本当は面白い物理の授業 015 「仕事」と「エネルギー」
物理における「仕事」と「エネルギー」とは、どの様なものでしょう?
皆さんも、日常生活で「仕事」と「エネルギー」という言葉を使ったことがあると思います。
例えば、(高校生の方は使わないと思いますが)
「頑張って『仕事』してるね〜。さすが、『エネルギー』があるな〜」
と言う感じです。
この例からもわかるように、
「エネルギー」があるから「仕事」ができる。
つまり、
「エネルギー」とは「仕事」ができる能力みたいなものです。
または、
「エネルギー」は「仕事に変換できるもの」と考えてもよいでしょう。
それでは、「仕事」について、さらに詳しくみてみます。
物体に対して、ある方向へ「力」を加え、その方向へ「移動」させることを、「その物体に対して『仕事』をした」とといいます。
仕事 = 力 ✖️ 移動量
単位で表すと、
J(ジュール) = N(ニュートン) ✖️ m(メートル)
記号で表すと、
W(仕事) = F(力) ✖️ s(移動量)
上式からわかるように、
「仕事」は「力の大きさ」と「移動量」に比例します。つまり、どんなに力を加えても、物体が移動しなければ、その物体に対しての「仕事」は「0(J)」ということです。
〈考え方のコツ〉〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「仕事」の概念は、以下のように覚えましょう。
あなたは「荷物」を運ぶ「仕事」をしています。
「荷物を運んだ距離」に応じて、給料をもらえます。
給料が「荷物を運んだ距離に比例する」ということです。
もし、荷物が重すぎて、どんなに頑張っても移動出来なかった場合、あなたは「仕事をしていない」ことになります。よって、給料も無しです。
また、より重い荷物を運ぶには、大きな「力」が必要です。よって、運ぶ「荷物」の重さに比例して給料が増えます。これは、軽い荷物を運んで高い給料を貰うためには、長い距離を運ぶ必要があるという事も意味します。
物理における「仕事」は公平ですね。
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この様に、「仕事」は「力の大きさ」と「移動量」に比例します。
よって、
「物体を10(N)の力で100(m)移動した場合の仕事」
と、「物体を100(N)の力で10(m)移動した時の仕事」
は同じ「仕事」になります。
皆さんは、同じ給料をもらえるとしたら、どちらを選択するでしょう。
「力はなくても持久力に自信のある人」は、前者を選択し、「持久力に自信がなくても力持ちの人」は後者を選ぶのではないでしょうか。
実際に皆さんが使っている製品の中には、様々な機構を用い、「物体を100(N)の力で10(m)移動した時の仕事」を「物体を10(N)の力で100(m)移動した場合の仕事」に変換する様な事が行われています。
これにより、「小さな力」で「重たい物」を動かす事ができます。
「本当は面白い物理の授業016」へ続く。