KEN YAMASHITA

「キネマ旬報」「ゲンロン」「neoneo」『ダルデンヌ兄弟 社会をまなざす映画作家』『フィルムメーカーズ ゴダール』などに寄稿。「エクリヲ」同人。

KEN YAMASHITA

「キネマ旬報」「ゲンロン」「neoneo」『ダルデンヌ兄弟 社会をまなざす映画作家』『フィルムメーカーズ ゴダール』などに寄稿。「エクリヲ」同人。

最近の記事

「“異聞”としてのブラジリアン柔術」を『エクリヲ vol.15』に寄稿しました

 5月19日発売の『エクリヲ vol.15』におよそ2万字の論考『“異聞”としてのブラジリアン柔術』を寄稿しました。通販や全国の独立系書店さんなどで発売中です。  雑誌のテーマは「モダン・ラテン・アメリカ」。文学・映画・アニメーション・思想など南米についてのイメージを刷新するような特集になっています。 『エクリヲ』は2014年から始まっている批評同人誌で、僕も長らく編集に携わってきたのですが、今回の号は論考と短い映画レビューを2本寄稿する形でかかわりました。  このno

    • 〝UFC以前〟の総合格闘技

       1993年11月12日、米国デンバー。  日本では当時「アルティメット」と呼ばれていた「UFC 1: The Beginning」が開催される。ボクシング、空手、相撲、サバット、キャッチレスリング、柔術……様々なバックボーンを持つ8人の格闘家が参加した、〝何でもあり〟ルールによるワンデイトーナメントが行われた。  優勝したのは、グレイシー柔術を代表して出場したホイス・グレイシー。一回戦、準決勝、決勝戦の3試合を合計しても5分に満たない早さで、すべての相手からタップアウト

      • 最初の「ヴァーリトゥード」はいつなのか グレイシー一族と総合格闘技の誕生

         最初の「ヴァーリトゥード」はいつ行われたのか?  ヴァーリトゥード(vale tudo)とは、ポルトガル語で「何でもあり」を意味する言葉であり、言葉そのものには「柔道」や「ボクシング」のように特定の格闘技を指す意味はない。ただ、20世紀の前半から、ブラジルのおもにリオデジャネイロとサンパウロにおいて、打撃あり(ときに頭突きもあり)、組技あり、サブミッション(絞めや関節技)も許された〝何でもあり〟の格闘が「ヴァーリトゥード」と呼ばれ、試合が行われていた。  打・投・極すべ

        • グレイシー柔術の起源とは何か ロバート・ドリスデール『OPENING CLOSED GUARD』について

           グレイシー柔術の〝起源〟とは何か。  今や世界規模で行われるようになった総合格闘技において、グレイシー柔術(ブラジリアン柔術)の技術習得は必須となっている。現在もなおMMAシーンを牽引するUFCの第一回大会(1993年11月12日開催)で、ホイス・グレイシーがボクシングや相撲、空手といった数多の格闘家を退けて優勝したことで、その技術体系はブラジルの一部地域を超えて、世界各地へと伝播していった(ちなみに、日本ブラジリアン柔術連盟のHPには、国内だけで300を超える柔術アカデ