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スモークフリーを目指す世界的タバコ会社「アルトリア」の現在
現代の資本市場において、タバコ産業は微妙な環境におかれている。
商売としての「儲かり具合」は折り紙付きだ。米国で主に展開するアルトリアグループの場合、2022年の売上高251億ドルに対して原価は64億ドル(売上の26%)。
マーケティングや一般管理費用は計23億ドル(同9.2%)で、実力値として64%を超える営業利益率を有することになる。現実にはタバコ販売への課税(同18%)により、営業利益率は47%にとどまる。
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このような中でアルトリアが掲げるビジョンは、「スモークフリーな未来への移行」。『Marlboro』を販売する世界的企業としては、なんとも切ない「目標」のようにも感じられる。
フィリップモリス・インターナショナルも「スモークフリーな未来の実現」が旗頭だ。ブリティッシュ・アメリカン・タバコは「より良い明日」だが、事業による「健康への影響を削減」する方針を明示している。JTは「心の豊かさを、もっと」である。
今回の記事では、業界大手の一角アルトリアグループの動向を足がかりに、タバコ産業の現在について紐解く。そこに見えるのは、健康に害なすとされる産業が巨額を稼ぎつつ、新たな道筋を模索する姿であった。
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