歴代のカレンダー、ここですべて見られます!東京都写真美術館 図書室 【前編】
2014年から始まった気仙沼漁師カレンダー。歴代作品すべてが見られる場所が東京にあります。それは、東京都写真美術館の図書室!(2024年版カレンダーは2024年1月以降に収蔵予定)
図書室の司書の方から、漁師カレンダーを企画制作している私たち気仙沼つばき会にご連絡いただいたのは今年の春のこと。気仙沼漁師カレンダーを蔵書に加えたいが過去のものは入手可能か、というお問合せでした。
過去作品の中には、現在は販売していないものもあるのですが、写真と映像の専門美術館の図書室に置いていただける!という貴重な機会。今や私たちの手元にもほとんど残っていない初期作品についても、保存用のものから1部ずつお譲りし、図書室に置いていただく運びとなりました。
2021年版のカレンダーを撮影した幡野広志さんは、
「気仙沼漁師カレンダーって、
何年か後には写真を勉強する人たちの
教材になると思うんですよ」
と、語ってくださっています。
東京都写真美術館の図書室に置いていただけることは、そこに一歩近づいたような嬉しさがあります。
なぜ漁師カレンダーを置きたいと思ってくださったのか、ぜひお話を聞きたい!と、図書室司書の本田尚子さんにお話をうかがいました。前編・後編と、2回に分けてお届けします!
「東京都写真美術館 図書室」とはどんな場所なのか
カレンダーを置いていただいたのは、東京の恵比寿ガーデンプレイスにある、東京都写真美術館の図書室。お話はオンラインでうかがいましたが、美術館について、図書室について知りたくて写真を送っていただきました。
TOPMUSEUM(トップミュージアム)の愛称を持つ東京都写真美術館。専門美術館と聞くと、主に研究者が利用するものと思いがちですが、誰でも気軽にすぐれた写真・映像文化に親しめる、開かれた施設なのだそうです。
初心者から上級者まで幅広い層が楽しめる、というところに心ひかれます。
カレンダーは、本来収集対象ではなかった
— この度は気仙沼漁師カレンダーを置いていただきありがとうございます!どういった経緯で「漁師カレンダーを」となったのでしょう?
本田さん
「コマーシャル・フォト」2023年2月号の特集記事でカレンダーのことを知りました。公文健太郎さん撮影の、朝食を食べている漁師の写真が印象的でした。
本田さん
図書室の資料は、学芸員や司書が候補をあげて検討し、館内で決議されたら収蔵という運びになるんですね。ですが、実は、本来「カレンダー」は収集対象ではないんです。
— ああ、カレンダーは対象ではない。そうですよね。
本田さん
でも、漁師カレンダーはテーマ性があり、1年ごとに違う写真家が撮影しているということと、カレンダーの中にはエッセイなどの読み物も入っているので、「雑誌の写真家特集号」として収蔵させていただくことになりました。
— そうだったんですね!ありがとうございます。実物は、カレンダーが届いてはじめて見られたのですか?
本田さん
はい。届いたものを拝見して、こんなに大きいのだなと驚きました。サイズも色々で、写真集のような判型もあり、魅力的ですね。
歴代カレンダー 多彩な魅力
— 実物を見られて、どのように感じましたか?
本田さん
同じテーマとしながらも、写真家によって多彩な表現になっているのが良いなと思います。漁師にフォーカスをあてた年や、ダイナミックな年など、同じ気仙沼の漁場でも、写真家によって撮影対象とする内容がバラエティに富んでいますよね。
また、写真家の作品としても見ることができるし、10年間続けてきたことによって「この時期の気仙沼はこうだった」と、気仙沼を振り返ることができるものになっていると感じます。
前半は、カレンダー収蔵の経緯を語ってくださった本田さん。後半は、どんなふうに図書室にカレンダーが保管されているのか、東京都写真美術館ならではの漁師カレンダーの楽しみ方を伺いました!