる。
当時のモダン環境は『野生のナカティル』が解禁されたこともあって多色化が進んでおり、ブルームーンの待つマナ拘束戦略が有効に働いた。
その甲斐もありブルームーンは同チームに所属するLee Shi Tian氏をベスト8に送り込んだ。
最近まで元禁止カードだと知りませんでした…
時は進み現代、メタゲーム上の全てのデッキに月が刺さるわけではないこと、2枚目以降の月を引くと手札で腐ることから、ブルームーンは月の枚数をメイン・サイドに2〜3枚程度に抑え、月によるマナ拘束をサブプランとして搭載したURコントロールへと姿を変えていった。
Modern League - 2021/6/15 使用者:thepensword
しかし、欲張った相手の特殊地形を咎めてやろう!といった気概は依然として変わらない。
今でも最速で着地し油断した相手を投了に追い込むこともしばしば….
2. URコントロールを握る理由
この章ではそんなURコントロールの魅力について語っていこう。
魅力① 月によるイージーウィン
一つ目は冒頭から口酸っぱく繰り返して申し訳ない限りだが、『血染めの月』の早期着地によるイージーウィンだ。
月で相手の動きが鈍くなったところにフィニッシャーを繰り出すことによって早急にゲームを終わらせることができる。
vs UB Asmo 最速月により機能停止に成功
ビートダウンやコンボと違い、対戦相手とどっしり腰を据えて対話するコントロールでは"早急にゲームを終わらす"という利点は大きな意味を持つ。
これはコントロールというデッキが常に時間との戦いにあるという点から来る。コントロール使いの諸兄姉にはお分かりいただけるかもしれないが、コントロールは相手の動きを捌ききる都合上勝利するのに時間がかかる。
特に店舗大会ではどれだけ自分のプレイを素早くしたとしてエクストラターンに入る可能性がある。この際、いくら盤面が盤石で手札にあらゆる打ち消しが揃っていたとしても勝利できず、引き分けになってしまう。
このため能動的なプランを取ることができるという点において、URコントロールは優れていると考えている。
魅力② ライフを詰めることができる
URコントロールの魅力の中で最も優れている点がコントロールであるにもかかわらず、ライフを詰める能力が高いことだ。
Bolt! Snap!! Bolt!!!
ショックインをしすぎた相手の隙を見つけてライフを迅速に刈り取ることができる。
また、モダンには猛烈にこちらのカウンターを対策し、長引けば長引くほど不利になってくるデッキが一定数存在する。
例としてサイド後のアドグレイスやアミュレットタイタンなどが挙げられる。前者はメインボードからも入っている『否定の契約』に加え、『思考囲い』や『夏の帳』までサイドインされ、捌き切るのが厳しくなる。
後者であれば『探検の地図』や『トレイリア西部』の変成により『魂の洞窟』にアクセスされ、最も打ち消したい『原始のタイタン』がキャストされるのを指を加えて見ることしかできなくなる。
しかし、これらのデッキに除去が積まれることは少なく、これらのカードを探しに行く必要があるため緩いキープをしてくれることも多い。
これらのデッキに対しては序盤から果敢に攻めることで、プレッシャーをかけ相手に動かざるを得ないように迫ることができる。
モットーは"瞬唱はフィニッシャー"
魅力③ デッキを掘り進めるスピードが早い
URコントロールには大量のキャントリップやドロースペルが搭載されていることが多い。これは様々な恩恵を与えてくれる。
ひとつは土地の枚数を抑えることができるという点だ。皆さんはゼロックス理論という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは土地の枚数を削り、その枠にドローカードを入れることで中盤以降の無駄なドローをなくすという考え方である。
URコントロールはキャントリップを多く搭載することで、一般的なコントロールの土地枚数である24枚から22、3枚に減らすことに成功している。
また、キャントリップの恩恵は無駄なドローを少なくするだけではない。
デッキを掘り進めるスピードが速いことから、少数のコンボパーツだけ搭載しコンボコントロールとして振る舞うことができる。
Modern League - 2021/6/15 使用者:Tiemuuu
例えばキキジキコンボではコンボパーツの片割れである『鏡割りのキキジキ』は5マナ2/2で単体では仕事ができない、と2枚以上引いてしまうと完全に腐ってしまう。
しかし、大量のキャントリがあればそもそもキキジキの枚数自体を少なくすることができ、腐る事態を抑えることができるのだ!
また、純粋にコンボパーツの足りていない方を探しに行くこともでき、コンボの成功率に大きく寄与している。
元祖モダンチャンプ
最後に
長々とした文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
正直かなり自分の主観が入った記事ではあると思いますが、URかっこいい! 使ってみたい!と思っている方のお役に立てれば幸いです。
今後、もし機会があれば具体的なURのリストの紹介や解説などしていきたいと思っています。その際はまた読んでいただけると嬉しいです!
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