【小説】5年後… #2
“いつも投稿を楽しみにしています。是非、行ってみます!”
こういうコメントがあるから、SNSはやめられない。グルメの投稿しかしていないからか、誹謗中傷はほとんどなく、優しいコメントがほとんどだ。
―“ありがとうございます。本当におすすめです!私もまた行こうと思っています。”
いただいたコメントに返事をして、眠ろうと思った時、また、通知が鳴ったので、携帯をのぞくと、今度はダイレクトメッセージのようだった。眠気が強くなってきたのもあり、スルーをしようかと思ったが、コメントやメッセージなどはなるべく早く返信をしたいという律儀な性格もあり、とりあえずこのメッセージだけ見ることにした。
「はじめまして。先ほどは、コメントのご返信ありがとうございます!
いつも投稿を楽しみにしています。お住まいは関西ですか?」
さっきコメントをくれた人からのようだ。アイコンは上半身の後ろ姿で、男性のように見える。何回かコメントをくれる人は数名いるが、彼からコメントをいただいたのは初めての気がする。
メッセージを返信をする前に、彼のアカウントをチェックしよう。この瞬間は、眠気より興味の方が勝っていたのかもしれない。
非公開アカウントではなかったので、彼が投稿したものを一覧で見ることができた。私と同じようにグルメの投稿が多いが、どこかに出かけたときの写真なのか、たまに風景写真も並んでいた。一番最近の写真は、嵐山の竹林の投稿だった。その4枚目に、20代後半ぐらいの男の子3人が笑顔で並ぶ写真があった。
この中のどれかが彼なんだろうな。
なんて思いながら、3人とも爽やかで怪しい感じではなかったので、メッセージを返信をすることにした。
「メッセージありがとうございます。関西在住のアラフォーです。
これからもよろしくお願いします!」
そして、彼からの返信を待つことなく、眠りについた。
私の朝は早い。と言っても、世の中のお母さんと、さほど変わらないと思うし、特別早いわけではないが。
ケイタが朝練に行く時間に合わせて、お弁当や朝御飯の準備をして、バタバタと送り出す。ケイタが行ったかと思うと、ミサキを起こして、自分の準備を始める。朝が弱いミサキは、スロースターターで、私の化粧が終わるころにやっとリビングに到着する。それなのに、ちゃんと朝御飯を食べて、髪の毛のセットなど身なりもきちんと整えるため、ミサキが家を出るより先に私が出勤する。学校に間に合っているのか分からないけれど、特に先生から何も言われたことがないので、学校には遅刻しないで行っているのだろう。