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[制作について]断面の仕上げ、念引き、型紙
制作は常に冒険で同じ道を行っているつもりでも毎回違います。
行きたいところまで行けるようになってきましたが、2017年から続けていると行きたいところも高くなり、いろいろ遠回りもしてきました。
高い場所(仕上に対する解像度が上がり高いレベル)にもそれなりに早く行けるようになったのも遠回り(あらゆる方法と関連する知識の集積)の成果だといえます。
まだまだ道半ばですが現時点の制作について記してみます。
[制作技法]仏製馬具の縫製技法
*縫製について
フランス馬具の縫製技法(Le Point Sellier)*1で鞄、小物すべて同じ技法で縫製しています。
ミシンを使わない伝統的な手縫いの方法で、
縫う度に糸同士を掛けて固定するような縫い方になり
縫い目が両面とも斜めになるのが特徴です。
似た縫い方ですが、糸同士を掛けずに縫う方法もあります。
馬具の鞍の力の掛かる部分(縫い合わせた革が互いに別の動きをしようとする部分)では前述
[道具について]目打ちと菱錐とポンチ
道具を作るのもまた職人です。
ここでは、手にする度に背筋の伸びる素晴らしい道具と
制作の中で変わっていった道具を紹介します。
制作する中で些細な作業性の悪さを軽視することは
作品の質を確実に下げます。
道具を自分が使いやすくなるまで手を掛けた、手に馴染む道具を紹介いたします。
*目打ち
制作ではヨーロッパ目打ちと呼ばれる縫い目のマーキングをする道具を使用します。東京浅草にある岩田屋工具店の目打
[フルオーダー]ナイフシースの制作
少し前になりますがフルオーダーでナイフシースの制作依頼をいただきました。
渓流釣りという実用的な使用環境でお使いになるので装備に引っ掛かりにくい装飾を排したシンプルなデザインを念頭に制作しました。
末永くお使いになれるように芯材はヌメ革とステンレスを用いた特殊な制作となりました。
下記に簡単ですが行程を記します。
・仕様の確認
装備に引っ掛かりにくい。納刀した状態でベルトに取付した際に少しグ
[フルオーダー]財布の制作記
過日、昨年末に開催した個展でオーダーをいただいていた財布が無事完成しました。
20年使った財布からの買い替えでオーダーをいただけたことは本当に嬉しく、また気が引き締まります。
20年もお使いなので全く違うものより手に馴染んだ使い心地を優先して、以前お使いだったものと同じ寸法で制作しました。
私が作ると全て革になりますので化繊生地が使われていた以前のものとはまた違う雰囲気になったと思います。