甘えたなぼくは美容院が好きだ
美容院が好きだ。いや、もちろん好きなのだけど、厳密に言うと、髪の毛に触れられるのが好きなのだ。
小さい頃、母は泣きじゃくるぼくをぎゅっと力強く、でも優しく抱きしめてくれ、頭をわしわしと撫でてくれた。
ひくひくと嗚咽しながら、泣くのを止められなくなったぼくに、「大丈夫やから、なっ、大丈夫やから」と言い、髪の毛を押さえつけるように撫でてくれた。
大きくなってからも、というとおかしいかもしれないが、母に頭を撫でられたことが二回ある。
一度目は、大阪のミナミにある予備校に通っ