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キッチン選びの秘訣|建築士が教える選び方

キッチンは家庭の中心とも言える場所であり、家族が集まり、食事を作る場所です。そのため、キッチン選びは家づくりの中でも非常に重要な要素です。建築士として、私は多くのご家庭のキッチン設計を手掛けてきました。ここでは、キッチン選びの秘訣をお伝えします。


1. 自分のライフスタイルに合ったキッチンレイアウトを選ぶ

キッチンレイアウトは家族構成やライフスタイルに大きく影響されます。
以下の代表的なレイアウトの特徴を参考に、自分に合ったキッチンを選びましょう。

  • I型キッチン: シンプルで省スペース。狭いスペースでも設置可能。

  • L型キッチン: 作業効率が高く、開放感がある。広めのスペースが必要。

  • U型キッチン: 作業動線が短く、効率的。広いスペースが必要。

  • アイランドキッチン: 開放感があり、家族やゲストとのコミュニケーションが取りやすい。広いスペースが必要。

使い方などで、キッチンレイアウトは変わります。

  • 車いす対応: キッチンカウンターの高さを調整し、十分な足元スペースを確保することで、車いすでも使いやすくします。特にシンクや調理スペースの下部に空間を設けると良いでしょう。

  • 複数人での調理: 作業スペースを広く取り、動線を確保することで、複数人が同時に調理しやすくなります。アイランドキッチンやL型キッチンは、複数人での調理に適しています。

実はレイアウトはパントリーなどの収納位置、冷蔵庫の位置、配膳する位置などで決まってしまうことが多いです。

リフォームなどで形状を変えたい場合、キッチン周り全体の見直しが必要となります。特に、使いやすいレイアウトを実現するためには、これらの要素を総合的に考慮することが重要です。

2. 機能性とデザインのバランスを考える

キッチン選びで重要なのは、デザイン性だけでなく機能性も兼ね備えた選択をすることです。具体的には、以下のポイントに注意が必要です。

収納力
十分な収納スペースを確保し、調理器具や食器を整理しやすくすることが大切です。収納力を重視する場合、引き出し型収納が便利です。また、吊り戸を効率よく使いたい場合はリフト式収納庫を検討しましょう。

収納タイプ:
キッチンの収納タイプには、「背面収納」と「パントリー」の2タイプがあります。「背面収納」はキッチンカウンターの背面に収納棚を設けるタイプで、「パントリー」は食料品や調理器具を収納するための小室を設けるタイプです。家族のライフスタイルや使用頻度に合わせて選びましょう。

キッチンメーカーが提供する便利なアクセサリーや、調理効率を向上させるための特殊な引き出し構造など、使い勝手を高める付属品も積極的に取り入れることが推奨されます。
また、デザイン面では、キッチンの見た目やカラーバリエーション、取手やノブのデザインも重要視し、家全体のインテリアスタイルに調和させることが目指すべきです。コストを考慮しつつ、機能性とデザインのバランスを取りながら、最適なキッチンを選ぶことが理想です。

3. キッチンの高さを考慮する

キッチンの高さは使う人の背丈に合わせることが重要です。キッチンの高さは一般的に90cm、80cm、70cmの3種類があります。
低いものを選ぶと背の高い方はキッチンでの調理や洗い物が大変になります。
高いものを選ぶと背の低い方は加熱器具でやけどする危険性もあるので、慎重に選ぶ必要があります。

4. 加熱機器の選択

加熱機器はキッチンの中心的な役割を果たします。選択肢にはIHクッキングヒーターとガスレンジがありますが、家庭の状況やライフスタイルに合わせて選びましょう。

  • IHクッキングヒーター:太陽光発電パネルがあるオール電化住宅に最適です。火を使わないため安全で、調理中の熱も少ないため夏場でも快適です。特に、高齢者のいる家庭では火災のリスクを減らすために選ばれることが多いです。

  • ガスレンジ:オール電化でない家庭では、ガスレンジが一般的です。ランニングコストが安く、火力調整がしやすいのが特徴です。ただし、高齢者には火災のリスクを考慮する必要があります。

5. 引き出しや扉の面材

引き出しや扉の面材も重要なポイントです。キッチンは日常的に使用する場所であり、清掃性の良い面材を選ぶことが大切です。サンプルを必ず確認し、掃除がしやすく、耐久性のある素材を選びましょう。

6. 料理スタイルに合わせた選び方

キッチンを選ぶ際には、どんな料理を作るのかが重要です。使用する器具や作業スペースを考慮しなければいけません。例えば、頻繁に焼き物をする家庭ではオーブンの設置が必要ですし、大きな鍋を使う家庭では広めのシンクが便利です。

7. コンセントの配置

キッチンで電化製品を使用する際、コンセントの配置は重要なポイントです。以下の点を考慮することで、キッチンの使い勝手が向上します。

  • 背面収納:ポットや炊飯器、電子レンジなどの設置場所には必ずコンセントを配置しましょう。これにより、調理や片付けがスムーズに行えます。

  • キッチンカウンター:ミキサーや保温器具など、カウンター上で使用する電化製品のためのコンセントを設置することで、わざわざダイニングテーブルまで移動する手間が省けます。特に、使用頻度の高い電化製品の近くにコンセントを配置することで、作業効率が向上します。

8. 予算内で最適な設備を選ぶ

キッチン選びにおいて、予算は重要なポイントです。予算内で最大限の機能性とデザイン性を実現するために、以下のポイントを押さえましょう。

  • 優先順位を決める: どの設備や機能が最も重要かを決め、それに予算を重点的に配分する。

  • 複数の見積もりを比較: 複数のメーカーや業者から見積もりを取り、比較検討する。

  • オプションの選択: 必要に応じてオプションを追加し、予算内で理想のキッチンを実現する。

9. 環境に配慮したキッチンを選ぶ

最近では、環境に優しいキッチン設備も注目されています。エコキッチンの選択は、地球環境にも優しく、長期的に見ても経済的です。

  • 省エネ機器の導入: エネルギー効率の高い家電製品や照明を選ぶ。

  • 節水機能: 節水機能付きの水栓や食洗機を選ぶことで、水の使用量を減らす。

10. シンクやカウンタートップの素材を選ぶ

シンクやカウンタートップの仕様は大きく分けて2種類あります。ステンレス製と人造大理石の違いを理解し、自分のニーズに合った素材を選びましょう。

  • ステンレス製: 清掃性が良く、コストも抑えられています。

  • 人造大理石: コストはかかりますが、前面にカウンターを設ける時など、カウンターと作業面をフラットに仕上げられるなど、美観に優れています。

11. 水栓の選び方

水栓はキッチンの使い勝手を大きく左右する重要な要素です。ハンドシャワーで吐水切替(通常とシャワー機能を切り替えられるハンドシャワー付きの水栓は、食器洗いや食材の洗浄など、さまざまな場面で便利です。水栓の選び方についても以下のポイントを考慮しましょう。

  • シングルレバー水栓: 温度調節が簡単で、操作がしやすいです。

  • ダブルレバー水栓: 温度と水量を別々に調整できます。使いやすさを重視する場合に適しています。

  • スプレーヘッド付き水栓: 強力な吐水で食器を洗浄したり、シンク周りを清掃するのに便利です。

  • 節水機能付き水栓: 水の使用量を抑えて経済的です。環境にも配慮した選択です。

12. キッチンのデザイン性を考慮する

最後に、キッチンのデザイン性も重要なポイントです。自宅のインテリアスタイルや好みに合わせて、以下のようなデザイン要素を選びましょう。

  • カラーと素材: キッチンのカラーや素材は、全体のインテリアに調和することが重要です。明るい色調や木目調など、お好みに合わせて選びましょう。

  • ハードウェア: 取手やノブのデザインも重要です。スタイリッシュなデザインや使いやすい形状を選ぶことで、キッチン全体の印象が変わります。

13. 利き手を考慮する

1.     コンロやシンクの配置: 右利きの場合、主にコンロの右側にシンクを配置することで、調理や洗い物がスムーズに行えるようにします。左利きの場合には逆に、左側に配置することが一般的です。

2.     収納の位置: 収納棚や引き出しの配置も、利き手に合わせて考えることがあります。例えば、よく使う調理器具や食器類が取りやすい位置に配置するなど、使いやすさを重視します。

3.     作業スペースの配置: 料理の流れや作業効率を考えて、利き手に合わせた作業スペースの配置が重要です。料理中に移動距離を短くすることで、作業効率が向上します。
これらの要素を考慮して、右利きと左利きで異なるレイアウトを設計することがあります。ただし、優先するのは家庭の具体的なニーズやスペースに合わせて、最適なレイアウトを検討することです。

まとめ

キッチン選びの要点をまとめると、機能性とデザインの調和が重要です。家族のライフスタイルや料理のスタイルに合わせたレイアウトを選び、効率的な収納や作業スペースを配置しましょう。キッチンの高さや水栓の選定も快適性を考慮して行い、持続可能な素材にこだわらない選択肢を探します。予算管理を意識し、清掃性や耐久性のある素材を選んで、長期間快適に使用できるキッチンを目指します。
また、キッチンに関するご相談は建象設計では無料で承っています。お客様のニーズに合わせた最適なキッチン設計をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。


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