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『アーカイブズ通信』#3「アーキビストを目指して①」

 「アーキビストを目指して」ということで、今回は私がアーキビストを目指している理由について書きたいと思います。
 私がアーキビストを目指すきっかけとなったのは、小学校4年生の頃まで遡ります。
 夏休みの一斉登校の日に行われる平和集会で長崎の原爆の話や佐賀でも空襲があった話を聞き、恐くなるほどの衝撃を受けた私は、一目散に祖父のところへ向かいました。

祖父の写真。享年89歳でした。


 私の祖父は太平洋戦争時代をリアルに経験した世代の人で、私が「おじいちゃんはその時どうしてたの?」と聞くと、普段は口数少ない祖父が戦下における貧しい暮らしや長崎の被爆者が助けを求めるかのように汽車に乗ってやって来て、駅のホームでそのまま…といった生々しい光景を見たことなど、戦争下を生き抜いた人にしかない経験を話してくれました。
 それを聞いた私はとても驚き、祖父が持っていた歴史の書籍や図書館にある戦争関連の本を片っ端から読んでいき、情報をインプットしていきました。そうこうしているうちに、「歴史」を学ぶ意義を見つけた私は、歴史を理解することに没頭していきました。
 時が経ち、高校生の頃、歴史オタクになりかけていた私に、祖父が「歴史を理解することはとても大切なことだ。ただ、それ以前に、当時のことを記した記録史料がなくなったら未来はどうなるだろうか?伝え残していかなければ、お前たちのようなこれからの未来をつくっていく世代が「過去」のモノからヒントを得たり、自分たちのアイデンティティのようなものを見つけるときに困ってしまうのではないだろうか。私の戦争体験を聞いて歴史を好きになってくれたお前だからこそ、記録史料をどうしていくべきかということも真剣に考えて欲しい。」と熱く語ってくれました。
 そんな祖父の言葉に深く感銘を受けた私は、「記録史料」を扱う仕事に就きたいと考えるようになりました。
 そして、見つけたのが「アーキビスト」という職業でした。
 祖父の言葉を胸に刻んだ高校3年時の私は、大学受験において「アーキビスト」を軸にした大学選びを行いました。
 そして、学部でアーカイブズコースがあり、全国に先駆けて独自のアーキビスト養成課程を持っている「別府大学」に進学することに決めました。


 

≪次回≫
『アーカイブズ通信』#4
「アーキビストを目指して①」

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