【毛巣洞】ケツ毛の刃:第一話~苦痛座椅子編~「尻の毛のせいで入院手術することになった男」
僕は21年間、「ヒト」として生活を続けてきた。
親から授かったこの体、21年という決して短くない年月、僕は有難い事に、特段大きなトラブルもなく、生活することが出来ていた。
しかし、なかなかどうして、「体のバグ」というものは、いつだって思わぬ形で現れるものである。
ねぇ、神様。試練を与えるにしても、もっと良い試練の与え方があったんじゃない?こんな独特な「体のバグ」で、入院ヴァージン、手術ヴァージンを奪われるだなんて。僕、思いもしなかったよ。
さて、
「尻毛」いわゆる「ケ〇毛」のせいで、入院・手術をすることになりました。ヨシダケントと申します。
本職は大学生。並行して、アマチュア音楽活動をしています。
ここからいくつかに分けて連載していくこの文章は、あくまで僕のドキュメント、体験談、エッセイです。
「この病気を知らない人」「この病気に悩む人」
どちらの立場の方にもこの拙文が届けば幸いです。
ネットで調べてもあまりこの件に関する記事が出てこないので。
僕はエンターテインメントとしてこの経験を消化することを選びましたが、なかなかに面倒な病気です。
場所が場所(ケツの病気)だから、肩身が狭いというのもある。
同じ病気で悩んでいる人がクスリと笑ってくれたら嬉しいなぁ。
さあ、僕の闘病の「ケツ」末を、見届けて頂こうじゃないか!
(▲やけにボラギノール感が凄い、僕の写真。「ケツ」というジャンルではボラギノール要素と共通していますが、全く痔とは関係のない病気です。)
第一話:ケツが痛いだけで、世界は曇り空になった。
読者の皆は、ケツが痛くなったことはあるだろうか。きっと生きていれば一度か二度、ケツは痛くなる。人間というのは、そのように出来ている。
電車に長時間座っていた時?体育で尻餅をついた時?固いトイレットペーパーでお尻を拭きすぎた時?便秘の果てに、”DAIBEN”を絞り出した時?
尻は、人間の体の中でも、意外にも痛む機会の多い場所だろう。
(ちなみに僕は全部の痛みを経験している。まぁ、当たり前か。)
そして、だからこそ、共感してくれるはずだ。
「ケツが痛いだけで、世界は曇り空になる」と。
ケツが痛いということは、座ると痛いということ。
座るのが痛いという事は、座るのが辛いということ。
座るということは、人生の上での「癒し」であるはずなのに、
その「癒し」が奪われるのである。
これはまさしく、苦痛そのものである。
今から一年前。2019年の春。僕は、尾てい骨付近に、鈍い痛みを覚えた。
痛みの種類というと、どちらかというと打撲や骨の痛みに近かった。「どこかで尻餅ついたっけな?」という感じ。だが、全くぶつけた心あたりはない。
死ぬほど痛いわけではないのだが、ひたすらに「ウザい」痛みが僕の尻尾のあたりで悲しい声を上げていた。
外で友人と食事をしていても、自宅のデスクでパソコン作業をしていても、「うーん、なんか痛ぇな」という感情が常に取り憑くようになった。
最近の人間の悪い癖。困ったら医者に行く前にGoogle先生に相談するという悪い癖。
僕は、「尾てい骨 痛い」でひたすらにサーチを試みた。
その上で、僕が真っ先に疑ったのは「坐骨神経痛」だった。
「坐骨神経痛」という名前は、皆も聞いたことがあるだろう。
簡単に言えば、坐骨が神経痛になるということ。もう少し詳しく言えば、「おしりから下肢にかけて痛みやしびれが続く状態」…それが、坐骨神経痛である。
坐骨神経痛の原因は様々であるが、
僕はストレスをためるタイプだし、運動不足だし、長時間デスクワークをしているし(大学の勉強もデスクワークだし、ライフワークの音楽活動もデスクワークがメイン)、腰痛にも肩こりにも悩んでいるし、バイトでは重たいものを運んだりもするし、、、、、、、、、
「あれ、俺、坐骨神経痛じゃね?」
と思ったのだ。
みんなも経験があると思う。Googleで症状を調べて、勝手に自分に当てはめて、「あ、俺、この病気じゃない??」と思う経験。
症状に当てはまるというよりは、症状に当てはめてしまうその感じ。
これ、本当によくない。当たり前だが、僕は医者じゃない。自分の体を誰よりも分かっているようで、全くわかっていない。
そんな僕が、独断でこのような判断をしてしまうのは…非常によろしくない。
(もちろん、どの科に診療するかを見極める入口としてネットで判断するのは悪くないと思うけど。)
加えて、この時期、痛いことはもちろん苦痛だったのだが、この時の僕に、反省しないといけないエピソードがある。
それは、
坐骨神経痛は、「瘦せ型の女性がなることが多い」
という真偽の曖昧な記事を見て、
「あれ、もしかして俺、痩せたのかな?色々大変だったしな~」
などとうわ言を抜かしたことだ。
これは本気で「苦労している人」にフルスイングで殴られても良い失言である。
後から分かったことだが、
僕はこの一、二年でむしろ5Kgぐらい体重が増えていたのである。
一切痩せていない。
そして、
生きる事そのものが大変だったことは間違いではないが、
痩せるほどの苦労していないじゃないか!
甘ったれんな!
馬鹿やろー!これだから平成生まれはって言われるんだよーーーー!!!
<ケツ毛の刃 第一章、終わり>
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【次回予告】
そして、グーグル先生の面談により、自分のケツの痛みを自己採点した僕は、「坐骨神経痛」と診察されると思いこみ、近所の整形外科に通う事になって…
「やめて!痛い!マジで痛いから!!」
ヨシダの心の悲鳴の理由とは?
そして、痛みを抱えたまま向かった、バイトの東京出張。
痛みの果てに行きついたのは、
「爆発」だった…。
次回の「ケツ毛の刃」第二話は、
「ヨシダのケツ、マジで爆発」
お楽しみに~
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