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フッ化物のご利用は計画的に…

フッ素という単語を聞いて、
フッ素は、虫歯予防に使われたり、
歯磨き粉に含有されているのを
知っている方も多いと思います。

ただ、最近ちょこちょこ聞くのが


『あえて、フッ素が入ってない歯磨き粉を選んでる』


という声。
それで、思うところがあって書きます。


1、フッ素とフッ化物


まず、歯科で扱っていたり、
歯磨き粉に入っているのは、
『フッ化物』です。
なので、正確には…
『フッ化物塗布』ですね。

それでは、フッ素とは…

フッ素(フッそ、弗素、英: fluorine、ラテン語: Fluorum)は、原子番号9の元素である。
元素記号はF。
原子量は18.9984。
ハロゲンのひとつ。

単体は通常、二原子分子のF2として存在する。
常温常圧では淡黄褐色で特有の臭い(塩素のようとも、きな臭いとも称される)を持つ気体。
非常に強い酸化作用があり、猛毒。

分子量37.9968、融点-223℃、沸点-188℃、
比重1.11(沸点時、空気を1とする)。
反応性がきわめて高く、
ヘリウムとネオン以外のほとんどの単体元素を酸化して、
化合物(フッ化物)を作る。


不安定な元素で、単体だと気体で猛毒… 


なので、他の元素と結びつきフッ化物となります。
そうすることで、安定するそうです。

フッ素は自然界にも存在して、
普段口にする食べ物にも入っています。
それとフッ素は、
生命の維持に必要な元素の1つでもあります。


こちらに分かりやすく、掲載されています。
https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_04.html#001

特に、日本人の食生活には馴染みの深いものに
含有されている
そうです。

歯科で、最もスタンダードなフッ化物は
フッ化ナトリウムです。

2、フッ素の歴史と中毒症や危険性

フッ素と虫歯の因果関係が判明したのは、
斑状歯という、
歯に斑点ができ朽ちたようになる病気が
最初に報告されたのがきっかけです。

さらに斑状歯の患者が多い地域の人が
飲む飲み水にはフッ素の含有量が多かったこと、
虫歯が少ないということも判明。


1969年にはWHOがフッ素による虫歯予防を提言。
ですが、1994年に
「6歳以下の子供へのフッ素洗口は強く禁止する」
という見解を出しています。

ヨーロッパの一部では、
使用を禁止している国もあります。

フッ化物の使用により、
骨の発育異常や骨折率の増加、
ダウン症、がん、老人性痴呆などの関連を
指摘した論文の発表もされていますが、
これについても議論されている段階のようです。


歯科で用いるフッ化物にも、中毒症はあります。
慢性だと、先程のような斑状歯、
急性だと、嘔吐などの症状が出ます。
ですが、よっぽどの量の摂取をしないと
中毒症は起こらないとされています。


3、虫歯リスクの高い人


「フッ素=猛毒」のイメージや、
WHOの見解、
健康志向などもあってか、
最近、あえてフッ化物含有ではない
歯磨き粉を使う人が増えてきた
印象があります。


そして、私が仕事での指導の際に、
歯磨き粉の使用の有無、
その歯磨き粉は「フッ化物入り」かどうかを
確認する患者さんには共通点があります。


虫歯のリスクが高いこと!!


虫歯のリスクが高いという診断をするには、
様々な点から行いますが、
分かりやすいのは、治療痕が多いこと。


治療している箇所が多い=虫歯の経験が多い
リスクが高いと言えます。



個人的に思うのは、乳歯列(乳歯だけの時代)に
虫歯が出来る子供は、リスクが高い。
ただ、子供だけでの管理は困難なので、
母子共に、指導が必要かと思います。


虫歯は様々な原因が結びついて起こります。
食習慣の問題、歯磨きなどの清掃状態の問題、
口の環境の問題などなど…


極端な話ですが、清掃状態が悪くても、
食習慣がめちゃくちゃでも、
歯の一番外の組織であるエナメル質が
凄く硬い歯質の人は、虫歯の経験が少ない。



簡単に言うと、歯が硬いと虫歯になりにくい。


エナメル質の硬さには、個人差があります。


虫歯になりづらい人なら、
正直、虫歯予防の観点からしたら
どんな歯磨き粉を使っていてもいいとは思います。


問題は、リスクが高いのに
フッ化物入り歯磨き粉を使っていない人です。
案外、そういう人が多い。


それが、あえて「フッ化物入り」歯磨き粉を
使っていないせいでリスクが高いのか、
他の原因かは分かりかねる時もあります。
(清掃状態が悪い人も多いかな)

そんな患者さんには、
虫歯のリスクが高いことは説明します。
可能なら「フッ化物入り」歯磨き粉の使用で
そのリスクを下げられるかもしれない、
歯磨き時の度に予防も出来る、と説明はします。
ただ、その人にも「使わない」理由が
それなりにあるので、無理強いはしないです。

大前提としては、
清掃状態も良好に保つ事が大切だということ、
歯磨き粉を変えないのなら、
短期間での来院でのチェックをした方が
良いことなどを伝えます。

中には「歯磨き粉が気持ち悪い」とか、
「なんとなく使っていない」とか、
そういった理由で歯磨き粉を使ってない方もいます。
そういう方には、使って欲しい旨を再度説明して、
サンプルなどがあれば、お渡ししたりもします。

4、歯科衛生士として思うこと



ここで個人的に矛盾を感じるのが、
特に習慣(歯磨き粉や清掃状態)を変えずに、
虫歯が進行したり、新しく虫歯が出来てしまうこと。


虫歯は、自然治癒しません。


治療が必要な段階の大きさになってしまったら、
虫歯の部位を削り、樹脂状のものを詰めたり、
金属などに置き換えているだけ。
元からある自然の歯に戻している訳ではありません。


恐らく、体のためだとか、健康のために、
使わないようにしているフッ化物。
ですが、治療が必要な虫歯がどんどん出来て、
どんどん治療して、口の中にどんどん人工物が
入るのってどうなのかな?と思います。



健康の為に気を付けているのに、
それが却って、不健康な状態を引き起こしている。
そんな風に思ってしまいます。



フッ化物を使わずの虫歯予防としては、
最低限でも、口の清掃状態には気を配ること。

歯磨き、歯間の清掃するのも毎日して欲しい。
逆に言えば、清掃状態が悪いのに
フッ化物入り歯磨き粉の使用をすれば、
虫歯にならない訳では決してありません。

それと、食習慣。
甘いものの摂取や、間食の間隔なども
気を付けて欲しいところです。



フッ化物を使いたくないということであれば、
キシリトールだとか、リカルデントなどの
使用も難しいと思われるので…


それと、定期的な歯科検診。
虫歯が小さいうちに発見出来たら、
治療回数や削る量なども
少なくて済む場合も多いです。


フッ素の急性中毒症も、
フッ化物含有の歯磨き粉の
チューブを一本丸呑みするくらいの量の摂取で
起こります。

歯磨き粉の管理をきちんとしていれば、
まず起こり得ないと思います。


何事もそうですが、
摂り過ぎは良くない、そういうことだと思っています。


うがいが出来るお子さんから、
フッ化物歯磨き粉の使用を私はおすすめしています。


正しくフッ化物を活用して、
虫歯予防をしていきたいものです。





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