見出し画像

感情の言語化の代理

どこでもおしゃべりマン

私は今年の9月頭くらいまで、自分でも積極的に投稿するTikTokのアカウントを持っていた。
1月まではFCに加入していた程度のSnow Manのファンだったので、動画の内容はほとんどそれだった。
Snow Manについてベラベラ喋って、編集で速度を上げて声を加工して、字幕を付けて、必要ならBGMを入れて。
動画編集といっても、その程度である。
今時のJKが友達の誕生日につくる動画みたいなクオリティ(いやもっと低いか)。
それでも、初の動画投稿から最終的に900人くらいのフォロワーがいたので驚きだ。
※アカウントは9月頭頃に削除済です。

私の動画は凝った編集やおしゃれさよりも、ベラベラと話す内容がウケていた。
Snow Manのことは大好きだけど、バーとかで鉢合わせたらすんげぇ嫌だ、推しなら余計嫌だ。とか。
MVのちょっとダサい衣装に茶々を入れてみたり。とか。
しばらくはずっとそんな感じで、ふざけ倒している動画だけを投稿していた。

ジャニー喜多川性加害問題

見出しの件の連日の報道で、当時のジャニオタ界隈というものは荒れに荒れて荒れまくっていた。
流れ弾で推しが悪く言われたりすることも少なくなく、敵対相手も常に司法を通すことなくやってくるので、みんな心がすり減っていたのだ。
おまけに、タレント達の仕事まで減らされたり降ろされたりなんかして。
みんなもう阿鼻叫喚か灰になるかの二択だった。
私はそういう時、敵の存在の一切を無視して推しに愛を叫ぶタイプだ。
信じてるよ、好きだよ、いつもありがとう。
それを動画になるようにもうちょっと噛み砕いてベラベラ言うだけ。
暗い部分には極力触れない、私個人のお気持ち表明みたいなものだ。

これがなんかウケちゃって。
いや、話題が話題なだけにウケちゃってという言い方は良くないんだろうが。
アカウントを運営する側の頭で考えると、ウケちゃったと言う以外に思いつかないのだ。
敵対相手のことは許さない!あのテレビ局は許さない!あの報道番組を、あのタレントを、今の推しを取り巻く何もかもを許さない!
みたいな投稿がTLに溢れかえっていて、素人による性加害は無かったことの証拠探しとか、敵対相手の粗探しとか。
もう、もうほんと、ジャニオタとインターネッツの悪いとこ。
ツイッターのノリをTikTokなんて、なうでヤングなSNSでやるなよ。頭痛いって。

そんな中、あまり無かった私みたいなタイプの人間が現れてしまって。
視聴者たちは、縋るようにコメント欄を埋めてくれた。
だって、問題の件で心を痛めている、という一言以外は推しのことめっちゃ好きだから推しには幸せでいてほしいみたいなことしか言ってないんだもん。
私からすれば通常運転なんだけど、なんか変に持ち上げられてしまって。

私もそこで自覚すれば良かったのだ。
ここはユーザーの年齢層が低くて、ちょっと目新しいものや珍しいものがあるとすぐに飛びついて、行き過ぎると縋ってしまう人間で溢れる思春期を過ごすような場所なんだと。
私がそれを考えることなく、今度はSnow Manの中で問題が起きてしまった。

匂わせ、ダメ、ゼッタイ

私の推しだった佐久間大介さん。
今は推しではないし年上だしってことで、佐久間さんと呼ぶことにしまーす。
ちなみに当時は、佐久間って呼び捨てにしてました。
失礼でごめん。だって、推しに君付けとかすると蕁麻疹でる体質なんだもん。

その佐久間さん、やらかしました。
ゲームの生配信中に、匂わせしちゃったんです。
その時の詳細とか相手方は伏せますけど。
そこからもう、放っておいてもどんどん入ってくるんですよ。
匂わせはこれだけじゃないって、匂わせ警察から過去の彼の行動からの報告が上がってくるわけですよ。
やれピアスの色だの、イヤモニの模様だの、プライベートでご飯食べに行った場所が何かの撮影地だっただの(すべて彼本人のブログの発信から発覚しています)。
怖い、怖いよ〜、調べる力と考える力が。

彼ね、何年か前にも女性関係でやらかしてるんですよ。
LINEのトークの流出。
それもあって、最終的には何故か、新規vs古参というファン同士のイザコザにまで発展しました。
こうなってくるともう界隈にいるのすら嫌になってきます。
佐久間さんのことは段々と嫌になってくるけど降りたくないというモヤモヤ、ファン同士のマウントの取り合いという最悪の空気。そして何故かずっと終わらない佐久間さんのブログなどでの匂わせ。
もう、もうわかった。もう勘弁してくれ。ここが地獄なのはよくわかったから。

そんな中、匂わせについて言及するような動画を出した。
自分の中でも怒りがだいぶ落ち着いてから動画を撮って、編集しながら自分の言葉尻に目くじらを立てて。
悲しかったよ、嫌だったよ、あなたファンには普段からこう言ってるじゃん、っていうことを淡々と言うような。
こう言ってたけど嘘だよね、焦ったらファンに嘘つくんだね。
そして、降りたくないからモヤモヤしたままずっと悩んでいる。
という、本当にただのお気持ち表明な動画。
これが、あんなにも反響が来るなんて誰が予想した?
たしかに、旬な話題であることは間違いない。
とはいえ、10万再生とかコメント125件(ほぼフォロー外)とか、私のアカウントでは普段はありえないものばかりだった。
それより伸びた動画もあったが、速度が格段に違った。
YouTuberとかが旬な話題にばかり触れたがるのは、きっとネットにこういう性質があるからなんだろう。と、その時なんとなく肌で体感した。

ネガティブなことの、代弁者

そのコメントの内容の多くは、
「投稿主(私)の言語化能力に脱帽です!」
「私の言いたいことそのまんまでびっくりしました!」
「全く同じ気持ちです!モヤモヤが晴れました!」
※これと変わらない内容のものが実際ほとんどでした。

みたいな、ある意味ちょっと怖くなるものばかりだった。
ポジティブな話題ではないので、私は元々概要欄には
「この動画に関するコメントへの返信は致しません」
と記載した上で投稿した。アンチ対策だ。
だから、共感を得たものであっても私を賞賛するものであっても、いいねだけして返信は一つもしていない。
よく話すフォロワーさんはどうせこういう時はDMに来るし。案の定DMに何人か来たし。これでいいのだ。

ただ、私は怖かった。
いやこのくらい、ちょっと落ち着いてから考えれば思いつく内容だし、
言語化って言ったって何か例え話とかしたわけでもないし、、
言語化ありがとう!とか、もう何故かとにかく感謝されまくっていた。私はとにかく怖かった。感謝される覚えなんか一つもないからだ。誰かのために施したつもりなんて毛頭ないし、代弁者になろうとも思っていない。

ネガティブな話題をわざわざ公に話す人って、信者的存在を集めやすいんだと思う。
たとえば発達障害界隈とか、夜職界隈とか、鬱(躁鬱)界隈とか。
そういう、マイノリティ寄りな上に声を上げづらいからこそ余計マイノリティになるような所。
ここ、当たれば大いに当たる。
共感を得たり、似たような経験の思い出を引用で語る人が現れたり、当たったからこそ反対意見的なものがリプや引用に付いたり。
そして信者的存在が集まるからこそ、そのコメント欄に、ちょっと話聞くの苦手なんだろうなって感じの人がアンチ的コメントを書けばもう、もう地獄。
投稿者からすれば、アンチコメントで溢れかえるよりよっぽど地獄だ。
私はそれを目の当たりにした。
そして、この動画のコメント欄で私以外がコメントにコメントを返すのは禁止、という注意書きを後から加えた。
私を差し置いて喧嘩すんな、ここは私のコメント欄だぞ。するなら私と喧嘩しろ。

ということで

ネガティブな話題の、感情の言語化の代弁ほどしない方がいい。少し喋れてしまう人間なら余計に。
代弁している自覚がなくても、勝手に代弁者に祭り上げられるのだ。集まるのは信者だから。
強い共感は時として、こちらに恐怖を抱かせることもあるようだ。

では、ここまで読んでくれたあなたに、何か笑顔になれることがありますように。

いいなと思ったら応援しよう!