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想定、実践、修正の繰り返しが、思考力を強くする

「思考する力」の大きな1つに、「物事のつながり」を読み解く能力があります。

この力は、仕事だけではなく、様々な分野で役立ちます。「物事のつながり」がわかってくると、未来に起こる出来事が、ある程度推測できます。

もちろん、全ての要素をインプットできる訳ではありません。したがって、そこから想定できるアウトプットの精度は良くないこともあります。

また、全ての要素をインプットしたとしても、それら全ての関係性を紐解く事は困難です。

しかし、物事に影響を与える要素の中から、影響力の大きいものを拾い出す事ができれば、予測精度を上げる事ができます。

一方、膨大な量の情報に惑わされ、小さな影響しか及ぼさない要素に目を奪われると、想定は大きく外れます。


私が物理に興味を持った理由の一つが、「未来に起こる現象を予測できる」からです。

例えば、1mの高さから野球ボールを落とした時の落下時間は、「自由落下」の理論が理解できていれば、簡単に計算できます。そして、ほぼ計算結果の値に近い実験結果が得られるでしょう。つまり、未来に起こる事をほぼ推測できています。

しかし、1kmの高さから落とした場合はどうでしょう。「空気抵抗」の影響を大きく受けるので「自由落下」の理論で計算した結果よりも、大幅に時間がかかるでしょう。

ただし、野球のボールを1kmの高さから落としたことがなくても、自転車で風を切って走ってことがあれば、速度が上がるごとに空気抵抗が上がることは推測できます。それに気が付いて、他の現象にも当てはめて考えようとすることが大切です。

このように、「物事のつながり」を考えて、未来を想定する時には、条件の選定が重要であり、それらの条件下で、要素の影響力の大小を判断する能力が必要になってきます。



例えば、経済的な景気のサイクルについても、「物事のつながり」が見えてくると、大きな流れがわかってきます。

昨年から米国株投資ブームです。
私は投資の専門家ではありません。しかし、どのような要素が何に作用しているかがわかってくると、投資を面白く感じてきました。

株価の上下は、関連する要素が多く、専門家でも予測することは難しいようです。多くの要素がある上に、それが、一方向ではなく双方向に作用し、かつ要素が多方向につながった輪の中で循環しているため、複雑さを増しています。また、物理の計算にはない、人間の心理状態も作用します。

ただし、訓練していると、全体としての大きな流れは、徐々に見えてくるようになります。

ここでも重要なことは、膨大な量の情報から、影響力の大きい要素を見極める力です。そして、その大小を判別するには、「物事のつながり」を紐解いて、見極めていくことが重要です。

この様な中身が見えてくると、投資は決して怖いものではないと思います。

ただし、株式市場に影響する「物事のつながり」を理解しないまま、自分の資産の多くを運用するのは、目隠しをして自動車を運転するようなものです。

しかし、「物事のつながり」を理解するには、大きく怪我をしない範囲で、自分でやってみることが大切です。

物が落下する光景を見たことない人が、自由落下をイメージするのは容易ではありません。そして、風を感じたことの無い人が、空気抵抗について考えることができるでしょうか。

自分でやってみる事は、本当に大切です。


この様に、思考力を高めるには、思考力しているだけでは不十分です。

まず、情報の選定と分析の後、想定から実践に移行します。次に想定と結果の差異を考察します。さらに、次の想定のためにフィードバックします。このようにして、少しずつ精度を上げていきます。

そして、このサイクルを繰り返す事自体も思考です。

近年、株式市場にAIが投入されているようです。「人間の思考力」と「AIのアルゴリズム」のどちらが勝っているでしょう。面白い勝負ですね。

ただ、「AIのアルゴリズム」を組んだのが人間なら、やはり、人対人の勝負になるのでしょうか。

投資を真剣に取り組むと、確実に思考力を鍛えられます。

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