そうだ テイストの話をしよう
面白い実験の話から
①食塩水を含ませた綿棒で舌をぬぐう
②酸味を含ませた綿棒で舌をぬぐう
③苦味を含ませた綿棒で舌をぬぐう
④甘味を含ませた綿棒で舌をぬぐう
これらはすべて赤ん坊に対して行ったものです
結果は?
①食塩水を含ませた綿棒で舌をぬぐう
→ 変な世界に生まれてきた?と
キョロキョロします
②酸味を含ませた綿棒で舌をぬぐう
→ 舌をすぼめて、嫌がる
③苦味を含ませた綿棒で舌をぬぐう
→ 険悪と苦痛。口をあけて吐き出す真似をする
④甘味を含ませた綿棒で舌をぬぐう
→ 笑顔
この実験からわかることは
酸味は人間に傷みかけている可能性を
警告してくれるもの
苦味は食べてはいけない
有毒の危険物であることを警告してくれるもの
甘味は何よりそそられる味質であり、
高エネルギーであることを知らせてくれるもの
私達にとって信頼できる味質。
※私たちは母乳から育つので、
甘味に安心感を覚えるのは当たり前なのです。
その他(旨味)は肉のうまさを感じさせる味質
高エネルギー食品であることをしらせてくれる。
前回のアロマ(香り)に続き、
今回はその次、
テイスト(味わい)について書いてみます。
ちょっとマニアックな事もありますが、
普段感じている味わいを理解出来ると、
香りと同様に「食べる」「飲む」という行為自体が不思議と楽しいものになってきますよ!
いつも携帯でSNSを見ながら、
またTVを見ながら食べたり飲んだりしている方は特に必見・・いや、必読。
今日は味わいを感じてみましょう!
3つの味わいの関係性から
今日はまずは3つから。
ほかにも味覚を構成する味わいはありますが、
まずこの3つの関係性を覚えてください
みなさん、対比効果はご存知でしょうか?
あの餡子煮る時の一つまみの塩とか、
スイカに塩かけるとか。
やや反対の味覚要素が入ることで
特定の味覚が向上されるという
料理用語&方法です
酸味と塩味
酸味があると、まろやかに感じやすいですよね
塩味のみだとしょっぱい!塩辛いだけになる
上手く活用した商品では「 レモン塩」
塩味と甘味
塩味があると甘味は感じやすくなる
生ハムメロン、スイカに塩と甘さを引き出す
この関係性は先人たちの知恵で、
その昔まだ農業の技術が高くない時代、
どうしても熟れないスイカが出来てしまった。
でも当時はそんな裕福な時代ではなく、
あるものを食べて生活するしかなかった。
その時に、
少しでも甘さを感じやすくできないか?
そう考えた中、出てきた味わいの関係性です。
最近では洋なしに生ハムをまいたり
オシャレに提供するレストランもありますが、
おしゃれから派生したものではないこと、
知っておいてほしいです。
きちんとした時代背景が
そこにはあるのですから。
甘味と酸味
甘味があるから酸味は
より心地よく感じやすくなる。
酸味のみなら鋭く、ビビッドに不快に感じる。
※バルサミコ酢、米酢(お米の甘味)
未熟なシトラス類
いかがでしょう?
この3つの味わいの関係性を
知っておくだけでも楽しくなります。
皆さんの周りにある、
これら3つの関係性に値するものを
見つけてみましょう!
味わいの補足説明
塩味(補足説明)
私たちが何故、
塩味を認識できるか⁉についてですが、
海で生活していた哺乳類の祖先から受け継いだ
体液の塩分濃度を保持するうえで
不可欠だからです。
海水塩
原材料は海からくみ上げた海水のみ
海水から水分を除くことによって
塩分を濃縮した塩
一切の添加物や加工助剤を加えずに、
海水中の塩類を結晶化させた塩
1.太陽と風の力で水分を蒸発させ、
塩を結晶させる方法
2.太陽と風の力で水分を蒸発させ、
平釜で煮つめて塩を結晶させる方法
3.平釜で煮つめて塩を結晶させる方法
4.逆浸透膜と圧力により塩分濃度を高めて、
平釜で煮つめて塩を結晶させる方法
5.噴霧と加熱により水分を蒸発させ、
塩を結晶させる方法
味はミネラルを多く含んでいるため、
マイルドな塩味が特長
岩塩
数億年前、海が地殻変動で隆起するなどして
海水が陸上に閉じ込められ、
水分が蒸発・濃縮、塩分は結晶化、
更に地中で圧縮されたもの。
日本は岩塩層から外れていて岩塩はほとんど
採れず四方を海で囲まれているので
海塩を製造するしかない。
岩塩には塩化マグネシウム(MgCl2)が
少ないということが言えます。
塩化マグネシウムは『にがり』の主成分として
知られていますように、
たんぱく質の凝固作用があります。
つまり海塩には動植物性のたんぱく質を
『固く凝固』させる性質があると言えます。
肉などを柔らかく仕上げたい際は
海塩より岩塩を使う方が 良いでしょう。
実は岩塩にはミネラル分が
あまり多く含まれていないので、
塩味が強いのが特長。
酸味(補足説明)
主にこのような用語で表現される
攻撃的な、若々しい、いきいきとした、
引き締まった、かどのある、フレッシュな、
爽やかな、鋭い、鋭利な、上品な、
エレガントな、収斂性のある、豊かな、
すっきり・さっぱり・すっぱい・
きりりとする、ほのかな、かすかな、刺激的な、持続的な、明るい、甘みを帯びた、乾く、
ドライな、みずみずしい、潤いのある、
あっさり、フルーティな、シャープな、
さらりとした、
清涼な、きめの細かい、きれのよい、軽快な、
緻密な、シンプルな、すっぱい味・林檎・
甘酸っぱい・甘さと酸味が共にある・
快さと切なさが入り混じる・気持ち良い・
やるせない・胸が締め付けられる・思いを晴らす方法がない・はっきり・明快・気分が良い・
明瞭・明確・澄み切った状態、強い、弱い、
さらりとした、フレッシュな、さわやかな、
清涼な、きめの細かい、クリーンな、
キリッとした、冴えた、軽快な、重厚な、
角のない、キレの良い、引き締まった、
鮮やかな、爽快な、緻密な、練れた、芳醇な
種類↓
クエン酸
ノンアルコールビバレッジなどを作成する際には、味わいの中心には向かない。
香り、苦味、渋みをアクセントにして
組みたてると形成しやすい
コーヒーでは生豆に含まれ、ローストの過程で
減少していく。(~150℃くらいで急激に減る)
生産地でいうラテンアメリカは特に多い。
リンゴ酸
まろやか、
さわやか(リンゴ、梅、ブドウに含まれる)
こちらもノンアルコールビバレッジなどを
作成する際には、味わいの中心には向かない。
補完的につかうが無難
リンゴやぶどう、梨、バナナなどの果物に
含まれる有機酸の一つです。
リンゴから発見されたことから
リンゴ酸と名付けられました。
リンゴ酸はクエン酸と同じく
体に溜まった乳酸を分解する作用があり
疲労回復に効果があります。
コーヒーではケニア産のコーヒーは
より多く含まれているとされている。 また歯のホワイトニング効果があるとされ
歯磨き粉にも使われています
酢酸
揮発性のある強酸味、リンゴ酸やクエン酸同様に補完的につかうが無難。コーヒーでは、
ローストが深くなれば増加するが、
240℃から下がる。
水洗式の精選段階で作られる。
アルコール臭。ヴィネガー。
酒石酸
ブドウに主に含まれる(ワイン)渋みと
爽やかな酸味
酒石酸とは、レモンやぶどうなどの酸味のある
果実に含まれる有機化合物です。
この酒石酸がカリウム、もしくはナトリウムと
結びつくとそれぞれ酒石酸水素カリウム、
酒石酸ナトリウムという物質になります。
酒石酸は、その酸味を活かし、酸味料として
主に清涼飲料水やゼリーなどに
もちいられることが多い。そのほか、PH調整剤や膨張剤、調味料として使われることもある、
食品添物です。酒石酸は、
ワイン作りの過程で副産物として得られます
乳酸
ヨーグルト、ホエイ(乳製品に含まれる)
ヨーグルトやチーズ、バター、漬物、
日本酒に含まれる。柔らかい酸味
コハク酸
日本酒 旨味、苦味。単純な酸味ではないこともあり、その分面白い使い方はできる
リン酸
コーヒーでは、生豆に蓄えられる。
土壌の中から蓄えられる。
精選方法は水洗式で
溶けてなくなってしまう可能性もある。
やや化学的。
ちょっとコーヒーにフォーカスしますが、
コーヒーは成長過程、精選、焙煎、
抽出方法により「酸」が発生します。
また成長過程においては、
日中の光合成の影響で蔗糖が形成され、
その後分解、細胞補強が行われ、
その中間生成物として酸が作られます。
いわゆる蔗糖が → 酸へ変化する。
つまり、酸を形成していくには日光、
気温が大切であり、
それに影響を与える「どこに植えるか!?」は
何より重要になってくるのです。
ケニアのコーヒーと他の生産地の
「酸」の質が異なるのは、
その土地が織りなすものなのです。
甘味(補足説明)
主にこのような用語で表演される
強い、弱い、さらりとした、ほんのりとした、
なめらかな、まろやかな、やさしい、
さわやかな、すっきりとした、落ち着いた、
柔らかな、濃密な、とろりとした、
ふくらみのある、きめの細かい、艶やかな、
角のない、軽やかな
種類↓
果糖、ブドウ糖、蔗糖
甘みの順位としては
1位:果糖
2位:ショ糖
3位:ブドウ糖
「果糖」
その名の通り果物の甘みとなる元の糖質。
糖質の中では最も甘味が強く、
最も水に溶けやすい糖分。
果物やハチミツに多く含まれています。
果糖は糖の中で最も甘みが強く、
冷やすことで、甘みが強くなります。
果糖が多い果物(りんご、梨、ぶどうなど)は
冷蔵庫に入れると、甘くておいしくなります。
ただし、未熟なものを冷蔵庫で保存すると熟成がとまります。多く含まれるのは果物と清涼飲料水
「ブドウ糖」
ブドウ糖の甘さは弱いですが、後に味が残らないさわやかな味。ブドウ糖は果糖の70%位の甘さ。動物や植物の生命維持に欠かせない
エネルギー源の一つで、果物やハチミツ、
血液などの体液の中に遊離しおり、
自然界で最も多く存在している糖分
「蔗糖」
ショ糖は、ブドウ糖と果糖が合体した結晶の事で、白砂糖などの調味料のことです。
この結晶を大きくしたものが氷砂糖。
いわゆる私達が料理に使ったり、
紅茶に入れたりする砂糖のこと。程よい甘さ。
サトウキビやてんさい、
モロコシやサトウカエデというなどの植物から、
抽出した成分から糖分を抽出したもの。
旨味(補足説明)
強い、弱い、しっかりとした、ふくらみのある、力強い、充実した、ボリューム感のある、
深みのある、芳醇な、存在感のある、
コクのある、厚みのある、
練れた、伸びのある、マイルドな、ソフトな、
やわらかい、まろやかな、なめらかな
旨味物質の分類
(アミノ酸系、核酸系、有機酸系)
うま味を呈する物質は、大きくアミノ酸系、
核酸系、有機酸系に分けられます。
〈アミノ酸系〉
アミノ酸はたんぱく質を構成する最小単位の
物質。たんぱく質自体は無味ですが、
それを構成するアミノ酸には甘味、苦味、
旨味などを中心としたさまざまな味があります。
旨味を呈するアミノ酸の代表的なものは、
昆布や野菜類、
発酵食品に多く含まれるグルタミン酸です。
〈核酸系〉
核酸はヌクレオチドとも呼ばれるリン酸を含んだ物質。生物の代謝や運動エネルギー源となる
アデノシン三リン酸(ATP)が有名です。
旨味物質として知られるのは、
煮干し、かつお節、魚、
肉類に多く含まれるイノシン酸、
干したきのこ類に多く含まれるグアニル酸です。
〈有機酸系〉
有機酸とは一般に窒素を含まない炭素化合物の
ことを言い、
酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸が有名です。
この中でうま味を呈するものは
貝類に多く含まれるコハク酸が知られています。
おまけ
舌触り(マウスフィール)
食べ物を摂取しようと口にする前から
予想をする。その予想と実際に口にした時の
感覚を比較、
食べ物の質を判断する一助としている。
カリカリ、サクサク、なめらか、どっしり、
噛みごたえ、柔らかさ、弾力感、ほろほろ感、
クリーミー、ねっとり、硬い、ツルツル、
ザラザラ、つぶつぶ、熱い、冷たい、生ぬるい、ぱさぱさ、もろい、ネバネバ、
人は総じて、
鮮明で大きな音ほど好ましく感じる。
※「噛みごたえ」
厚みがあって、噛めると錯覚するほど
しっかりした、という意味。
ちなみにマウスフィールや、
ボディ(コク)の種類、強弱を知りたい方は
↓ のような比較テイスティングをすると
味覚を高めることができるますよ!
その他、フルーティな味わいなら
↓↓↓
フローラルな味わいなら
↓↓↓
更なる味覚を高める練習
■シャーベットをブラインドで味わう
視覚で大半味わいが
もっていかれていることが理解できます
■キャンディでの風味確認
ブラインドで食べてフレーバーをあてる。
■酸味の種類
オレンジとバナナ
すっぱいキャンディとマシュマロ
誰でも
スーパーテイスターにはなれるのか?
この問いには、
「皆さんの努力次第」としかお答えできませんが
男性か女性か?だけで判断すれば、
「女性」の方が圧倒的に
スーパーテイスターと呼ばれる方が
多いのは事実です。
一般的な分類
※25% 味が分かりづらい Non-taster
50% Medium-Taster
25% スーパーテイスター
のように分けられ、
女性が多い理由は(特に子供がいる女性)、
子供にものをあげる前に自分が味わう、
という過程を得て味覚が成長する、
といわれています。
妊娠中やその後も
苦味やブロッコリー、グレープフルーツをさける
傾向があり、
タバコ、アルコール消費が少なくなります。
一方で味覚に敏感になることで
食べ物で苦手なものがでてくる、
という側面もあると。
いづれにせよ、
母として子供を守るという防衛本能が、
自身の味覚を高めているとは、
なかなか面白い情報です。
長くなりましたが、
アロマ(香り)、テイスト(味わい)ときて、
次はより深いテイストの話や、
それを活かしたフードとのペアリングについて
書いていければと思います。
それではまた、次回。