「論語」に学ぶ人心掌握の手始めとしての企てー視・観・察ー
「そのなす所を視、その由る所を観、その安んずる所を察れば、人いずくんぞかくさんや」と孔子は弟子に語った。今のわれわれは、「察る」を「みる」とは言わなくなったが、視察や観察という熟語をたまに使うことがある。その人が何をするか、どういう動機でそれをするか、そうすれば本当に満足するか。隠しごとなきほど他者を慎重にみる。「みる」を三通りの字で書き分けて、表意文字の特徴をうまく活かし表現を強調しているのが巧みな企てと言えよう。弟子には恵まれたが、仕官にはなかなか登用されなかった孔子の人生。乱世の水無月に、刑事コロンボの視・観・察をビデオで鑑賞してみよう。
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