それは始まりの序章に過ぎなくて

カフェで残り仕事をしてると、いろいろな人間が横の席を入れ替わり立ち代わり座る。
OL、学生、中年の男性…そして今度座ったのは明らかに就活真っ只中、というような"彼"である。
自分はとうに就職活動なんて懐かしいものであまり記憶にないが、多分隣の彼が百面相しながら書いているのは履歴書だろう。
明るい、とまでは行かない茶色いくて剛毛そうな髪の毛、ピカピカのリクルートスーツ、いかにもである。
そんな彼とは対照的に自分はシャツにネクタイ、スラックス、という出で立ちでアイスコーヒーをすすりながら営業アポイントを取ってやっと落ち着いたところである。
良いなぁ、若いな、22歳くらいか?26になる自分にはすでにフレッシュさはない。
営業という職種柄、常に明るく元気に、という感じで仕事はしてるがスイッチオフの今は目は死んでるし疲労困憊顔をしてるだろう。ただのおっさん予備軍だ。
時間は16:30を指しており、社内に戻っても仕方ないから直帰しようかなんて考えていると隣の彼が立ち帰ることがわかった。
心の中で頑張れよ、っと声をかけて…置こうとしたら小さいカード?見たいのがテーブルに乗ったまま。忘れもんかよ、とよく見たら学生証。
四つ葉大学現代マネジメント科 白木柚
と書いてある。
えー…この場合どこに届ければ良いんだ?
交番?学校?…まぁ手堅いのは学校か、
営業用の手帳を開き明日の空いてる時間を確認して、彼の学生証を届けることにした。

そして彼とは、1年後に再会を果たす。
まさかの自分の部下として。


#whitenote
#BL
#プロローグ