短歌連作『二月の夢』
自由ってほんとうに気持ちいいものか聞く人がたまに夢に出てくる
これも損、これも損って決めつけて何度も流れ星を見逃した
利己的という感情のない町で手前から取られていく牛乳
さみしさは色の濃い水 湖にくろい同心円がひろがる
全身を峰打ちみたいに叩かれて情けばかりのひかりを進む
このくらい(私一人が泣かないでいれば)全然大丈夫です
重力に指を沿わせてエリンギを裂く 言えなかったことを数えて
夢でだけ心の底から笑えるという人を抱きしめて眠りたい
〈同じ夢 もう一度見る方法〉と打ち込む 春が近づいている
春が来た、って教えたくなる一番にぼくが見つけたみたいな顔で
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