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四則演算の濃度

四則演算を行う場の濃度について。
演算を線の上に作図して比較します。

独自記号∞ⁿについてはこちらを参照↓

掛け算

まずは自然数の掛け算から。
「2×3=6」を作図してみましょう。
(n等分は定木とコンパスで作図可能)

①適当な線分を引き、長さをXとする
②線分を2等分する
③それぞれの小片をさらに3等分する
④結果、全体が6等分される

このとき、
全体の長さはX×(1/2)×(1/3)=X/6。
分母の部分が「2×3=6」を表します。
小片の数を数えれば「1本×2×3=6本」になりますね。

線分に含まれる点の濃度は∞¹ですから
答が自然数になる「自然数×自然数」の掛け算は全て線分上で作図可能。
「自然数の掛け算を行うのに必要な場の濃度は∞¹」ということになります。

足し算

次は自然数の足し算。
「2+3=5」を作図してみましょう。

①適当な線分を引き、長さをXとする
②線分を区切り、長さ2の小片を作る
③小片を長さ3だけ延長する
④結果、長さ5の小片ができる

これで「2+3=5」を表せたはずですが、2つほど問題が生じます。

1つ目。本人は「2+3=5」を作図したつもりでも、他の人は「4+6=10」と見なすかもしれません。
2つ目。仮に「2+3=5」の作図に全体の半分程度を使ったとすると、答が10を越える足し算は線分からはみ出してしまいます。

これらの問題を防ぐには、
①単位1を有限の長さで確定させる
(数と数の間が無限小ではいけない)
②全体の長さXを無限大に延長する
ことが必要。

自然数の足し算の答は自然数ですが、∞²の濃度の点を含む直線上でなくては作図が不可能なのです。
「自然数の足し算を行うのに必要な場の濃度は∞²」となります。

割り算

割り算は掛け算の逆演算だから濃度も同じ···ではありません。

「自然数の割り算」は「分母への掛け算」と「分子への掛け算」という独立した2種類の掛け算の複合演算。
「掛ける操作」の逆演算としての「割る操作」なら濃度∞¹ですが「割り算」ではないんですね。

作図では「線分Xをn等分する操作」と「線分Xをn倍する操作」の複合に相当します。
「自然数÷自然数」の答は自然数または分数ですが、全て直線上で表すことができますね。

よって割り算の濃度は∞¹×∞¹=∞²。
「自然数の割り算を行うのに必要な場の濃度は∞²」となります。

引き算(負の計算)

「自然数の引き算」は負の整数を足す「負の足し算」です。

引き算は、自然数を表す半直線に負の側の半直線を加えれば作図可能。
負の割り算も、引き算と同様に負の側の半直線を追加すれば作図可能。
負の掛け算は、負の側に長さXの線分を追加すれば作図可能。
どれも長さが2倍になるわけですが、場の濃度は∞ⁿ×2=∞ⁿで変わりません。

よって
「自然数の引き算を行うのに必要な場の濃度は∞²」
「負の整数の割り算を行うのに必要な場の濃度は∞²」
「負の整数の掛け算を行うのに必要な場の濃度は∞²」
となります。

実数の四則演算

実数はそれ自体が∞²の濃度を持ちますから∞¹の線分では濃度が足りません。
逆に実数の四則演算の答は実数なので∞²より大きい濃度も必要ありません。
従って実数の四則演算に必要な濃度は全て∞²となります。

掛け算だけが∞¹になる理由

自然数の掛け算は3種類ありますが、濃度が∞¹の掛け算は1つだけ。

①単位1のn倍を求める足し算の特殊形
②2:1と4:2を同一と見なす比の計算
③「縦2㎝、横3㎝の長方形の面積は6㎝²」のような次元の増加を伴う計算

①は「有限量の単位」と「単位の比」で無限属性が2つ。
よって場の濃度は直線の∞²。
③は縦方向の「単位」「比」に横方向の「単位」「比」で無限属性が4つ。
よって場の濃度は2次元平面の∞⁴。

場の濃度が∞¹になるのは②。
比の計算は単位1(作図では線上の点と点の間の距離)を無限小にしても成立するので無限属性は「比」の1種類。
比を表すのに単位は不要というのが「掛け算の濃度だけが∞¹になる理由」だったのです。

ちなみに、直線上で掛け算を作図すると無意識に①を考えてしまいます。
最初から線分を使って考えないと②は抽出しにくいのではないでしょうか。

複合演算に必要な場の濃度

最後に、複合演算の濃度を考えます。

「3つの数の掛け算」は∞¹+∞¹+∞¹=∞¹
「掛け算+足し算」は∞¹+∞²=∞²
など、複合演算に必要な場の濃度は∞ⁿの演算規則で求めることが可能。

答は最大でも∞²ですから、四則演算の複合演算は∞²の範囲内(実数)に収まることが確認できました。

まとめ

今回の思考実験では四則演算に必要な場の濃度を作図で可視化しました。
自然数の掛け算(掛ける操作)の濃度は∞¹、足し算、引き算、割り算の濃度は∞²という結果になりました。
掛け算の濃度だけが∞¹なのは、単位の確定が不要な「比の計算」であることが理由だと考えられます。

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