2024 四大陸選手権 ワールド前の正念場
世界選手権前に開催されるフィギュアスケートのチャンピオンシップ大会は欧州選手権(ユーロ)と四大陸選手権。今年の四大陸は中国上海での開催でした。
予想外の展開が多かったユーロに比べると、四大陸はよくも悪くも波乱が少なかったように思います。少しずつ書き残していた感想を私の中でおさらいして、3月のモントリオールワールド観戦に備えようと思います!
首都圏外住民のぼやき
私は四大陸選手権での男女シングルのメダル争いをはじめ、りくりゅうの試合復帰、アイスダンス日本勢やカナダ男子のワールド代表争いなどを楽しみにしていました。
しかし・・・私が住む関西はテレビ放送がない!
フジテレビが「今晩フリー放送!」ってX(Twitter)でポストしているのが何度も目に入るけど、こっちは放送ないっちゅーねん!
男女シングルのSP後半グループだけはBSフジでの放送がありましたが、画質のよくないサブチャンネルでの放送だったので私はISUの公式配信youtubeで視聴していました。でも「BSフジはCMが全然入らなくて快適」との声が聞こえてきて、最終グループ前にテレビをつけてみました。
いや~画質悪いのは録画には適さないですが、見るぶんは結構慣れちゃいますね。配信も回線状態悪いと一瞬ヒヤッとすることはあるし、「画質キレイでも時々乱れる」VS「画質の悪さがずっと安定している」かの二択なんだなと思いました(苦笑)。
私は「初見時は実況ありで見たい派」なので、テレビ放送が無いのは素直に残念です。(先日のユース五輪みたいな実況なら無い方がいいですが)
地上波放送があるのはありがたいことですが、「録画を首都圏限定で深夜に放送するのであれば新規ファン獲得につながる可能性も低めなんじゃないか?」「当日の地上波放送を全国ネットにできないならBSかCSで生放送してもらえれば首都圏外の視聴者も放送を見られるのにな~」と、つい恨めしく思ってしまいました。
ペア
復帰戦りくりゅう VS アラフォーペア
りくりゅうペアこと三浦 璃来&木原龍一組は今季は木原選手の腰椎分離症によりグランプリシリーズを欠場していました。彼らの久々の復帰戦演技も公式配信のみでの視聴です。
ミスがちょこちょことありましたが、さすがの滑りで2位!
フリーの練習再開できたのは1週間前で、試合での演技が4回目の通しだったと後で知ってビックリしました。
まだ省いているつなぎの動きも結構あるそうなので、あと1か月半でどこまで仕上げていけるのか、楽しみです。とはいえ背中の怪我は無理禁物なので見守る側も焦らずにゆっくり見守りたいと思います。まだまだ見ていたいペアですからね!
今回優勝したのは「ステデシ」ことディアナ・ステラート=デュデク&マキシム・デシャン組。御年40歳のディアナさんが表彰台に登り、ペア最年長メダル記録を作れるかどうかは私にとってワールド最大の見どころの一つです。
(現在はおそらく男性39歳&女性35歳、合計74歳のフィンランドのヤコブソン夫妻の記録が最長なので、男性32歳+女性40歳だと合計72歳と合計年齢では残念ながら及ばないようです)
<<追記>>39+35は74なのに81と間違えて記載していたので2/11に修正しました。さらに32+40まで間違えてたし…お恥ずかしやw
パートナーを変えつつめちゃくちゃ長いことペア現役を続けていた、あのアリオナ・サフチェンコさんとディアナさんって実は同い年なんですよね!ディアナさんの活躍を見るとサフチェンコさんも復帰したら結構いけるんだろうか?いやディアナさんが規格外なのか?と考えてしまいます(笑)。
アイスダンス
金メダルはカナダ組の争いになりましたが、金メダルはパイポー組ことパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組へ。
パイポー組のフリーダンス「嵐が丘」には見惚れてしまって、暫定得点表示カウンターを見るのをすっかり忘れてしまいました。「ハマりプロ」だと思うので、今回出場辞退した米国のマディソン・チョック&エバン・ベイツ組が出てたらどうなったんだろう?と気になりました。ワールドでの対決、どうなるか楽しみです。
NHK杯で見てなかなか衝撃的だった「ホラープロ」のカナダ3番手、マリー ジャード・ローリオ&ロマン・ルギャック組が5位と躍進していたのもよかったです!
彼らのフリーダンスの楽曲は、ティム・バートンの映画「コープスブライド」。アイスダンスは演技開始時の静止ポーズで「何でそんなポーズ取れるん?」って絶句させられることが時々ありますが、これもその一つ。
「死後硬直した花嫁が墓場から蘇る」ところからスタートするのはインパクト抜群です。
何より演技終盤のコレオリフトで、男性の肩の上で女性が直立不動で横たわる一瞬は凄い!男性の立派な肩とあご?で成人女性の体を支える微妙なバランスポイントを見出したこと&女性のとんでもない体幹がなせる技なんでしょうが、何度見ても「!?」となります。
日本で視聴可能な今季の公式映像はNHK杯の演技動画だけなのでリンクを貼っておきます。彼らもワールド代表に選ばれるといいな。
アイスダンスの日本代表争い
四大陸まで決定が持ち越されたアイスダンスのワールド日本代表争い。RDでは若手2組がレベルを取りこぼしてしまったこともあり、小松原組と結構点差がついて早々に決着がついてしまった感があったのはちょっと残念でした。
でも、日本から出た3組それぞれが印象的な演技をしたことにはワクワクしました。ワールド代表決定を持ち越したのは大正解でしたよね。これなら代表選びも文句なし!という方が多いでしょう。
若手はPCS評価がジャッジによってバラツキが激しくて、「評価割れ過ぎにも程があるやろ」とは思いましたけどね。特にあずしんはPCSの同じ項目で5点台と8点台が共存してるってどうなん?と思ってしまいました。今後国際大会に出続ければまた変わってくると思うので、今後がとても楽しみです。四大陸はポイントがでかいので3組ともしっかりポイントを取れてよかったです。
他で印象に残った組は、韓国のイム・クァン組ですね。開脚リフト技美しかった~。去年の国別対抗戦で見た時に「韓国にこんな素敵な組が!」と驚いたのですが、その時よりさらに凄みを増したような…今後もどんどん成長していきそうな予感を感じました。
女子シングル
日本女子VS韓国女子VS米国女子
ベースは日本女子&韓国女子、そこに全米選手権を欠場して四大陸に絞ってきた米国のアヴァ・マリー・ジーグラー選手がどこまで食らいつけるか?が見どころでした。
今季前半怪我に苦しんだ三原舞依選手は、全日本選手権の様子を見た限りでは、今回も厳しい試合になりそうだなと覚悟していました。結果は7位。悔しさは残るだろうけど、ポイントを稼いで来季につなげられたのは良かったかなと思います。
渡辺倫果選手は今季初めてトリプルアクセルが決まりました!だからこそ後はルッツ決まってればな~と勿体ない気持ちがつい出てきてしまいます。でも決して大崩れしなかったことが銅メダルを勝ち取りましたね。あぁ、ワールドもうあと2枠ぐらいあったらなぁ。
千葉百音選手は毎回凄く不安そうな顔をして氷上に出てくるのに、演技はどっしり構えた感じで次々決めてくるのがいつも不思議です(笑)。フリーラストのスピンはえぐかった!四大陸選手権優勝したことで国際評価も上がるだろうしワールド表彰台も十分ありえそうです。というか上位勢にミスが出たらひょっとして…ってこともワンチャンあるかも?というぐらいの勢いを感じます。
アヴァ・マリー・ジーグラー選手も演技をまとめてきたので、ギリギリで渡辺選手の上に行くかな?と思いつつ採点を待っていたのですが、意外と点が伸びず。ルッツジャンプでエッジエラーと「!(エッジ不明瞭)」を食らっていました。優勝したNHK杯ではついていなかったのですが。(今回の四大陸選手権は男子も女子もエッジコール、めちゃめちゃ厳しいという程ではなかったですが、若干厳しめには感じました)
韓国勢では、去年ワールド銀メダルのイ・ヘイン選手が大崩れしてしまって哀しかったです。去年のさいたまワールドの時は「あ~この子今日はもうミスしないわ」って思うぐらい安定していたのに。10代女子が安定した成績を収め続けることの難しさをつくづく感じます。韓国女子のトップの入れ替わりの激しさを思うと、今回2位だったキム・チェヨン選手の今後まで不安になってしまいます。選手層が厚いからこそ入れ替わりが激しいともいえるのですが。
まぁ坂本花織選手も10代後半は乱調気味だったしなぁ…長く続けてくれれば乗り超えていけると期待したいです。
男子シングル
前半グループの魅力的な選手たち
四大陸&ユーロで一番楽しいのはグランプリシリーズにも出てこないような選手をたくさん見られること!フィリピンのセレスティーノ選手とか、4回転やトリプルアクセルもなくてもスケーティングが綺麗な選手が結構いるんですよね。
あとはアフロヘアーでいつも楽しそうに演技してくれるオーストラリアのダリアン・カプティッチ選手とか。(アフロのダリアン君というあだ名でインプットされているため、いつまでたっても彼のフルネームが覚えられません…)
カナダのワールド代表争い
トップ勢の争いとは別に私が注目していたのは、カナダのワールド代表争い。先日の投稿にも書いた通り、大自爆大会になった先月のカナダナショナルで壮絶な代表枠の譲り合いをしていたので、逆に関心が高まりました。
他選手に比べポテンシャルはやや劣るものの、昨季は安定した成績を収め続けた結果さいたまワールド出場を果たしたコンラッド・オーゼル選手。
一方、ポテンシャルは高いのに最近は自爆試合しか見た記憶がないロマン・サドフスキー選手。
二人の対決は、かなり崩れたオーゼル選手(総合17位)を小自爆程度で抑えたロマン選手(総合10位)が抑えた形になりました。とはいえロマン選手はSPフリーどちらもトリプルアクセル入らずで不安は残りまくりです…。
2月9日現在、カナダはまだワールド派遣選手を発表していませんが、おそらく最上位のウェスリー・チウ選手とロマン・サドフスキー選手が代表になりそうです。ロマン・サドフスキー選手、いいスケーターなんですけどね…自爆率が高値安定してはや何年。もうそろそろ確変する彼を見たいと思っているファンは多いはずですが、どうなりますかね。
ボーヤン&ジュンファン選手の復調
総合5位はボーヤン・ジン選手。
久しぶりにフリーで4回転ルッツを含む4回転3本構成をまとめてきました。「ついにここまで戻してこれたか」と感慨深かったです。2021年以降のワールドは連続22位、彼の本来の実力からいうと不本意な成績続きだったので、来月は久しぶりにワールド入賞する彼を見たいです。
銅メダルはチャ・ジュンファン選手。
今季前半は怪我の影響でかなり厳しいスタートでした。例年シーズン終盤にかけてじっくり調子を上げていく選手とはいえ、さすがに心配していました。上記のインタビューでもまだ回復途上だと語っていたようですが、ワールドでどこまで戻してこれるでしょうか。
演技は良かったのに、鍵山選手同様ルッツにアテンションがついてしまったのが気になってはいます。シニアに上がってからは「!」や「e」ついたことなかったので、ちょっと驚きでしたね。
ここからは日本男子3人について。
山本草太選手
山本草太選手はSPもフリーもボーヤン選手の直後の滑走というある意味不利な順番。SPは大量のぬいぐるみが舞う空気を気にもとめない集中力でまとめたので、フリーも行けるか?と思ったのですが、冒頭4回転2つでミスが出てしまい、惜しくも総合4位。
でも、フリー後半については全日本の演技よりも好きですね。全日本選手権のあの神がかった最終グループの流れの後であんな完璧に滑りきった演技は「圧巻」の一語でしたけれど、ガッツポーズ連発がやっぱり嫌だったのかも(苦笑)。今季最後の演技で、彼なりのエクソジェネシスの世界観をようやく見せてもらえたような気がしました。
過度なぬいぐるみ投げ込みについて
私は選手一人あたり数個ぐらいまでならぬいぐるみの投げ込みは微笑ましいなとは思えるんですけれど…度を過ぎた投げ込みは氷も荒れるし、ウォーミングアップの時間は削られがちになるしで後続の選手にいいことは一つもないように思います。ISU(国際スケート連盟)までが過剰な投げ込みを煽っていたように見えた時代を思い出して、なんともイヤ~な気分になりました。
イベント色の強い花試合ならともかく、チャンピオンシップ大会では過度な投げ込みは規制してほしいです。来月のモントリオールワールドではそこまでの事態にはならないとは思いますが。
佐藤駿選手
今回もっとも心を揺さぶられたのは佐藤駿選手です!
公式練習開始2日目以降、練習でクワドどころかトリプルすらろくに決まっていないーという驚愕の現地情報が伝わってきていましたからね。私はてっきり現地入りしてから厳しめの怪我をしたのだろうと思っていました。
「公式練習でジャンプがイマイチはまらない」というのは珍しくもなく、調子悪そうだった選手が本番で大活躍するのはよくあることですが、伝え聞く練習情報はそういうレベルじゃなかったですし。
6分間練習でちらちら映るのを見ても明らかに不調そうだし、大丈夫か?と滑り出し前は心配度MAXの状態。
それが滑り出したら…自己ベスト更新じゃないですか!
そういえば彼は2023国別対抗戦の時も練習でヤバヤバな状況だったところ、本番はまとめてきたんでした。今回はあの時の練習&本番時の高低差を更に超えてきた!って感じでしたね。
佐藤駿選手が4回転ルッツ降りたとき、私は2018年全日本選手権の宇野昌磨選手のSPを思い出しました。あの時の宇野選手は6分間練習でジャンプトライしにいって痛みに顔を激しくゆがめた後は一切ジャンプを跳ばず、ひたすら周回を繰り返すだけ。ファンの心配度がMAXに高まったところ、本番では4回転フリップ決めてのクリーンな演技でしたから。
とはいえ佐藤選手は実際のところかなり不調ではあったのでしょう。フリーもまとめて銀メダルを獲得しましたが、今季あれほど上達していた表現が控えめに見えたのはちょっと残念でした。もっとできる選手なのにって。
でもこれだけ勝負強さを持っているのは本当に強みですよね。来季以降も楽しみです。
鍵山優真選手
下馬評通り、優勝は鍵山優真選手!
フリーでは試合で初めて4回転フリップをステップアウトはしましたが、着氷しました。
練習ではあんなに高確率で美しく着氷できているのに、3種を実際に試合に入れるのってやっぱり難しいんだなと今回も思わされました。フリーで4回転2種を入れている選手のうち、練習では他の種類も跳べている人は結構いるのに、いざ3種投入となるとうまく揃わない選手が多い。
鍵山選手はスピン・ステップ・スケーティング全てが上質で高得点を取れるけれど、金メダルを狙うには4回転3種を入れない限り「上位のミス待ち」になってしまいます。彼が3種をクリーンに揃えられるかどうかが、ワールドの見どころですね。欲を言えば今後は4回転3種4本かセカンドトリプルループの復活も望みたいなぁ。
英語版Yumaは俺様キャラ?
おまけ話です。
今大会、試合終了後の優勝者インタビューは日本語⇒中国語⇒英語でリレー翻訳されていたのですが、英語翻訳は俺様キャラ寄りwになっていたのにちょっと受けました。
「フリップのミスの後も諦めずに挑んで残りのジャンプをほぼ着氷できてたので、ホッとしています」という主旨の謙虚な発言だったはずが、翻訳リレーの結果「フリーで少しミスしちゃったけど僕のタイトル獲得の妨げにはならなかったね!ぼくは今とても幸せさ~」みたいな感じで、「あんた誰やねん」状態(苦笑)。
試合時の会場観客向けの翻訳は「内容が大きくそれてなきゃOK」ぐらいのゆる~いレベルの翻訳のことが多いので笑って見ていましたが、今回は日本語を理解する海外スケオタの間で「翻訳リレー中にキャラ変わりすぎ、かわいそうなYuma(苦笑)」とちょっと同情されていました(笑)。
これにて今季後半のフィギュアスケートの大きな国際大会はいったんひと段落です。2024モントリオールワールドまであと1か月とちょっと。出場する選手たちが良い練習を積めて、実力が発揮できることを願います!