楽天カードの売上比率はたった4割。楽天Fintech事業の今後の戦略
2021年5月13日に発表された決算資料を踏まえて楽天Fintech事業の楽天カード事業以外について考察していきます。
2021年第1四半期 決算説明資料
2020年度 決算データ集
業績①連結業績サマリー
全体の売上は3915億と18.1%増加、既存事業の営業利益だけでみると、419億円で44.4%増加。
業績②フィンテックセグメント業績サマリー
フィンテックセグメントは売上収益は151億円で8.2%増加、営業利益は24.5億円で23.8%増加。楽天の営業利益の60%をフィンテックセグメントが占めている。
業界No1の成長を誇る楽天証券
営業利益は40%以上成長、証券総合口座数は業界2位。1位のSBI証券との差分も急速に縮小。
ネット銀行を牽引する楽天銀行
単体でも前年同期比21%増加の口座開設数と好調。楽天カードや投信積立の囲い込みも急拡大している。
今後の展開
楽天ポイントを活用した資産形成サービスの拡大は既に一定の成果がでており、今後一層の拡大が想定される。
日本郵政グループとの保険事業の提携によるオフラインからの顧客獲得を狙う。
今後の展開の考察
①楽天証券は楽天カード以上のポテンシャル
正確にいえば、楽天カードの顧客基盤をもとに楽天証券はさらに拡大が見込まれる。楽天ポイントを利用した少額投資や投信を楽天カードを利用することによってポイントが獲得出来る仕組みが既に一定の成果が出ており今後ますます拡大するだろう。
また、新型コロナウイルスの影響で非対面のネット証券市場の拡大・副業ニーズの拡大など追い風が吹いている。
②通信3社と比較しても楽天の強さが光る
NTTドコモは2022年度にデジタル口座を展開する予定であり、参入は2年後。PayPay銀行も口座数は口座増加率とも楽天銀行に及ばない。PayPay証券はあるが、決算資料に載せてないということは規模感として現状大きく無いと思われる。KDDIは決算資料に銀行・証券事業についての記載が無かったので詳細は分からない。
③楽天Fintech事業は金融DXを牽引する
金融DXといえば、国内ではSBIグループが長らく牽引しているがカード・証券・銀行で楽天が取って代わろうとしている。
また、保険事業においても日本郵政グループと提携したことで一層強化されるだろう。
PayPayやLineを持つソフトバンクと強固な顧客基盤を持つドコモが対抗馬だと思うが、総合的なFintech事業では先行者メリットを活かして楽天が一歩先をいく気がする。
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