【小説】笑顔のチームメート
「もう、野球はやめたんだ。」
ボクは驚いた。巧みなピッチングと180cm以上ある恵まれた体格で、
中学生のころから一目を置かれていた彼が、野球をやめるなんて、にわかには信じ難い。
でも、彼の表情が一瞬、曇ったのを感じた。
色々と聞きたい衝動を抑えて、ボクは話を変えた。
「そっか、それにしても久しぶりだな。」
中学の卒業式以来だから、約4年ぶりのクラスメートとの再会。
彼とは中学3年生のとき同じクラスになったものの、
美術部のボクと野球部のエースの彼とは、ほとんど交わること