トレーニング前(運動前)のウォームアップのやり方や、意識すべきことを教えてください。
ウォームアップには以下の効果があります。トレーニング(運動)全体の時間の5〜15%を目安に行うと良いでしょう。(トレーニング全体が60分であればそのうち5〜10分程度をウォーミングアップとして行う)
※入浴やマッサージではなく、体を動かすウォームアップの解説です。
トレーニングでのケガや故障の予防効果
トレーニング中のパフォーマンス向上
トレーニングに対しての心の準備になる
当日の体調の把握ができる
なぜウォーミングアップには上記のような効果があるのでしょうか?
筋温(体温)の上昇による効果
筋肉が繰り返し収縮することにより代謝が亢進する際に多くの熱が発生する為、筋温が上昇します。発揮出来る筋力の増加や、筋肉の柔軟性の向上が期待できます。また、血液の温度上昇により血液から活動する筋肉への酸素運搬が促され、酸素の運搬と利用を促進する。
呼吸循環器反応の変化
メインとなるエクササイズを開始した際に、心拍数、換気量、酸素摂取量の応答が早くなる。このことにより、運動開始時の乳酸の蓄積を軽減する事が期待できる。
神経機能の活性化
神経が情報伝達をする速度は、体温の上昇に依存して早くなる為、ウォームアップによって反応が速くなる。また、交感神経が亢進することにで、体温や呼吸循環器系の反応が高まる。
柔軟性の増加
ストレッチングや体操のように意図的に関節や筋肉を大きく動かすことにより、筋温の上昇と相まって、筋肉や腱の粘度が低下する(柔らかくなる)。筋肉や腱が伸び縮みしやすくなり、筋断裂などのリスクを減らせる可能性がある。
どんな種目のウォームアップを行えば良いか?
運動の特性に合った動きをする
メインとなる運動で行う動作を考えてみて、その動作に近い動きや、運動で必要であろう動作を組み入れましょう。
運動を行うことにより考えられる障害(怪我)を予防するような動きを行う。
行う運動により怪我しやすいと考えられる部位を考慮しましょう。
一つの運動にこだわらず、複数のタイプの運動を組み合わせる。
動かす関節の部位だけでなく、バランスト感覚を高める運動や、瞬発的に力を発揮する種目などをウォームアップに取り入れる事もできます。
エクササイズの種類や、特性によって変化させましょう。
低い運動強度から段階的に運動強度を高める種目を行う。
ウォーミングアップそのもので怪我や事故を起こさないようにし、より効果を得る為に低→強へと段階的に運動強度を高められるように種目を選択しましょう。
メインとなる運動や、クールダウンとの時間配分について十分に考慮する。
一回のエクササイズ(主運動)プログラムの中でより大きな効果を得る為には、優先順位高い種目から選択していく必要があります。
全運動時間の10〜15%、例えば60分の運動時間ならば5〜10分を目安としましょう。
また、運動を行う者の体力や体調を考慮して時間や内容を調整する必要があります。
しかし、安全性や効果を追求するあまり、必要以上の時間をウォームアップに使ってしまうのは本末転倒です。
指導対象者の性別、年齢、習熟度に応じたプログラムを行う。
指導者は、ウォーミングアップの強度や種目を選択し、適時声がけして行きましょう。
健康運動指導士