映画「サマーフィルムにのって」を見タ
映画「サマーフィルムにのって」を見た。
余白の部分を埋めてくる小さなギャグに溢れていて好きだった。終始、マスクの下で口をニヤニヤさせて見ていた。漫画の「映像研には手を出すな!」と同じノリで面白かった。
対比を上手く活かしていたと思う。
時代劇映画と恋愛映画のジャンルが違う作品を作っていく対立構造を描いていて、地味な撮影チームと派手な撮影チーム、ストーリーの濃さの違い等々で、より対立構造を強調している。撮っている恋愛映画の「なんじゃ、それ!」と呆れさせるぐらいのポンコツさが過剰で分かりやすくて面白かった。そのポンコツ映画を撮っている風景を見ているハダシの「キーッ!」という悔し顔も過剰な力の入りようで良かった。所々で「キーッ!」顔を見せて徹底的に対立構造を植え付けていくのだが、最終的には上手く敵と混ざっていく。混ざっていく過程が「都合の良い話」なのだが、それこそが映画というファンタジーな世界を作れる真骨頂だなと思った。今作はタイムトラベルのSF要素が入っているが、そんなことよりも都合よく進む展開にファンタジーさをより感じて面白かった。頓珍漢な話だからツッコミを入れたくなり、ツッコミをいれさせてくれる余白やテンポで進むから、見てる側を置いてけぼりにはしない心地よさがあった。
追う立場と追われる立場の対比構造を前半と後半で変えているのも良かった。見ている側に意識させるようなカットでした。
この対比という構造で一番輝いたのは、ブルーハワイなんだろうな。剣道部で大会に優勝するほどの武闘派なんだけど、実は…という対比が彼女の中に存在する。この”実は…”をチラチラと匂わせておいて、前述の追いかけっこと合流するシーンがあり、その時は私のニヤニヤは全開だった。良いキャラを登場させたな…別に映画を作る立場ではないのにブルーハワイのようなキャラを登場させることに「ズルい」と思ってしまう。
ハダシ・ビート板・ブルーハワイのあだ名の由来を知りたかったな。カッコよくない名前だけど、誰もが必ず一回は口にして言ったことがある言葉。夏に由来しているのかな?
今回は目黒シネマで見た。「子供はわかってあげない」と同時上映されており、「子供は…」は一度見ている作品だったので、見ないつもりだった。しかし、「サマーフィルムにのって」の面白さの勢いに飲まれてというか、身をゆだねて「子供は…」も見てしまった。”この高揚感と一緒に見ないと損するぞ!”と心が訴えかけてきたような気もした。見て良かった…。両方を見て、自分は余白を埋めてくるようなギャグが好きだなと改めて実感した。そして、夏に同時上映してほしいと思った。
2020年の夏に見た「アルプススタンドのはしの方」も面白かった。夏の邦画の学園物って面白い良作が揃うの?今年の夏は、邦画の学園物を中心に映画館へ通おうかと思うのであった。でも、恋愛中心の作品は、体中が痒くなり「キーッ!」顔になるので避けようとは思う…。