死を呼ぶ花粉症!「ハプニング」
突然の鼻セレブで失礼します。
2月の中頃から春の終わり頃まで猛威を振るう花粉症。
鼻炎や強烈な目のかゆみにくしゃみなんかが有名な症状ですが、それ以外にもひどい場合は全身の倦怠感や腹痛・下痢、軽い発熱を起こす人までいらっしゃるそうで。
そんな花粉症ですが、皆さんは花粉症が恐怖のタネに使われたスリラー映画があることをご存知でしょうか。
それがこの映画「ハプニング」です。
予告篇はこんな感じ。
https://youtu.be/fqB4OKDD1_8
(あらすじ)
早朝のニューヨーク・セントラルパーク。
人々で賑わう通りの中で、ベンチに座る二人の女子大生のひとりがある異変に気づく。
事態の異常さに恐怖を覚えた女性は隣に座るクレアに声を掛けるが返事がない。
クレアは異変が起こる前に話していた内容を繰り返すと、自身の髪飾りを首に突き刺して絶命する。
セントラルパークから少し離れたビルの工事現場では建設作業員たちが下品なジョークを口にしながら仕事に務めていたが、ひとりの作業員が墜落する。
慌てて責任者らしき男が無線で事故を報告するが、先の墜落に続くように次々と作業員たちがビルから飛び降り自殺を始める……。
ところ変わってフィラデルフィアの高校では、科学教師を務めるエリオットが「アメリカでミツバチが姿を消している」という不思議なニュースを題材に子供たちに授業を行っていた。
そこに教師全員への呼び出しがかかる。
校長の話によると、セントラルパーク周辺で原因不明の集団自殺が続いているという。
原因不明の自殺、その症状は3つ。
第一段階は言語の喪失、第二段階は方向感覚の喪失、そして第三段階。突然の自殺。
テロ攻撃の疑いがあるからと生徒ともども避難・自宅待機を命じられる。
混乱する状況の中、事態はニューヨークだけでなく街から町へと伝染していることを知ったエリオットは友人のジュリアンとその娘ジェス、妻のアルマと共に安全な地域を目指して避難を試みるが……
■花粉がもたらす終末世界!
終末ものと言えば機械の叛乱や宇宙人の侵略、核戦争に未知のウイルスと古くからいろんなものを題材にして書かれてきました。
この映画では正体不明の攻撃により人々が突如錯乱し次々に自殺していく、という衝撃的な形での終末の風景とそこから逃れようと奮闘する人々の姿が描かれているのですが、その原因はなんと"花粉"(のようなもの)。
この花粉による攻撃メカニズムは中盤に登場人物の推測という形で語られ、以降は攻撃の前兆を察知して逃避する……というシーンも描かれるのですが、なにより衝撃的なのは正体不明の攻撃を受けて次々と自殺していく人々の光景。
それまで普通に生活していた人たちがピタリと立ち止まり、ぼんやりとした様子で死に向かっていくというシーンはどれも「もうおしまいだ」という気持ちを感じさせます。
冒頭、ニューヨークで人々が突然ピタリと静止したかと思うと次々自傷に走っていくシーンや工事現場での集団自殺という衝撃的なオープニングに始まり、錯乱してライオンに腕を食わせる飼育員や芝刈り機に呑まれる男など凄惨な死が淡々と描かれます(ゴア重点映画ではないのでそこまで過激な描写はない)。
安全地帯を求めて原因も正体もわからない謎の現象から逃げ惑うエリオットたちの逃避行を嘲笑うかのように現れる死体の山、次々と齎される壊滅した都市の情報、未知の攻撃を受けて死に駆り立てられる避難者たちもジワジワと逃れようのない破滅が迫っている空気をヒシヒシと醸し出してきます。
終盤にちょっとだけ出てくるガスマスクを被ってテレビの前に座る人物とか風呂場に隠れる人とか、生き残った人たちの反応ももうどうしようもない感じがすごくて。
監督が「シックス・センス」で有名なM・ナイト・シャマランということでネット上だと良い評判より悪い評判の方が目につくんですけど、それがかなり勿体ないというか。(シャマランは実力に反してネット上で叩かれやすい映画監督の代名詞みたいになっていて、正直ちょっと不憫な気がする)
というわけで映画「ハプニング」。花粉症のひどいこの季節にあえて見る「花粉症終末映画」として如何でしょうか。
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