クリエーターの道具としての動詞②:加藤昌治編
ベストセラーとなった『考具』や『アイデア会議』などの著作で有名なマーケッターの加藤昌治さん。著書『アイデアパーソン入門』は彼の仕事観が溢れている。考具は道具。彼の中にはどんな動詞があるのか。もっとも印象的なのが「たぐる」という動詞。蕎麦を手繰る。ロープを手繰る。あまり一般的には使われない動詞をあえて使っているのがおもしろい。「たぐる」とは、体験や知識を自分ごと化する技のこと。まずは外から。自分の知らないことを手繰る。この世の中にある数えきれないほど広がっている知識を捕まえ、自身の体験に結びつけていく。そして内から。思い出せないことも含めて、すでに自分の知っていることを手繰る。放っておけば沈んでしまう過去。既存の要素を拾い、集め、記憶の表層に昇らせる。引き寄せると引き出すという動具。「たぐる」はまるで総合格闘技のようだ。