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12.優しい河原

初夏。
気持ちの良い日差しに澄んだ空気。

わたしは、数ヶ月後。
この土地を離れて都会のオトコに嫁ぐことになっていた。
結婚を、決めてしまった。
そのオトコと結婚すると、決めてしまった。

この世界の何が本当なんだろう。


今、こうやって決めた未来を自分は歩いていく。
こうやって未来を決める時に、
「それでいいの?」
と問う、もうひとりの自分がいる。 
「あの人への想いはいいの?」
「都会に住むでいいの?」
「それでいいの?」

「・・・それで、いいの。」

もうひとりの自分の声を奥に呑み込む。 
そう。こうやって決めた事、進んだ道。
それが全て必然であること。
後にどんな想いをしようとも、
『全ての事象が必然であること。』
わたしはそれだけが事実だと思った。
予想される苦しみも。
その後に受けるであろう仕打ちも。
全て含め、自分で決めた未来が、歩んだ道こそが、事実であり、必然であり、宇宙が決めたことなのだと。


サトルから連絡があった。
「今度、ひとり旅の途中にサイコさんとこ、また行くよ。逢える?」

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