試写会で「ローガン」を見てきました
6月1日封切りとなるヒュー・ジャックマン最後のウルヴァリンの活躍が見れる映画「ローガン」。
試写会に当選したのでひと足早く劇場で観てきたのですが、めちゃくちゃに面白かったです。
ぜひ色んな人に映画館で観てもらいたいね……幸い映画の日から封切りだ!
(以下はまだ未公開の映画についてネタバレ込みの感想になっています。多少ネタバレしてても大丈夫という方のみ続きからどうぞ)
まず初めに、この映画は「X-MENのウルヴァリンが活躍するスーパーヒーロー映画」ではなく「世捨て人となったひとりの傷ついた男」の、「魂の救済」の物語である。
あらすじとしてはこうだ。
西暦2029年。
ミュータントがほとんど絶滅した世界で、かつてウルヴァリンとして活躍していたローガンは本名のジェームズ・ハウレット名義でリムジンタクシーのドライバーとして生計を建てている。
廃棄された施設に不法に住居し、数少ない生き残りのミュータントであるキャリバンと共に年老いて能力の制御が効かなくなったプロフェッサーXの介護に苦闘する毎日。
そんなある日、仕事の最中にひとりの女にある子供を目的地まで運んで欲しいと言う依頼を受ける。
当初は面倒ごとは御免だと断り続けていたローガンだが、女が殺され子供が家に転がり込んできたことから、子供=新世代ミュータントの少女・ローラを狙う追っ手から逃れつつ生き残りのミュータントが集まる安息地・エデンを目指す。
この映画は劇中でも引用されるようにウルヴァリン=ローガンを主役としたシェーンという趣きで、西部劇をリスペクトしたような展開が目につく。
が、僕はこの映画を見てあるゲームを思い出した。
そしてこう思った。
「この映画は『鬼作』なんだ」と。
いや、冗談ではなく、この映画は『鬼作』の裏ルートとして有名な「鬼作の魂を救え」と同じなのである。
乗り物が自転車かアメ車かくらいの違いしかない。
本作は映画「X-Men」シリーズ4作目「フューチャー&パスト」から分岐したifの世界であるが、オープニングから即座に「ヒーロー映画ではない」ということを強調してくる。
落ちぶれた元ヒーローは今や、人より少し頑丈なだけのただの男に過ぎず、車泥棒にはリンチされるし、アルコール中毒だし、映画の後半では疲労から倒れて眠り込んでしまう場面が目につくよう設計されている。
人より長く生きすぎたこの男は既に心身ともに満身創痍なのだ。
さて、話を鬼作の裏ルートに戻すと、
鬼作の裏ルートでは、鬼作は突如自分の家に押しかけてきた少女と共に暮らすことになり、彼女の存在を疎ましく思いながらも次第に心を開いていき、最期は少女を助けることで救済を得る。
鬼作の罪は女性の弱みを握り次々と凌辱していったというところにあるが、ローガンには「殺人者である」という罪が重くのしかかる。
劇中では西部劇の名作「シェーン」がたびたび引用され、「例え正しい行いであっても、殺人者の烙印は消えない」と語られる。
ローガン自身もX-Menの古ぼけたコミックを指して「事実を元にしているが出鱈目に過ぎない。現実では人が死ぬ」と指摘しているように、ヒーローとヴィランという対立図の消えた世界において(或いはそれらの世界律が存在していた頃ですら)彼らの戦いは当事者にとって剥き出しの暴力に過ぎなかったのだ。
そんな傷だらけの過去を背負うなかで、ローガンもまた自身の写し身とも言える少女・ローラとの旅の中で徐々に心を通わせていき、その終着点でひとつの安息を得ることになる。
国境を越え、安寧の地を目指す新世代の幼きミュータントたち。
彼らに魔の手が差し掛かったとき、傷ついた男は最後にもう一度だけ立ち上がる。
かくして谷から銃は消え、シェーンは舞台から永遠に去るのだ。
……とここまでだいぶ勢い任せにネタバレ込みで語ってしまったが、今回で最後になるヒュー・ジャックマンの熱演でくたびれた姿を見せてくれるウルヴァリンは勿論のこと、
プロフェッサーXとして登場するパトリック・スチュワートのすっかり口が悪くなり、ヨボヨボになったボケ老人演技も凄い。
戦闘シーンではR指定ということもあり敵が次々カギ爪でめった刺しにされたり手足を切り飛ばされたりとかなりド派手。
ローガンの捨て身の肉弾戦とX-23ことローラの野性剥き出しの殺戮ファイトスタイルがとにかくめちゃくちゃにカッコいい。
平日ではあるものの6月1日映画の日から公開ということで、ヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリン、その最後の戦いをぜひ劇場でご覧になって頂きたい。
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