見出し画像

ショッピング失敗防止のためのエンジニア的製品分析

今回は、エンジニアリング的な考え方で「ショッピングの失敗を低減する方法」について投稿したいと思います。

皆さんは、製品を購入する時に、何を「判断材料」にしているでしょうか。

おそらく、多くの方が「製品レビュー」を参考にしていると思います。

しかし、その製品に求める機能は人それぞれです。
他人のレビューを気にし過ぎて、製品の選択を失敗することもあります。

私も「製品レビュー」は参考の一つにします。
しかし、可能な範囲で「リバースエンジニアリング」を行なって購入の可否を決定します。

「リバースエンジニアリング」とは、製品を分解したり、その動作を確認したりすることにより、その動作原理や制御方法を解析し、どのように機能を出しているのかを見極める手法です。

もちろん、購入前の商品を分解などすることはできません。外観からわかる範囲や、手に取ってわかる範囲で判断します。

ここでは、皆さんが購入検討の参考になるような解説を行います。

製品購入分析の7ステップ


①製品購入の目的を明確にする
②実際の使用状況を想定する
③期待する機能を明確にする
④製品を観察する
⑤機能と構造の関係性を分析する
 (簡易的なリバースエンジニアリングのステップ)
⑥機能を得点化して比較する
⑦購入の可否を決定する


ここからは、
数年前に購入したG-SHOCKを例に上げて解説します。
モデル名は、「GW-M5610」です。


製品に対する本分析は、全て私の主観的な解析です。実際の製品設計の狙いはわかりません。

ステップ① 製品購入の目的を明確にする


ポイント:
その製品購入の絶対的な必要条件を決めましょう。

《事例》
仕事中とプライベートで「簡単に時間を確認する」ため
です。

ステップ② 実際の使用状況を想定する

ポイント: 
より具体的にイメージする事が大切です。

《事例》
私の場合、朝はギリギリまで寝ているので、分単位で行動します。よって、朝起きて、すぐに「腕時計」をつけたいと想定しました。
「腕時計」をつけた状態でネックになりそうな行動を上げます。
・朝風呂に入る
・服を着替える
・パソコンを使う
・実験を行う

そして、寝ぼけていても「時間を読み間違えない」ことが重要です。
・時間が読みやすい

その他にも、
・海外出張時に使いたい
・非常時にも気にせず使いたい
・夜釣りでも使いたい

ステップ③ 期待する機能を明確にする

ポイント: 
使用条件をもとにして、必要な機能に落とし込む

《事例》
・朝風呂に入る(シャワー&浴槽につかる)
 →防水性能が必要→20気圧程度の防水

・服を着替える
 →服に引っ掛りにくい
  →エッジが立っていない外観
  →外形寸法が大きすぎない
  →バンドの金具が飛び出ていない

・パソコンを使う
 →違和感なく着け心地が良い
 →長時間着けても疲れない →重くない

・実験を行う
 →実験機にぶつけても、時計も実験機も傷まない
  →ベゼルとバンドが金属製でない
 →過酷な環境下で壊れない(高温、高湿、低温、低湿)

・時間が読みやすい
 →大きなデジタル表示画面
 →画面の視認性が良い

・海外出張に使いたい
 →ワールドタイム表示
 →目立ち過ぎない外観→黒色ベースの外観
 →出張先で盗難にあってもダメージが低い価格
  →3万円以下

・非常時にも気にせず使いたい
 →バッテリー切れの心配が少ない
  →長時間対応品もしくはソーラーバッテリー

・夜釣りでも使いたい
  →バックライト

ステップ④製品を観察する

ポイント: 
写真、動画、製品仕様書などの客観的な情報を集める。
可能なら手に取って確認する。

《事例》
・メーカーの公式サイトで製品仕様を確認する
・ネットで様々な角度からの写真と動画を確認する

ステップ⑤機能と構造の関係性を分析する

ポイント: 
ここまでの情報でいくつかのモデルを選定する。
機能と構造の関係性を考える。

《事例》
・20気圧程度の防水 →メーカーの仕様書
・エッジが立っていない外観 →写真、動画
・外形寸法が大きすぎない →メーカーの仕様書
・バンドの金具が飛び出ていない → 写真、動画
・違和感なく着け心地が良い →写真、動画
・重くない →メーカーの仕様書
・ベゼルとバンドが金属でない→メーカーの仕様書
・過酷な環境下で壊れない →メーカーの仕様書
・大きなデジタル表示画面 →写真、動画
・画面の視認性が良い →写真、動画
・ワールドタイム表示 →メーカーの仕様書
・黒色ベースの外観 →写真、動画
・3万円以下 →通販サイト、店舗の価格
・長時間対応 →メーカーの仕様書
・バックライト →メーカーの仕様書

ここでは、「違和感なく着け心地が良い」という部分についての分析を記載します。

(本投稿の写真は私のG-SHOCKです。
 実際は、購入前なのでネット上の写真を使います)


柔軟性があるバンド材料

G-SHOCKのバンドを確認すると、PURの刻印があります。
これは材料表記です。このバンドが「Poly Urethane resin(ポリウレタン樹脂)」であることを示しています。
ネットで調べれば、簡単に特製が出てきます。
この材料は、柔らかく手触りが良く、手首への負荷が少ないと想定できます。また、丸洗いして清潔に保つことも容易です。


バンドが曲がり易い構造
おそらく外観上のデザインで、ベゼルに近い部分のバンドが太くなっています。そのままではバンドが曲がり難いはずです。そこで大きな溝を2本入れることにより柔軟性をあげていると想定できます。


手首に貼り付かない構造
夏場に腕時計を着けていると、汗でバンドが貼り付きます。気持ちいい物ではありません。このバンドの裏側には突起があります。この突起がバンドと手首の間に空間を作ります。バンド全体が手首に密着しないと想定できます。

バンドの金具構造
バンドの金具は金属製です。しかし、全てが曲面形状になっているため、肌にストレスがかからないと想定できます。
(別項目ですが、物にぶつけても、傷をつける恐れは低いと想定できます。また、金具は凹みが付いています。これにより、閉じた状態では服に引っ掛りにくいと想定できます)


ステップ⑥ 機能を得点化して比較する

ポイント:
各機能に重み付けを行い、「基礎点」をつける
機能毎に順位をつけ、「順位点」をつける

《事例》
いくつかの候補が残った場合、各機能に優先度を付け、得点の重み付けをします。これを「基礎点」とします。

例えば、私にとって1番重要な機能は、
「大きなデジタル表示画面」です。例えば、この「基礎点」を「5」とします。
優先順位が低いのは「ワールドタイム表示」です。この基礎点を「1」とします。
(最大5点、最小1点とします)

次に「順位点」をつけます。
私の場合は、3つの候補がありました。この場合「1位には3点」「2位には2点」「3位には1点」「機能無しは0点」です。
(3位以降は1点もしくは0点とします)

この様に、全ての候補製品の機能に「基礎点」「順位点」をつけます。

「機能得点」=「基礎点」✖️「順位点」

「製品得点」=「機能得点」の合計

ステップ⑦ 購入の可否を決定する

ポイント:
各製品の「製品得点」を比較し、評価の妥当性を確認します。

最も高得点の製品に納得がいかない場合、何かを見落としている場合あります。
見落としがあった場合、そのステップに戻ります。
何もなければ、それが自分の製品に対する妥当な評価です。

それでも納得いかない場合、今回の選択肢の中には、あなたの要求を満足するものがなかった可能性があります。一旦、購入を見送るのも一つの手です。

私の場合、最終的に「GW-M5610」に決定しました。

「期待する機能」と「機能の重み付け(基礎点)」は個人によって差異が大きく出ます。ここが、面白いところです。

「ショッピング」は購入までの過程も楽しいですね。
したがって、「製品分析」自体も楽しめると思います。

高い買い物をする場合の参考になれば幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!