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男には自分の世界がある
もちろん、女性にも自分の世界はあるだろうし性差をここで語るつもりではなく。
次元大介。この男に昔、強烈に惹かれていた。その生き方、生き様や男の格好良さに。
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ファーストコンタクトは多分、テレビアニメだった。彼はピストルで敵をバンバン撃っていた。ピストルとかに憧れる幼少の世代に彼の姿は格好良かった。
ほとんど同時期にファミコンでルパン三世のテレビゲームがあって、私はそれを友達の家で遊ばせてもらい、彼のアクションと使いやすさから大好きになった。子供は単純。今もそんなに変わらないかもしれないけど。
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中学のころ、文化祭の様なものがあってクラスで出し物をする事になった。何をするか決めるクラス会で、多分私が意見を出したと思うのだが「ルパン三世」の演劇をしようということになった。
私が小学生のころから通っていた柔道教室に、何処と無くルパンの風貌に似た彼がいた。小学校は違っていたが、中学になって学区が広がり、同じ公立の中学校に入学し同じクラスになった。
「お前ルパンみたいな顔してんだからルパンとかやればいいじゃん」と言う単純な意見だったと思うが、当時クラスで人気のあった彼が主演する演劇の意見はクラスで採用されることになった。
余談だが彼はクラスの女子と当時内緒で付き合っていた。私の妹と同じダンス教室に通っていた彼女と彼が二人きりで出掛けている所を目撃して私は何だか秘密の共有をしたみたいで嬉しかった様なことを記憶している。
私が彼女に恋愛感情を抱いていたなら或いは違った感想になったのかも知れないが。
ともかく演劇をする事になり、では配役はと言うと主演のルパンは人気者の彼が決まりで、私は少しだけ次元大介をやりたい気持ちがあったけど言い出せず、何故か銭形警部の配役となってしまった。私が中学生の時からおっちゃんみたいな風貌だったとか、そう言った事はないと信じたいけど今考えてもまあ妥当かも知れない。
そして次元は他のクラスメイトの配役となり、私は人気者の彼を追いかけ回して失敗する役となった。
舞台はそこそこ受けて彼はますます人気者になり、私はその時に来たとっつぁんのトレンチコートが妙に気に入りトレンチコートの沼に落ちた。
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大人になってからルパン三世に触れて、次元以外のキャラクターの魅力に気付いたが、それでも一番好きなのは次元だった。
不器用で一芸に秀でていつもルパンの隣にいた相棒。
一緒に笑い一緒に泣き、ルパンの窮地に現れてマグナムを弾けば百発百中、バーでジャズを聞きながらウイスキーをロックで転がし、たまにコナン君と親子ケンカの様な掛け合いを見せてくれたり。
オープニングテーマの「男には自分の世界がある 例えるなら空をかける一筋の流れ星」と言う言葉は次元大介と言う男の代名詞の様な言葉だと思っていた。
初回放送から今まで唯一ずっと代わることなく「ルパン三世」の次元大介の声を担当されていた小林清志さんが昨夜のアニメ放送をもって勇退された。
昨夜の放送は小林清志さんを送り出すためのメタ発言の様なセリフを交えつつのお話で、とても素敵で心に残るお話でした。
小林清志さん、これまでありがとうございました。貴方の渋くて格好良い声があってこそ次元大介と言うキャラクターが成立したのだと思います。
これからもお元気で、またナレーションなどでお声をお聞かせ頂ければと思います。
素敵な『時代』をありがとうございました。
それでは、本日はここまで。