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クリティカルシンキングのできない大人たち  (テレビが産んだ弊害)

これは前々回の記事、「テレビの命日」に関連することだと思う。

テーマは「クリティカルシンキング(Critical thinking)」だ。要は「物事を批判的・客観的に捉える」ことだ。



またいくつか例を出してみよう。

私は野球中継をよく見るのだが、日本テレビ(地上波)でのジャイアンツ戦の放送がごく稀にある。(近年は野球中継の大体がBS放送またはCSでやることが多い)

そして今年に入ってから、中継内で謎の企画(?)が始まった。画面上に複数の解説者が映し出されて、この後の試合展開を予想させるゲーム「サバイバルナイター」を実施している。

その中継内のゲームでは、「予想が外れた解説者は外した時点で2度と映さない」というルールがある。



因みに私の家族はそれを見て「あー〇〇(解説者)外したー」とか「××(解説者)すごーい、また当てた〜」などゲームの感想にいちいち反応して面白がっていた。

私は本当に呆れた。第一、解説者は各違う意見を持っているわけであり、「このあと確実にどうなるか」なんて分かるわけがない。それに「解説者の予想が外れたら2度と映さない」というのはあまりにも失礼極まりないことではなかろうか。

野球の選手そっちのけで解説者を比べてはしゃぐテレビ局とその視聴者。

どちらも問題だが、特に視聴者の方が問題がある。


視聴者はテレビ局から一方的に流される映像に対して、それを「見ること」しかできない。そして、見るだけ見て自分で考えることをしない。


野球中継の例でも、「解説者を比べるためのオモチャにしているだけで、解説者に対する配慮をしていない」ことを考えた視聴者はどれくらいいるのだろうか?

このゲーム企画、どうやら次回の地上波放送(9月17日)も行う予定らしい。それはおそらく視聴者側が「見るだけ見て面白がるだけだから文句は言わないだろう」ということを局側が認識している結果にすぎない。




テレビのニュースや情報番組・CMで「〇〇が若者に大流行」、「今注目の料理××」、「△△(アプリ名)今すぐダウンロード」などの言葉が四六時中聞こえるのではないだろうか?

これらを見て、そのサービス・物を「購入・使用」する。すぐに飛びつくだけ飛びついて、デメリットには目をつぶる。そんな人間が増えた。



例をまた挙げれば、昨今流行の「タピオカドリンク」は様々な味やフレーバーがある分、消費者を飽きさせない。だが、タンパク質と糖分ばかりの高カロリー食品であり、ドリンクの容器をポイ捨てするマナーの悪い人間が増えたのも事実だ。

テレビではメリットばかり取り上げて、デメリットなんて言わないのが暗黙のルールだ。


他にも日本でも人気のスマートフォンアプリ「Tik Tok」の米国内での使用を禁止する動きも出ているのにもかかわらず、日本国内ではCMを普通に流すなど、「デメリット隠し」は相変わらずだ。


この「デメリット隠し」の影響で「物事を批判的に捉える力」つまりクリティカルシンキングができない子供や大人が増えていると思う。



余談だが、戦隊モノやライダーもの、女児向けアニメを見た子供たちが「〇〇(番組名)のオモチャや服を買ってよ〜!」と親にねだることもしばしばあるだろう。

もはやこの時点でこの子供・親にはクリティカルシンキングの力は皆無だろう。


「半年もしないでシリーズが変わる番組を見せる親」と「その関連商品をねだる子供」。「物は大切に長く使う」ことを教えずに育った子供は果たしてどうなるのだろうか。


「デメリット隠し」がばれる日はまだまだ先だ。

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