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母親のこと
先月末に母の古希を祝うため、4ヶ月ぶりに帰省した。
昔は70代=おばあちゃんの感覚だったのに、白髪も少ない背筋の伸びた母はとうてい70には見えない。
一年は365日で、自分も人も同じように一年に一歳年をとっているはずなのに、母が70と言う事実を受け入れ難いのは何故だろう。
10年前に祖母を亡くし、その2年後に後を追うように父が亡くなった。
「まだ若いのに」とみんなに言われた父の年をとうとう母が越してしまった。
もうすぐ福岡に来て2年経つ。
彼の会社が福岡だからと住み始めたこの街だが、彼が転職した今、特に住む理由はない。
これからどこに住むのか?
私も彼もこの年になっても、自分の人生設計を立てられないでいる。
陽当たりが良いところに住みたいとか、たくさん観葉植物を置きたいとか。
初めて一人暮らしをするような学生みたいな事を言っている。
学生と大きく異なるのは、自分も親もいい年だということ。
福岡に来てからも年に3、4回は地元に帰っている。
人間の平均寿命までの間にあと何回帰省できるのかと計算し始めたところで胸がぎゅってした。
とうてい70には見えない母だが、4ヶ月前に帰った時より白髪が増えていることに、髪のボリュームがなくなっていることに気づいていない訳じゃない。
10代の時の友達との会話はほとんど恋愛のことばかりで、その話題は仕事から子育てに変わり、子供のいない私は自分の子育てについて話すことなくこのまま親の介護に話題はジャンプするのだろうか。
結婚も出産もずっと保留ボタンを押している私だが、このまま親の老いも保留ボタンを押し続けられたら。
母にはまだしばらくはがんばってもらおう。