2020年著作権法改正のポイントは?
2020年6月に改正著作権法され、2021年1月から施行(一部2020年10月施行)されています。
著作権法は、この4年で3回改正されており、うち、2回はTPPの影響(保護期間50年→70年に延長等)を受けた改正ですが、2020年の改正は社会変化に合わせた内容となっています。
以下、ポイントをあげてみたいと思いますが、その前に改正の時代背景、目的を押さえておきます。
近年、著作物のインターネット上での流通が盛んになるに伴って、漫画や雑誌などの海賊版による被害が拡大しており、その権利や利益が守られていませんでした。音楽や映像は違法コピー問題は以前からあり、著作権法で保護されていましたが、漫画、雑誌は保護されていませんでした。業界団体による推計によると、一部の海賊版サイトだけでも数千億円分もの出版物が無料で読まれており、その分、漫画家や出版社の収入が減少しています。
数が限られていれば、ひとつひとつ指摘し、閉鎖させることもできますが、インターネット上には多くの海賊版サイトがあり、漫画以外にもゲームソフトなどにも被害が発生していることから、法改正によってルールから変える必要があったという背景はあります。
では、何が変わったのか、改正著作権法の4つのポイントは、以下のとおりです。
①リーチサイト対策
リーチサイト(他のウェブサイトで違法にアップロードされた著作物など侵害コンテンツのリンク情報等を提供するウェブサイト)が多数存在し、著作権者などに大きな被害が生じていた
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サイト運営者はもちろんのこと、リンクを提供した者にも刑事罰が科せられるようにした
②違法ダウンロード
違法にアップロードされたコンテンツと知りつつダウンロードする行為の規制は、音楽や映像作品に限られていた
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規制対象を漫画や書籍、ソフトウェアのプログラムなど、著作物全般に拡大した
③証拠収集手続の強化
著作権侵害訴訟で裁判所が侵害立証に必要な書類の提出命令を出すための判断を下すのが難しかった
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侵害立証に必要かどうかを判断するため、書類の保持者に書類を提出することを求めることができるケースが拡大された
④アクセスコントロールの保護
ライセンス認証を不正に回避する行為等に関して著作権法の規制が及んでいなかった
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アクセスコントロールの定義規程を改正し、著作権法で不正なシリアルコード提供に対する規制も可能にし、提供者には民事・刑事上の責任を問えるようになった
このように今回の改正は、インターネット上の海賊版対策を強化することに重点を置いた改正だと分かります。
このほかにも、著作権者から許諾を受けて著作物を利用することのできる権利を著作権の譲受人や第三者に対抗できるとする対抗制度が導入され、また、プログラムの著作物に係る登録制度も整備されています。
著作権侵害に対しては、重い罰則が設けられているため、特にインターネットビジネス関係者は今回の改正をきちんと把握しておくことが大切です。
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