言葉の力〜経営理念は作った方がいいという話
経営理念というけれど、本当にいるの?
5年前までの僕は正直、あまり経営理念というものが本当に必要なものなのかピンときていませんでした。
僕は株式会社PILOTというITベンチャーの会社を2005年に設立したのですが、当時からよく使っている言葉がありました。
TAKE OFF WITH PILOT
この言葉を合言葉として使ってはきました。この言葉のもつ意味を社員のみんなに話しているつもりでしたし、当然分かっているだろうと思っていました。しかし、僕自身キャッチフレーズとしてなかなか良い出来だったな、程度でそこまでこの言葉を重要視していなかったのです。
もう一つ創業時に言っていたのが
会社は自己実現の場であるべきだ
という言葉。
当時、ライブドア問題もあり、会社は誰のもの?という議論というかテーマが取り沙汰されていて、僕自身は会社は社員のものであるべきだという信念があって、殊更に社員のみんなに言い聞かせていた記憶があります。
ひとりひとりの人間がいて、その人間が働くということで自己実現をするのが最初にあって、会社とはそのための器であると。
だから3年間くらいの時間をこの会社で過ごすつもりで、自己実現をしていくように、と。結局人と人も人と会社も出会いと別れはあって、それを同一視すること、ましてや会社に一人の人間が従属しているという考え方はおかしいわけで、一人の独立した人間として自分がいるべき場所にいること、それがPILOTという会社だったら最高だよね、ということが言いたかったかったのですが、今から思えば本当にその意図を伝えられたのかなという不安はあります。
経営理念を立てる意味
2015年、会社を作って10年の月日が経ちました。
その間、会社パンフレットにもTAKE OFF WITH PILOT は印刷されていましたし、何度かリニューアルしたコーポレートサイトにも出てきたり出てこなかったり。
僕自身、実は経営理念を立てることには少し抵抗があったのです。
なぜなら言われるまでもなく、正しいことを行っていればいい。
みんなが当たり前のことを当たり前のようにやればいい。
それを言葉で縛るような真似、誘導するような真似はしたくない。
自主尊重と自由というのが僕の信条で、もし僕が言葉で縛られたらどうなるだろうと想像すると自分だったら反発するかもしれない、と思っていました。
しかし、それは今から思えば間違っていました。
きっと僕が僕の作った理念に反発することはないのです。
なぜか?
それは理念に共感しているからです。
理念は価値観の共有と言い換えることができます。
そして目指すべき目標でもあります。
例えば TAKE OFF WITH PILOT はPILOTと共に成長しよう。飛躍しよう。という目標であり価値観が込められています。(主語は読む立場によって違うのであえて書いていません)
この理念に共感するであろう人は、自分を成長させたい、飛躍したい人であるはずです。
そしてクライアントさんに対しては、僕らPILOTが一緒になってクライアントさんを飛躍させます、という宣言でもあります。
PILOTのメンバーはクライアントを飛躍させる、成功させるという目的も同時に持つわけです。
経営理念作成前と作成後の変化
1番の変化は社員全員がこの言葉を当たり前のように意識するようになったこと。浸透にはほとんど時間がかからなかったかな、という記憶があります。それはおそらく今までやってきたことや姿勢を言語化しただけだったからだと思います。
二つ目は仕事上の話をする時に、全てがここを起点に話し始めるようになった(これは僕自身も含めて)というのも大きな変化でした。
例えばそれまでは会社の制度を作ったりする時に、話の土台がないのでやるかどうかの判断基準はみんなが納得するのか?それをやる価値があるのか?やった時にどんな効果があるのか?など様々なことを色んな人と話をする必要がありました。
それが理念があると変わります。判断基準に一本の軸ができます。理念に沿っていなければ、そもそも議論する必要がないこともあります。
例えば僕の会社ではリモートワーク制度をコロナ前から採用していましたが、個人あっての会社という理念からも個人の働き方の多様性や自由というのは追求していくべきなのは火を見るよりも明らかでした。
このように理念は判断基準の拠りどころとなるのです。
三つ目は理念から基本方針、行動理念へとブレイクダウンしていくことで、会社のあるべき形が見える化していきます。
長くなるので詳細は省きますが、企業理念から行動理念へとつながる会社としてのストーリーが流れ始めるのです。
経営理念
Take Off with PILOT 〜 パートナーとして横に立つ存在であること 〜
基本方針
with our client 〜 一緒に仕事をしたいと思われる存在であること
with our member 〜 一緒にいたいと思われる人であること
行動理念
・PILOTクオリティを追求すること
・得意を伸ばして不得意も隠さず出すこと
・常に行動の意味を考えること
・ポジティブであること
・恩送りすること
・ワークライフバランスを大切にすること
このようなストーリーがあると、人事についても会社としての姿勢が決まります。どのように人を成長させていくのか、どんな人間に育って欲しいのか。厳しい話になりますが、理念に共感できない人間は別の会社で生きていくべきだとハッキリ言えるようになります。
最後に〜企業理念を立てましょう
社長や創業者は言葉にしなくても、何かの思いを持って起業したり経営したりしているものです。
実は普段当たり前だと思っているからこそ、僕のようにそんなものあってもなくても一緒だと思っている人も多いと思います。しかし、当たり前だと思っているのが自分だけだったと気づいた時、ゾッとするはずです。
経営者は孤独だと思っていませんか?
社員を味方にする、本当の仲間にするには理念を作るのが一番だと思います。
ぜひ自分の会社の理念について真剣に考えてみてください。
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