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拡張パックのカード全部を設計してみた

カードゲームをやっているとよく批判のコメントを目にします。

「なんでこんな強すぎるカードを作ったのか」
「もっとバランス良くカードを作れないのか」
「こんなゴミパック発売するな」

 

そんな文句を言うのは自分でパックを作ってからにしろ、と思っていたのですが、
ちょうど年末年始の連休で時間があったので、自分でも設計できるのかチャレンジしてみることにしました。
どれだけカード開発が難しいのか勝手に体験しようという試みです。

 

オリジナルのカード、通称“オリカ”を作ったことがある人はいると思いますが
拡張パックに入る100枚弱のカードを全部設計したオリジナル拡張パックを作ったことがある人はいないはず。果たして作ることはできるのか…

今回デュエマのパックを作ってみましたが、前半ではカードゲーム全般に言えることしか書いてないので、デュエマをやっていない人も読んでいただけると幸いです。

 


 

とりあえず作った結果を出すとこんな感じ。
(細かいですが、たくさん文字がかいてあるなーぐらいに思ってもらえれば大丈夫です。)

 

1. オリジナル拡張パック カードリスト


デュエルマスターズ 色災篇第1弾「無縫の刃と天使の領域」カードリスト



作ってみて理解しました。
拡張パック作るのって滅茶苦茶難しい!!!


Wizards of the Coast様、タカラトミー様。
いつも素晴らしいパックを作って頂きありがとうございます…

 

 

2. 拡張パック全体を設計する難しさ

実際つくってみていろんな面で苦戦することがわかりました…

・各色のバランスと、攻守のバランスをとるのが難しい。
 何も考えないで作るとトリガーなどの防御札や呪文が少なくなりすぎました。

・5色に同系統の能力を付けるサイクルが多すぎると単調になってしまう
同系統の能力をすべての色に入れると、遊ぶ人は覚えやすそうですが、多すぎると多様性がないパックになってしまいます。

・低いレアリティのカードを考えるのがかなり辛い。
コモンが強すぎるとバランスが悪いし、弱すぎても面白くないのが悩みどころでした。
SRやVRの能力をサポートするカードを入れたいけど、あまりに組み合わせた時限定で強いとデッキの構築の幅を狭くしてしまうので、その調整が難しかったです。

・テキストの表記ゆれをなくすのが難しい。
同じような能力でも書き方を統一するのが難しすぎたので、今回は修正していません。

・カード名を考えるのが難しい。
ポケモンやワンピであれば元ネタがあるので簡単だと思いますが、元ネタがないカードゲームって名前もイラストも存在しないので、生み出すのにかなり苦労しました。
毎回キャラクターを生み出す仕事をしている人を滅茶苦茶尊敬します。よくネタ切れしないですね。。。


 

これらの壁を越えた上で既存のカードとの組み合わせを考えたバランス調整をしつつ、
未来の発売後の環境を考えてカードを設計しないといけないというのは、神の所業としか思えません。

 

今回一人でやってみたので苦戦した部分はあると思うのですが、
たくさんの人で分担したとしても、途方もない仕事量だと感じました。
一回やってみるとカードに対して文句を言うことはなくなると思います…

 

 

 

全体の感想は以上です。
ここから自分が作ったパックのこだわりポイントを好き放題解説していきます!



3. オリジナル拡張パック 全体のコンセプト

デュエマのパックといえば、約1年間通したテーマがあり、そのテーマにそった新規カードが生み出されています。

例えば超天篇ならGR召喚がテーマとなっていましたし、十王篇ならギャラクシールドや鬼タイムなど能力のコンセプトを統一するという形でした。

 

もうすぐ25年目にもなるカードゲームで新しいカードを約100枚も考えるのは相当大変なはずなので、今まで作られた数の少ない無色のカードをテーマにすることにしました。

大きなコンセプトとしては、無色単のデッキではなく、多色と組み合わせてデッキにすることでそのパワーを取り入れることができるというようなコンセプトとして考えました。

「無色と多色」と言えばこのカード

このカラーレスレインボーの「色災」というキーワードをマナ武装のシステムに取り入れてみます。

「色災武装 光」であればマナゾーンに光のカードがあれば特定の能力を得られ、
「色災武装 5」であれば5色文明がマナに揃っていれば能力を得れるといった形です


無色に色がつく変化と言えば、化学実験をイメージしたので化学から名前を取っていくことに決定。
種族は無色のカラーレスをもじってカラーレックス。レックスはラテン語で王という意味らしくピッタリ。


 

多くのパックは革命VS侵略とか、スター進化VSディスペクターみたいな、味方側VS敵側になっているので、今回は『無色with多色 VS 光with4文明』というようなコンセプトにしてみることに。

 

デドダムもカツキングも使えない光文明に強化を!という思いも込めています。

光文明を強化するために他の色のカードで、ジャストダイバーなどの他の色固有の能力を付与するといった形で検討することに。

 

せっかくパック全体を設計するので、新ギミックも追加したい。

味方側の補助カードとしてD2フィールド的なものを入れることに。
光がメインとなるので名前は「エンジェリックゾーン」としました。
光文明以外に配られるカードで、各文明の力を光のカードに追加する能力。

  
つくってみたカードを1枚例に出すとこんな感じ。


2ターン目にこれを出して、3ターン目に手札補充光クリーチャーを出すと、そのまま手札に加えた呪文が使える。というような使い方ができます。 

クリーチャーが場を離れても、このカードは場に残って後続にも効果が付与できるというような効果です。



味方側のボスは光文明ということでミラダンテ。
対して敵側のボスは科学者によって無色に改造されたドギラゴン剣。

こうしてブースターパックのコンセプトが決まりました。

 

実際に設計したカードの画像をいくつか作ってみました。

4. 実際に作ったカード 

 まずこの弾のメインのカードはコレ

デュエル・マスターズ オリジナルカード ジェネレータ様を使用させて頂きました。


ドギラゴン剣の能力を踏襲しながら、自身は無色にすることで差別化し、
無色のカードを入れることで逆に色災武装を達成しにくくなっているというデッキの作り甲斐があるカードというコンセプトです。

また、カツキングチェンジからカツキングを出すみたいな同じカードを二回出す動きを制限しているというのも調整ポイントです。

ドギラゴン虹(プリズム)という名前は、
無色透明でありながら光を通すことでカラフルな光となる”プリズム”から持ってきたもので、能力とマッチしているところがお気に入り



能力はシンプルながらデッキ構築を考えさせれるカード。
このカード自身も山札から回収される対象なので、大型呪文を踏み倒すのには工夫が必要というカードです。



エンジェリックゾーンを使って展開するカード。
光で連鎖するカードは過去にありましたが、エンジェリックゾーンにより他の文明の力を使えるので、SAでそのまま殴ったり、盤面を破壊したり、攻め方のバリエーションを増やせるというのがコンセプトです。



画像は作っていませんが、もし4弾まで作るならラスボスのクリーチャーはコンプレックスを無色化したこんな感じのクリーチャーが面白そう。





カードを生み出すことはめちゃくちゃ難しい仕事と思いますが、それ以上に新しいカードを作るのはめちゃくちゃ楽しい…
死ぬまでに一度でいいからカード開発の仕事をしてみたくなりました。





いろいろ書いてきましたが、私が言いたかったのは、どんな無茶苦茶なカードが世の中に解き放たれようとも、カードを作ってくれる方々に感謝しながら遊びましょうということでした。

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