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休耕田の活用①(岐阜で、土に触れる #3)


(1)耕作をやめれば、ただの荒地です


わが家には2か所の「田んぼ」があります。
1つは父が相続したもの。こちらは、家から車で1時間という距離にあります。もう1つは母が相続したもの。こちらは、家から車で5分(徒歩で15分)という、距離です。

どちらも10年以上前に耕作をやめています。耕作をやめたからといって、放置はできません。耕作をやめた田畑は、雑草たちのパラダイスとなるからです。すると、周囲のまだ現役で作付をされている田畑の迷惑となってしまいます。そのため、草刈りだけは定期的に行なわねばなりません。

10年も耕作を放棄した田んぼは、もはや「田んぼ」ではなく、ただの「荒地」と化します。そして、草刈りだけが必要な、何も産まない「負」動産となります。

元「田んぼ」、今は「荒地」

そんな「荒地」ですが、せっかくなので活用することにしました。何もしなければ「負」動産ですが、見方を変えれば「自由に使って良い土地」です。売るための高品質な作物を育てる必要もありません。気ままに、気長に、自分たちや周りにいる人が食べられるものを作ろうと、動き始めました。

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(2)休耕田の再利用:枯草問題


① 耕運機では歯が立たない

まずは「荒地」を作付ができる農地に戻さねばなりません。そこで、親戚のツテで農家さんに相談してみました。結果は、「耕運機のような機械は使えない」という回答をいただきました。

長年放棄された田畑には、草の根がはびこっています。中には、深く固い根もあります。例えば「葦(アシ・ヨシ)」。上に載せた写真の田んぼを耕してみると、葦の根がぞろぞろと出てきます。まさに、「はびこる」と言う表現がぴったりな状況です。

【はびこる(蔓延る)】
①(雑草などが)茂り広がる。
② 悪いものの勢力が強くなって、手が付けられなくなる。

新明解国語辞典 第八版

ちなみに「葦」を辞書で引くと、こうあります。辞書って面白いですね。

水辺に生える、ススキに似た多年草。茎は編んですだれを作る。[イネ科] [「悪し(あし)」と同音を忌んで、ヨシとも言う]

新明解国語辞典 第八版

土中に太い根をびっしりと張り巡らせる「葦」は、土を耕して生きてきたご先祖様たちにとって、まさに「悪し」ものだったのでしょう。その太い根は、とても機械では太刀打ちできません。刃が傷んで、使い物にならなくなってしまいます。

機械は使えないということで、人力で耕すことに決めたのでした。

(分かりにくいですが)掘り起こした葦の根たち

② まずは枯れ草の処理から

長年、草刈りだけされてきた土地なので、表層に枯草が積み重なっています。土を耕そうにも表層の枯草が邪魔なので、まずは最初に枯草をかき集めました。

それほど広くもない土地です(200㎡)。それでも、かき集めれば枯草はかなりの量になります。「燃やすごみ」に出せる量ではありません。仕方ないので、風のない日を選んで、少量ずつ燃やしながら処分していくことにしました。

とりあえずかき集めた枯草

③ めっちゃ燃えた…

翌週、よく晴れた風の弱い日を選び、田んぼへ向かいました。少しずつ燃やして処分していく予定なので、まずは、両手に抱えられる量の枯草を運び出し、火をつけました(本来、野焼きは違法です。ですので、近隣に迷惑のかからない風向きを選んで、少量ずつ燃やす予定でした)。

枯草はよく燃える

枯草なので、マッチ1本でよく燃えます。少量ずつ燃やす予定でいたので、どれくらい時間がかかるかな、と考えていました。ですが、次の瞬間にはかき集めた枯草の山に火が移り、みるみるうちに田んぼ全体に火が広がっていきました。

一瞬で燃え広がる。。焦った。

田んぼの四方は、お隣の田んぼ・水路・道路に囲まれているので、外に燃え広がる心配はありません。ですが、一気に燃え広がる火を前に、なすすべなく見守るだけというのは、なかなかに焦る状況でした。

【教訓】
火をナメてはいけない。

またたく間に田んぼ全体へと広がった火ですが、10分もすると田んぼの中の枯草を燃やし尽くし、鎮火しました。ホッとしました。あれだけ山と積まれた枯草も、火の力によって一瞬で消え去ったのでした。

焼け野原
Before

アメリカやオーストラリアの大規模な山火事のニュースが、毎年のように日本にも伝わってきます。現地の映像を見ながら、心を痛めつつも、どこか他人事のように感じていたのも事実です。ですが、一気に燃え広がる枯草を目の当たりにして、一度燃え始めた山火事は、人間の手に負えるものではないと、理解できた瞬間でした。火をナメてはいけない。

とういことで、枯草問題はあっという間に片付きました。

(3)休耕田の再利用:耕す・植える


① 耕す

「休耕田の再利用」といっても、お米は手間がかかりすぎます。ものすごい労力とノウハウが必要です。お米大好き人間としては、米作りはプロに任せたい。。ということで、「畑地として再利用」の一択です。

元は「田んぼ」なので、構造的には大雨が降れば水が溜まります。他所から土を運び、土地自体を盛り上げて畑地にする案も考えられますが、諸々の事情で100万円ほどかかるとのこと。それは、趣味の範囲を超えています。。

父と相談した結果、次のような方針に落ち着きました。

  • 耕した土を盛り上げて、そこに作物を植える。

  • 畑地が冠水しないようにする。そのために、周囲の用水路から水が入らないようにする。また、降った雨が溜まらないようにする。

耕して土を盛り上げてみたら、こんな感じになりました。まずはトライアルということで、端の位置部分だけを耕してみました(写真)。最初に載せた枯草だらけの写真と比べれば、なんとなく「畑地」のように見えなくもない。

② イチジクの木を植えてみる

次は植えます。あまり手がかからず、なおかつ、おいしく食べられるものが望ましい。ということで、まずはイチジクの木を植えてみました。

【いちじく(無花果)】
[もとペルシャ語のanjirが中国語の映日果(インジクオ)を経て入ったと言う] 庭に植える落葉小高木。夏の末から秋にかけて生る鶏卵大の実は、生食用・ジャム用。また、液汁や干した茎・葉・実は薬用。「いちじゅく」とも。[クワ科] かぞえ方:一株・一本

新明解国語辞典 第八版

結果(文字通り、植物が実を結ぶこと)は2~3年後の見込み。イチジクの結果を楽しみにしながら、残りの田んぼ(焼け野原)の活用を進めていきます。

イチジク①
イチジク②

(本文終わり)


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