けろ

イギリス留学中の大学3回生。演劇や英文学を専攻しています。普段は京都で勉強しています。 来年春に、作家としてデビュー予定です。

けろ

イギリス留学中の大学3回生。演劇や英文学を専攻しています。普段は京都で勉強しています。 来年春に、作家としてデビュー予定です。

最近の記事

夢が叶った日の夜の青さ ~ロンドンにて~

夢を叶えることは同時に、夢を失うことだ。一つ夢が叶った日に、トラファルガー広場を通り抜けながらそれに気づいて、もうすぐ消える夢の灯火を胸に抱きながら、私は一人でこっそり泣いた。 ロンドンで『オペラ座の怪人』を見た。中学2年生の頃、25周年記念公演をDVDで見てから、ずっと憧れていた演目。いつか日本のアンドリューロイドウェバーになると、アンコールで舞台に出てきた彼を見て、和室のテレビの前で誓った。 留学生としてあり得ない程度に世界情勢に興味を持てなかったけれど、良い舞台を見

    • 輪郭 ~言葉を信じることについて~

      輪郭が閉じた日のことを鮮明に覚えている。 異変に気付いたのは中学二年生のクリスマスの朝だった。起きると、ところどころ隙間が空いていた私の輪郭は、始まりから終わりまで、隙間のないわっかになって、閉じていた。 珍しく、同じ部屋で眠る母よりも先に目覚め、ベッドの上に身を起こし、カーテンから漏れる光を見たとき、「あれっ、閉じてる」と嬉しくも、悲しい気持ちで驚いたのだった。 おそらく、朝の光はいつも、私の輪郭の小さな隙間から内側に入ってきていたのに、その朝は、皮膚の表面ではじかれて