スマホの中のもう一人の自分
巷にあふれるストレスを貯めない方法。
そこで必ずといっていいほど紹介されている方法。
「不安や悩みを紙に書き出す。」
今まで何度も「紙に書き出す」を試みた。
ことごとく失敗。書けないのだ。
一文字一文字、書いているうちに「なんだっけ?」となる。
考えに手が追いつかない。それで失敗。
そもそも、僕は記憶力が良い方ではない。(しょうもないことはよく覚えてるのに)
最近では興味のないことはもちろん、興味のあることですらしばらくすると忘れてしまう。
頭の中で記憶するぐらいではすぐに忘れてしまうのだ。
デザインの専門学校でアイディアを忘れないためにスマートフォンのメモアプリを使い始めたことで頭の中に「忘れてもいい状態」ができた。
安心感が半端ない。
思いついたとき、頼まれごとをしたときなど、すぐにメモを残す。
そして後になってもうひとりの自分を呼ぶようにメモアプリを開く。
「あのとき、俺なに考えてたっけ?」
けれど、嫌なことはなかなか忘れられない。
人間の脳はそういう風にできているらしい。
防衛本能ってやつか。
苦い思い出、嫌な記憶、忘れたいのに忘れられない。
昔体験した忘れたい思い出はほとんどは普段は忘れている。
ふとした時に思い出して、そのまま、そのうちに忘れる。
だが、漠然とした不安。こいつはボヤっとしているから厄介だ。
一体 いま自分が感じている不安は何に対するものなのか、どこからくるものなのか。まったく分からない。
頭で考えても言葉がチャンポンされて訳が分からなくなる。そしていつまでも頭の中をぐるぐる回って全く忘れられない。
そんなときにメモアプリをひらく。
自分は一体何に怯えているのか。この不安はどこから来るものなのか。
乱雑に思いつくまま(これが原因か?という予想でもいい)、ひとつひとつ書き残す。
すると書いているうちに考えがまとまってきたり、不安の正体(らしきもの)が見えくる。
そして今まで抱えていた荷物を下ろすように、心が少し軽くなっていることに気づく。
忘れたくないことも忘れたいことも頭から一度外に出して、一方は後で見返し、一方は出したそばから観察する。
つまり頭には一定の余裕(脳の空容量)が必要で、自分の場合はメモすることでそれが確保できるんだな、と気づいたときは心が軽くなった感じがした。
そしてメモアプリの中に書き溜めた文字はもう一人の自分なのだ。と思った。
自分が二人いれば苦しい時も支え合って生きていける気がする。
そんな良い感覚を掴んだ気がする。
この状態を続けていこう。