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No.8 「次」を決めずに退職を。

上野 かなえ(うえの かなえ)
2020年5月まで、GCストーリーで新卒採用人事を担当。ティール組織、フラット組織、働きやすい環境作りの制度作り・環境作りを担当。
在職中から現在までで、ストレングスコーチ(ドネーションコーチングを発案し実践中)、ファシリテーター、地球と蜜になりたい人、茶道宗徧流 暁晴庵など、心の喜ぶことを学習・実践中。
※かなえさんの考えが綴ってあるnoteも合わせてどうぞ 


十数年勤めた会社だからこそ、確実に、人とのつながり・身についたスキルや、長年勤めてきたからこその今の仕事に対する責任があったり、会社に勤めているサラリーマンだからこその安定があるはず。
それでも、「退職するの」と清々しい顔で話してくれる、その背景には、どのような価値観があって、葛藤があったのでしょうか。

_______ 5月に仕事をやめて、3ヶ月が経ちますが、会社を離れて見て今感じていることはなんですか?

仕事を離れてみて思うことは、やっぱり人事の仕事好きなんだな、ということですね。未だに人事とか労務とか、採用周りの情報は、いろんなメルマガでキャッチアップしたりするし、セミナーも参加しています。
知り合いがやっているコミュニティでワークショップやらせてもらったりもしていて、なんだかんだその方向性が好きだなっていうことを再認識しました。

会社を辞めた理由としては、自然とか環境に関する仕事をしたかったからですけど、現時点では私自身その分野での活動がアクティブではなくて、貢献できる場がないので、現時点での社会への貢献の仕方は「人の内面に気づくきっかけを与える」という方向で続けています。

会社を辞めて寂しいとか、所属感が欲しいとかは全くないです(笑)。
会社でできた関係とも緩やかにつながっていられていますし。人事引き継いだ人から相談の連絡がちょくちょくあったりもしています。
会社を辞めてからネガティブなことは、本当に何もないですね。

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_______ 辞める前って不安なかったんですよね?それがすごいです。

うん、なかったです(笑)。
不安からくる選択からは卒業した感じがしています。気付いた時があったんですよね、人は不安から選択するタイプと、自分から「こうしたい」という思いを持ってワクワクから選択する場合があるんだなと。不安に駆られた選択は、リスクヘッジにはなるけど、それが自分を前進させる気はしていないです。守ってはくれますけどね。
だから、ワクワクから選択した方が、自分の人生楽しいなと思って。あとは、何が起こっても人って簡単に死なないな、と思ったんですよね。じゃあ、だいたい何が起きても大丈夫だなと。

_______ 旦那さんはどんな反応なのですか?

「働かないの?」「就職しないの?」ってすごい言われました。
「そうですよね(笑)」とは思いましたけど。自分が次にやりたいことをやっている会社を知らないだけなのかもしらないけど、そちらの分野にアンテナを立てる期間の余白が欲しい、という思いがあったんです。
これまでは、「人事」「人の心」ということをやってきたから、緩やかに分野を移すグラデーションの期間が欲しいと思いました。

私の場合、作りたい世界観はあるけど、それはどうやって実現したらいいのかわかっていないんです。だから模索していく時間が必要なのですが、仕事をしながら平行では取れないと思って。なぜかというと、「人事」「人の心」の分野は私が得意で、本当に好きなことで、周りから求められることだから、働いていたらそれをやってしまう、と思ったんです。だから一旦身を引くことに決めました。

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_______ 「次」を決めないで退職をする選択をする人って少なく感じますね。

少ないですよね。稼がないと生きていけないという恐れはあるのだと思います。
もし旦那さん(現職:システムコンサルタント)が倒れて働けなくなったら、私が働く緊急度は高くなるけど、そんなに贅沢をしない生活だったら、旦那さんの稼ぎに助けてもらってしばらく生きていけますね。

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_______ 友達とか周りの人たちの中で、今の仕事を辞めたいけど辞めれていない人っているんですか?

いや、あまり思い当たりませんね。
例えば、1年前から地方に移住することを会社と調整して、リモートワークで働けるように徐々に移行して、ついに富山への移住を果たした子がいたり。他には、社員として働くのを辞めて、兼業をしたいから業務委託にしてもらった子とかもいます。
総じて、私の周囲の人は、みんな自分の気持ちに正直で、自分の気持ちに敏感だから、現状を続けるのに違和感を感じたら、「じゃあ、どうしたらいいか?」と考えて行動する人たちが多いですね。

_______ しまこさんの話聞いてると、もうすでに、みんな自由に生きているのではないか...?って思っちゃいますね(このメディアの意味...!笑)。どうやって知り合った人たちですか?

言われてみるとそうかもしれませんね。私の周りには自由な人が多いです。
色々なきっかけで知り合っていますね。会社の人とか、勉強会で出会った人とか、自然と仲良くなった人とか。
世間離れしているのかもしれないですね。働いてなくても存在している意味があると思っています。

_______ 今やりたいことってどうやって見つけたんですか?

20代は周りから求められることをモチベーションで生きていて、求められることの中で自分でできることを探して、正解を探していく、ブラッシュアップされていく、スキルが上がっていく、というのが楽しかったです。だいたいその期間が7年くらいありました。

楽しくなったその先にあったのが、これを繰り返していくことに、ふとモヤモヤを感じたんですよね。なんでなのかはわからないんですけど、その成果を返す先が基本的に会社である、ところに、「会社だけか...」みたいな思いが生まれたんですよね。不採用になった学生さんにはそれ以上踏み込めないし、「会社と学生」の関係になってしまうし。

そのタイミングで「私は人生を通して何をしたかったのか」というところに立ち返ってみると、「私は昔から自然とか環境が好きで、今ある課題をどうにかしたいと思ってたんだよな」というところに気付いたんですよね。
でもそれをふと忘れて、会社に成果を返すというところに視野が狭まっているなと気付いたんです。
逆に言うと、承認欲求は十分満たされたし、会社や既存メンバーへの還元もやりきった感があって、「次のステージに行くか」みたいな感じです。

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_______ 転職したい人に読んで欲しいものではなくて、人生の次のステージに生きたい人向けの記事になってきましたね(笑)。会社を辞めたいと思ったことはあるのですか?そこで辞めずに続いた理由もお聞きしたいです。

明確にありますよ、3回。
その3回は、1年目の冬、2年目の冬、5年目の冬。
自分がやっていることから逃げ出したくて、その時は、周りにいろんな原因を作って、うまくいかなくて、「辞めたい」「逃げたい」というのが1年目と2年目の冬です。
でも、なんで続けたのかというと、自分の工夫次第で、結局仕事ってうまく行くんですよね。それを自分でやって体験した結果、「原因は自分にあるんだ」と気付いたんです。周りが悪いわけじゃなくて、自分が変われば周りも変わるんだというのを体験して、逃げてもどうしようもないんだということを知ったのが社会人3年間でした。

5年目の冬は、マネージャーをやっていたんですけど、周りが求められるリーダー像があったんですよね。それは”リーダーは完璧であれ”というものだったんですけど、売り上げも見れて、採算も見れて、メンバーの育成もできる、というのが求められていたんですよね。「そうなろう。そうなろう。」と頑張っていたんですけど、自分の実績と理想とのギャップが大きすぎて、いろんなもので自分を固めてしまって、自分でも自分がよくわからなくなってしまうようになりました。ずっと鎧を着た状態で1年間マスクを外せない時期があったんですよね。朝起きても、早く夜にならないかなって思っていました。それでも「自分は努力している」と思っていました。
そのタイミングで自分が信頼している人に、「マネージャーを降りな」と言われ、そこから急に全員敵に見えたんですよ。そこで人生のどん底を味わいました。
その時に気付いたのは「ないもの見てもしょうがなくて、人間あるもので勝負するしかない」ということです。そこでストレングスファインダーに出会って、人の弱みにフォーカスするのではなく、強みを伸ばしていけば、その一人一人の強みが重なって綺麗な円になるだという考え方になりました。
これが3回目の辞めようと思ったエピソードです。

これ以降、「嫌なことあって辞めるってないだろうな」ってその3回の経験を通して思いましたね。
だから、今回のこの選択はいい卒業の仕方です。自分でも驚いています。

_______ いい卒業の仕方ですね...

周りが求めていることに応えていた時は、最初は周りの人のもの差しが正解だと思って、それを応えるために頑張ってたんですけど、自分の中での試行錯誤を繰り返して、自分のもの差しと、人のもの差しとの、ほどよい加減を手に入れて、
結局自分はこうしたいな、みたいなもの差しができてきたんだと思います。

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【編集後記】
かなえさんと同じ立場だったら、
「次を決めないで会社を辞めることへの不安」を感じると思います。何より驚きだったのは「嫌なことあって辞めるってないだろうな」という一言を聞いたとき。

環境を変えたとしても、同じような状況が必ず起こるとよく言われますが、かなえさんは1社目で体験できることを全て体験した上で、次のステージに移るタイミングが自然と訪れたような気がしました。

次が決まっていないので、無限の可能性の中からかなえさんがどのような道を歩み出すのか、楽しみです。

【ライター】
篠原 七子(しのはら ななこ)
神戸市出身、福岡市在住の26歳(2021年時点)。自然と調和した暮らしづくりを目指し、コンポストの研究製造販売をする会社でCS/広報として働く。本メディア発起人(経緯はこちら)。
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