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「正体」という作品、2つのフォーマット比較

 年末大晦日に映画を観ました、「正体」という映画です。今回はその作品のフォーマット比較をしてみたいと思います。そこまでネタバレはしていないつもりですが、気になる方はスルーして頂けると幸いです。

映画「正体」

 冒頭がなんか暗めの怖い映画だなぁと思ってみてたら、5分くらい経って「あれ?なんか既視感が…」とかなって、あぁ去年NETFLIXでハマって観てたドラマの映画化されたやつかーと、上映前に何故気付かなかったんだという笑

 冤罪がテーマの原作なんですが、ドラマ版はWOWOW放送がメインで佐藤健、映画版は横浜流星、ヒロインはドラマ版は貫地谷しほり、映画版は吉岡里帆というラインナップ。

 そして、映画版で特徴的だったのが主人公を追いかける刑事役の存在が大きくて、その役をやっていたのが山田孝之。ルパン三世でいう銭形警部、レ・ミゼラブルでいうジャベール警部、地動説がテーマのチ。でいうところのノヴァク、といった作品中に示される圧倒的存在感。これはドラマ版の数倍は存在感があった気がします。

 ドラマでは4時間位のボリューム、映画では2時間という長さになっているので、もちろん見進めていくとドラマ版にあったシーンや人物像の描かれ方でカットされている部分もありましたが、そもそもは小説が原作なので、ドラマ版と映画版では描かれ方も脚本も監督も違うから、そりゃ当たり前かというところなんですが、ドラマ版から入った身としてはどうしても比べてしまうんですよね。

 といったところで、まだ公開中だし細かな比較や論評的なことはそこまでしませんが、とりあえず映画版は素晴らしかった!!!!!!

 大晦日の朝に大号泣、映画館のど真ん中で40代のオジサン一人啜り泣いておりました。館内にはもしかすると横浜流星ファンらしき女性の方が10名位いたでしょうか、ドン引きだったことでしょうw

 でもね、本当に終盤に進むにつれての主人公と警察との鬼気迫るやり取り、そこに絡んでくる主人公と接点を持った方々の優しい想い、それらが組み合わさって、そして冤罪を脱獄というなかなかハードで無理やり感のある設定で乗り越えようとした主人公の「だって僕はやってないんだ」という意思の固さは色んな意味で相当に胸に応えました。

 というよりも、この作品は主人公のそういったハードなマインドを称えるというよりは、彼を通じて人々が正義ってなんだろう、優しさってなんだろうという問い掛けをしてくる作品だと感じました。

 単純にドラマ版との比較で、あくまで個人的見解としては、まず脚本や監督は映画版が圧倒的に素晴らしいと感じました。観終わった後は横浜流星スゲー、カッケーとか思ってましたが、主人公役の演出やセリフ含めて脚本家や監督の描き方が物凄く上手かったんだろうなと。

 横浜流星のあの無垢な雰囲気があったからこそ演じられたという意味では勿論ご本人の素晴らしさも改めて感じた次第ですが。終盤の主人公から発せられる言葉の一言一言、身振り手振りがスクリーンに映し出されるたびに涙が止まらなかったオジサンが何言ってんだ、ガッチリ横浜流星に心掴まれてたじゃないかって感じですが笑

 でも、これも言っておかないといけないのがあって、佐藤健の方が逃亡犯を演じる意味ではとてもしっくりきていたという事ですかね、やっぱり横浜流星は綺麗すぎて犯人役が似合わないし、あの手この手を尽くして変装しようとしてるだろうけど全然変装になってないんですwこればっかりは佐藤健に軍配が上がってるなと感じました。

 それと大事なヒロインについて。ドラマ版のヒロイン、貫地谷しほりが演じる出版社の編集者でありつつ、主人公に恋心を抱いていたあの雰囲気は素晴らしかったなぁ。吉岡里帆も大好きな女優さんだし、普通に可愛いから好きなんですが、この点もドラマ版での描かれ方、主人公との関係性などは貫地谷しほりが良かったなぁ。

 でもって、冒頭にも述べましたが、映画版の刑事の存在感!!それがこの映画版での一番の特徴でありオリジナリティーかと。

 冤罪がテーマのドラマや映画は世の中に沢山出ているし、昨年の袴田さんの何十年かけて無罪を勝ち取ったあれこそ事実は小説より奇なり、ということを表していますが。奇というよりも断然悲劇に近いし、あってはならないことですが、警察や検察の都合によりというのは実際にあるんだろうなぁと嫌々ながらに認めざるを得ない有名な事件も世の中には沢山ありますしね。

 とまぁ、そんな感じで、この「正体」。ドラマ版を先に観てたとはいえ、映画版はマジで不意打ちくらいまくりの大号泣した作品でしたが、やっぱり人の暖かさや優しさっていいなぁと大晦日らしい時間を過ごせた素晴らしい作品でした。ネトフリでドラマ版も観られるので、ドラマ版もスリリングで最高なので、是非見比べて楽しんでほしい作品です。

 因みに、この映画を観終わった後に、一番楽しみにしてたライオンキングも観たのですが、別の意味で娘がギャン泣きし過ぎて、上映5分と持たず退散してしまい、実際にはまだ観ていません。悔し悲し…


《おまけ》 
 あ、そういえばエンディングのヨルシカの楽曲もとても素晴らしかったです。アニメ「チ。」のエンディングで一気に僕も好きになったヨルシカが、この映画のエンディングもとても良い感じに余韻を残してくれました。

 でもって、やっぱり前述した「チ。」の第一クールのエンディングの楽曲のサビの箇所がマジで大好きです、民族楽器みたいなのが沢山入っててかなり大好物な編曲です。OPのサカナクションの楽曲も早くフルで聴きたい…


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