ペンに求めること、および選ばれた私のスタメン文房具 (2025)
先日の記事では、筆記具は万年筆からボールペンやシャープペンへと変遷してきた理由についてまとめた。今回は、前回述べた改良点以外に、自分がペンに求めていることをまとめてみる。
求めること
携帯性、メンテナンスフリー、長期保存が可能なこと
前記事にて触れているので割愛。
インクフローの問題がなく、信頼して書けること
大前提として、ペンは筆記をするために使用するものであるから、ちゃんと筆記ができなければならない。インクの出が悪く、かすれてしまうのでは困るし、逆にインクが出すぎてインクだらけになってしまうのも困る。筆記に必要なインク(シャープペンならば芯)がちょうどよい量だけペンからペン先に出てきて、紙の上に転写できることは、何よりも優先される前提条件となる。
書いた直後にこすっても、ほとんどにじまない・こすれないこと
主に水性ボールペンや万年筆で起きがちであるが、書いた直後にこすると盛大にインクが広がってしまい、文字や周囲、手が汚れてしまうことがある。これでは実用上困るので、書いてから乾くまでの時間は短い方が良い。極論ではあるが、書いた直後、0.1秒以内にこすっても、にじんだり、こすれたりしない程度のものが望ましい。
自分はこの点をかなり重視している。自分の書き方が、手刀部分を紙にガッチリ置いて書くスタイルであるため、すぐにインクが乾いてくれないとあっという間にこすれ、ノートが汚れてしまうためである。そのため水性ボールペン、ローラーボールや、万年筆インクによる筆記は自分にはあまり向いていないと感じている。いずれも筆記の感触は素晴らしいのだが…。
インクや本体が容易に手に入ること
入手性も重要である。現代において実用で使用される場合、ノベルティでもらったペン等の安価なペンを使い捨てていくスタイルが多いと考えている。一方で、高価な筆記具については、替芯を購入して、長く使うこともある。その際、インクが切れたときに次のペンをどれだけ迅速に用意できるかは仕事の速度に直結する。前者の場合はペン本体、後者の場合は替芯の購入が、家や職場の近場で容易であることは、とても重要である。旅行先で買った限定品のインクが無くなり、替芯を買うのにネットで取り寄せるしかないのは不便である。また、故障した場合等には、修理するにせよ買い替えるにせよ、取扱店が近くにあったほうが安心できる。
裏写りしないこと
特に手帳などの薄い紙に筆記する場合において、裏写りは天敵である。よくある失敗談として、ジェットストリームを使用してトモエリバー等の薄紙に記載して後悔するというものがある。書いた直後は全く問題ないが、数カ月後に見返すと、インクが紙に染み込んで裏写りしてしまったり、文字の周囲が黄色くにじんでしまうというものである。特に長期保存する場合、裏写りしないことは非常に重要である。もちろん、紙とインクの相性があるし、長期保存が不要であれば別に裏写りしても問題ないという考え方もある。
耐水性、耐候性があること
どのような紙にどのようなペンで書いても、太陽光に当て続けると、紫外線によりどうしても退色したり日焼けしてしまう。これは適切な保管を行うことで避けることはできる。一方で、書いた紙を少し濡らしてしまうだけでインクが流れてしまったり、ちょっと家の外に置いておいただけで書いた文字がにじんでしまっては困る。最低限の耐水性があり、かつできればある程度の耐候性があってほしい。ただし、それに適した筆記具や、そもそも耐候性がある塗料を使う等、ペンに拘る必要はないとも思う。無理に万年筆で掲示物を書いて、退色してしまうくらいなら、トナーで印刷してしまったほうがよほど適するだろう。
他の筆記線の上に書いても、混ざらないこと
上記の耐水性に絡むが、あるペンで筆記した線の上を別のペンで横切る場合において、ペンの間で色移りしないものがよい。よくマーカーペンの先が黒ずむのは、鉛筆やシャープペンの黒鉛や、ボールペンのインクがマーカーに色移りしてしまうためである。見た目もよろしくないし、マーカーの色が微妙に黒ずんでしまうため、好ましくない。可能な限り、ペン同士の色が混ざらないような筆記具を使用したい。
上記を踏まえ、私が使用している筆記具
2025年初頭現在、私は以下の筆記具を主に使用している。詳細は、各ペンごとに別途レビュー的な記事をそのうち書く予定である。
シャープペン
クルトガメタル : メインのペン。手帳、仕事、家でのメモに使用
クルトガダイブ : 勉強に使用
ボールペン
ブレン : 3Cを仕事に使用
フィラーレWD ノック式 : 主に仕事に使用。サインや提出書類等、しっかりと文字を書くとき用
ジェットストリーム プライム 回転繰り出し式3色 : 仕事、出先でボールペンが必要なときに使用 (頻度低)
その他ペン
トラディオ プラマン 黒 : 家でのメモに使用

先の記事で万年筆を勧めておいてアレなのだが、上記の通り、現状万年筆の出番がないのが事実である。万年筆はどうしても紙を選んでしまい、またこすって文字が読めなくなってしまうことが多く、とっさのメモに向かないのが悩みどころである。数回のドライアップの末、使用を諦めた経緯がある。家でのメモも、わざわざ万年筆を持ち出すことが億劫になり、気まぐれで買ったトラディオ プラマンで十分用が足りてしまっている。
上記ペンが今のスタメンではあるが、数年後といわず数カ月後くらいには、いくつかは入れ替わっているものと思う。今、便利と思って気に入って使っているものに過ぎない。
一方で、あのペンで書いてみたい、このペンを試してみたい、と想像してしまい、家にあるペンは際限なく増え続けている。金銭面の問題もあるが、保管場所も課題であるし、なによりどのペンも使い切れないままに捨ててしまうことに心苦しさを感じている。自分が文字を書ける手は1つしかないのに、今後一生書けても書ききれないだけのペンを買い、少し試して満足し、捨ててしまうのは、なんとも贅沢であり、なんとなく悲しくなってしまう。
まとめ
ペンに求めることは人により様々だと思うので、これが絶対的な正解とは思わない。どんなことをペンに求め、どうして自分がそのペンを選んでいるのか、ぜひ一度考えてみてほしい。面白い傾向が見つかるかもしれない。