嶋浩一郎

博報堂 執行役員/博報堂ケトル クリエイティブディレクター・編集者/本屋B&B 経営者…

嶋浩一郎

博報堂 執行役員/博報堂ケトル クリエイティブディレクター・編集者/本屋B&B 経営者 ブルゴーニュワイン・文庫本・ウエス-アンダーソン・時刻表・twitter・檜風呂・永楽食堂・ WEB3・サラリーマン・le cabaret・小肌の握り・サインペン・松本・サンドウィッチ

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

最近の記事

シェア型書店で「#界隈」カルチャーに思いを馳せる

「本屋になりたい」日経新聞の記事です。棚を有料で貸し出し、棚の借り主が自分で選んだ本を売るシェア型書店が近頃注目を集めています。「本屋さんになりたい」というのは本好きなら誰もが一度は思うことではないでしょうか。でも、さすがに今どき書店を開業するのは大変。そんな人達の夢を叶えてくれるのがシェア型書店です。 東京の神保町にはすずらん通りにフランス文学者の鹿島茂さんが〈PASSAGE by All Reviewers〉という鹿島さんらしい洒落た名前のパリのパサージュをイメージした

    • あれオレがたくさんいると褒められる?

      新しい本を書いていたら気付いた! NewsPicksの金泉さんと中島さんに唆されて本を書いた。題して『あたりまえのつくり方 ビジネスパーソンのための新しいPRの教科書』(タイトル長いぞ!)。 働き方改革とか、二拠点生活とか、ソバーキュリアスとか、朝活とか今までの価値観とは違う新しいあたりまえが世の中に普及していくときのPRパーソンの働きについて書いていたら、ベーシックなPRの思考法をしっかり説明する本になってしまいました。そんなわけで、この本は多くの人に読んでくれたら嬉しい

      • さよなら!ゲロ袋 あるいは企業の周年についてのひとつの考察

        ドラマミンという乗り物酔いの薬は1949年にアメリカで発売されたそうです。同じく1949年にアメリカの飛行機の座席ポケットにゲロ袋(失礼、エチケット袋という呼び方の方が上品なんでしょうか?)が設置されることになったそうです。それから、長い年月がたちました。 ブランドの誕生日って広告会社やPR会社の受ける仕事に会社の周年企画というものがあります。まあ、周年は会社やブランドの誕生日と言い換えてもいいですよね。企業やブランドにとっては情報発信のいいタイミングでもあるんです。 長

        • 演劇とPRとエンパシー

          鴻上尚史が高校生に演劇を教えてたテレビのスイッチを入れたらNHKの番組で劇作家で演出家の鴻上尚史さんが高校生に演劇を教えているシーンが流れてきました。自分が高校生だった1980年代、鴻上さんはニッポン放送の「オールナイトニッポン」木曜2部のパーソナリティをやっていました。午前3時にロキシー・ミュージックの「MORE THAN THIS」というテーマ曲で始まる番組は、ラジオ好きだった僕のお気に入りの一つで、この番組をきっかけに演劇に興味を持ち鴻上さんが主宰する第三舞台の芝居を観

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        記事

          神保町ってどんな街?

          神保町の書泉グランデが日経MJに取り上げられていました。皆さん、書泉グランデをご存知ですか? 御茶ノ水から駿河台下の交差点まで坂道をおりてくると前方のビルの上に見えてくるのが「鉄道 アイドル プロレス」と書かれた看板。そうです、それが書泉グランデです。 「鉄道 アイドル プロレス」。かなりどストレートなコピーですね。書泉グランデはこの3つのジャンルだけでなく、バスや数学などマニアックなテーマの選書で知られる「趣味の本屋」。専門書や、マニアが自費出版した同人誌まで取り揃えてい

          神保町ってどんな街?

          2024年はフワフワと生きていこうと思った話

          みなさん。今年もそろそろ終わりですね。いろんな人が謝りっぱなしの一年だった印象ですが、今日は世田谷美術館で開催されていた「倉又史朗のデザイン展」の話をしたいと思います。 日経新聞も取材していますね。この椅子、座り心地が見た目のヘビーな感じと違ってすごく優しいんですよ。 倉俣史朗さん。みなさんご存知ですか?日本を代表するインテリアデザイナーで60年代に三愛に入社されて、什器や店舗のデザインから仕事をはじめ、1965年にクラマタデザイン事務所を立ち上げて独立。横尾忠則さんのグ

          2024年はフワフワと生きていこうと思った話

          違いを見つけるより、同じを見つける方がモテる時代

          広告とPRはどう違うの?広告とPRの違いをよく聞かれます。 ともに、新しいアイデア(新商品や新サービス)や新しい考え方(サステナブルな世の中をつくろうとか、ジェンダーの平等を目指そうとか)を、より広く世の中に知らしめ、普及させる活動ということは共通していますね。 一般的には広告は有料のメディア枠を購入して、そこに発信者が制作した広告を掲出する仕事。PRはメディアなどの影響力のある第三者に対して情報を提供し、その第三者の自らの意志で報道してもらう活動がPRと説明されることが

          違いを見つけるより、同じを見つける方がモテる時代

          まずは遊ぶため

          10月25日、東京ビッグサイトで「モビリティショー」が開幕しました。25日は自動車メーカー各社のトップが最新のEVなどを発表し、報道でも取り上げられていましたね。自分も開幕日にお邪魔させてもらいました。 今回、「モーターショー」から「モビリティショー」に名前を変更したわけですが、新車のスペックを競い合うクルマ産業のコンベンションから、移動技術の展示会へのシフトを感じることができました。日経新聞でも「車の枠を超えた技術結集」という記事で紹介されていましたね。 その中で、自分

          まずは遊ぶため

          サンドイッチに恋して

          今月は食のエッセイを。 こちらの日経新聞の記事によると、コンビニで意外なものが外国人観光客に人気だといいます。ファミマのカラフルソックスと並んで紹介されているのが、サンドイッチです。柔らかいパンをつかったサンドイッチは海外ではレアらしく、そのテクスチャーが受けているのではという分析をしています。 サンドイッチはワーカホリックのための食べ物だった? 巷でよく言われるのが、イギリスでサンドイッチ伯爵がポーカーをしながら食事をするために、パンの間に具材を挟んで片手でつまめるサ

          サンドイッチに恋して

          なぜ鉛筆は六角形で、鉛筆はこれからどんな形になるのか

          文房具好きです。日経新聞にも日々進化する文房具が記事になっていますね。 今月は日用品の機能やデザインがどう進化しているのかについてちょっと考えてみたいと思います。 「あたりまえ」は「あたりまえ」じゃなかったヘンリ・ペトロスキーというアメリカの土木工学専門の学者がいます。 僕は彼の書いた本を何冊か読んでいるのですが、彼は鉛筆、ゼムクリップ、フォークなど我々が毎日のように使うものが、なぜ今の形にたどり着いたのか、そんな研究の成果をまとめているんです。 鉛筆といえば多くの人が

          なぜ鉛筆は六角形で、鉛筆はこれからどんな形になるのか

          哲学を学ぶ意味がなんとなくわかった話

          最近、哲学がマイブームなんです。ソニーで宇宙開発をやってる友人に「この人面白いよ」と、哲学者の谷川嘉浩の著作「スマホ時代の哲学」を紹介してもらったのがきっかけ。この本を読んでの感想は、この人はすごく漫画とアニメに詳しいなぁというもの。 おい、それ哲学とカンケーねーじゃん(怒)って声が聞こえそうだけど、谷川さんは哲学を説明するのに、この概念はこの漫画におけるこのシーンだ、なんてリファレンスをしてくれるのです。例えるなら「ハイデッカーの言うところの時間の概念は、『ドラえもん』にお

          哲学を学ぶ意味がなんとなくわかった話

          マヨネーズは俺に任せろ!

          なにしろたまらなく好きなものでスティーブ・ジョブスは毎日イッセイミヤケの黒のニットを着ていたわけだけど、世の中には特定のアイテムが好きで好きでたまらない○○ラバーがいますよね。インスタグラムでも毎日のように二郎系ラーメンの写真をアップするジロリアンの皆さんや、ビールグラスをアップするビーラーがいますもんね。 自分も○○ラバーの気があるんじゃないかと思います。さすがに毎日とはいきませんが、喫茶店では必ずハムサンドを頼みます。中華料理店では必ずたまご炒飯を頼みます。イタリアンの店

          マヨネーズは俺に任せろ!

          「これも古典なんですよ」、「マジすか?」

          今、町田康さんの「口訳 古事記」を読んでいる。これが、めっぽう面白いのです。弟のスサノウが凶暴化し狼藉を働いているという部下からの報告をうけて、姉のアマテラスのリアクションが「マジですか」。部下の答えが「マジです」。オオクニヌシの兄弟は「むかつくから弟を殺しちゃお」。全国統一を目指す大王は「言うこと聞かないやつがいるから、ちょっといってどつきまわしてこい」。万事こんな調子の超絶現代語訳で物語が展開するんです。 しかし、古典というのはすごいなあと思う。恋愛、嫉妬、裏切り、友情と

          「これも古典なんですよ」、「マジすか?」

          君はカリフォルニアロールを許せるか?

          今日はブランド論の話をしようかとおもいます。とかいいつつ、どんどん脱線するんですけどね。かつてのブランドは「経典」でした。ブランドを作った人が私のブランドの世界観はこういう感じだから「この服はこう着て」みたいな。 でも、今は共創の時代なんていわれております。 僕は、よくマーケティングや広告をやっている人たちに「これからはカリフォルニアロールを認められる人の時代だよ」という話をしています。江戸前寿司の職人さんは東京湾で漁れた魚を酢でしめたりと、いろいろな仕事をして寿司を握っ

          君はカリフォルニアロールを許せるか?

          本屋は無駄を売っている

          なぜ、人は余計な本を買っちゃったって嬉そうに話すのか?日経新聞の記事によると、アメリカでリアル書店復活の兆しがあるんだとか。ちょっと、嬉しいニュースです。リアル書店の価値は「買うつもりのなかった本を買ってしまうこと」。本屋に入った時は買うつもりのなかった本を、レジに並んでいるときに手にしているって経験、みなさんにもありますよね。 人はいろんな欲望を持つけれども、不器用だからその欲望を自分で言語化することができない生き物です。そして自分の欲望は、自分で気づくより、他人に教えら

          本屋は無駄を売っている

          小倉トーストを抽象概念に昇華する

          「読書」面を読むのが好き! 新聞の書評を読むのが好きです。本屋を運営しているということもあるのでしょうが、全国紙の書評欄を土日には必ずチェックしています。かつては書評は日曜の定番でしたが、日経をはじめ、毎日、朝日が土曜掲載。読売が日曜掲載ですね。土曜日に掲載がシフトしたのは、書評を参考に本屋に行くのに土日の二日間を使えるようにするっていう配慮なんでしょうね。 ここ最近、日経の「読書」面でフムフムと思ったのはこの記事で、投資家の藤野英人さんが読書に対する考え方と、おすすめの

          小倉トーストを抽象概念に昇華する