結局パリは偉大だった
燦々に輝く日光の下、石畳が敷かれた大きな道路の両側には新緑の木々が連なっている。
お店からは焼きたてのパンや淹れたてのコーヒーの香ばしいかおりが漂ってくる。
Bonjour!
人々は今日も店員との会話を楽しみながら、仕事に向かって行く。
フランスにワーキングホリデーで来て1週間半。
今朝、パリを出発して現在リヨンに向かっています。
来週からは1ヶ月間リヨンの語学学校でフランス語を学ぶ予定です。
リヨンを訪れるのは初めて。
フランス第2の都市で美食の街。『星の王子さま』のサン=テグジュペリの出身地としても知られています。
前回の投稿では、ネガティブなことばかり綴ってしまいました。
不快な思いをされた方がいたら、申し訳なく思いますが、正直な気持ちを綴りました。
ただ、いつも以上にインプレッションが多くありました。
読んでいただきありがとうございます。
今回は逆に、この1週間半でのパリでのポジティブな思い出をお伝えしようと思います。
街並み
フランスの首都・パリは「華の都」と言われます。
長い歴史を持ち、色濃く作られた文化がパリの華やかなイメージを引き出しています。
現在でも、絵画、ファッション、バレエを始め様々な芸術の中心地としての役割を果たしています。
そんなパリ。
以前の投稿で、かつてのパリは「ゴミの都」だったが、コロナ禍を経て綺麗になったと書きました。
1年半ぶりの訪問となった今回のパリも、そのまま綺麗な街を維持していました。
ゴミもほとんど落ちていなく、悪臭もしない。
街中から清々しい雰囲気を感じました。
パリは古くからの街並みをそのまま維持しており、どこまで歩いてもタイムスリップした気分になれます。
どこを切り取っても映える街には、ここが都であることを強く印象付けます。
この時期、すでに夏を迎えており、30度を超える日もありました。
しかし、道路には街路樹が植えてあり、至る所にベンチがあり、疲れたら木の下のベンチで休めます。
パリは歩くのが楽しい街、思わず遠くまで歩きたくなる街でもあると思いました。
楽しく歩けるけれど、実際歩くとなかなか距離があるものです。
パリはかなり大きな都市。
基本的には地下鉄での移動がメインとなります。
東京では新宿や渋谷、上野、浅草、大手町など地域によって雰囲気が大きく異なるように、パリも地域によって雰囲気は大きく異なります。
たとえば8区のシャンゼリゼ通りは、高級ブティックが立ち並び、凱旋門が鎮座する有名な通りですが、あまりパリの市民は訪れません。
対して、1区と4区にまたがるシャトレ駅付近は、パリの市民も多く訪れる地域で、百貨店やショッピングモールがあるため、買い物はなんでも揃います。
北側にサクレクール寺院が立つ18区のモンマルトルの丘。
南側にパリ随一の高層ビルがそびえる14区のモンパルナス。
セーヌ川に浮かぶ、1区と4区にまたがるパリ発祥の地・シテ島。
そのすぐ南側にある、学生が多く集う若者の街・5区のカルチェラタン。
日本食レストランが充実してる9区のオペラガルニエ付近。
近年、アートの街として注目され出した3区と4区にまたがるマレ地区。
ほかにもいろんな地域があり、それぞれ個性が際立っています。
慣れてくると、1区から20区までの区分けも意識するようになり、パリの人たちとの会話も深くできるようになります。
美術館
アートを見るのが好きな僕にとって、美術館がたくさんあるパリは好きが爆発したような街。
(実際、今回はネガティブが多かったため、心から楽しめなかったのが惜しいですが、、)
今回はルーブル美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館の3つに行ってみました。
ルーブル美術館
まずはルーブル美術館(Musée du Louvre)。
言わずと知れた超有名な美術館。
建物はルーブル宮という旧宮廷を美術館にしたものです。
そのため、絵画や彫刻だけでなく、この建物自体もアートの一つとして扱っています。
僕は年間パスポートの「ルーブルの友」(Amis du Louvre)を購入しました。
29歳以下だと35€と定価よりかなり安く、もうすぐ30歳になる自分としては滑り込みでした。
有名作品は、
レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナリザ」
ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」
フェルメール「レースを編む女」
「サモトラケのニケ」
「ミロのヴィーナス」
「ハンムラビ法典」
ほか多数
この美術館はとにかく規模が大きく、有名作品も山のようにあります。
50万点にも及ぶアート全てをじっくり見るのはとても不可能に近いと思います。
また、大半の作品は2月革命以前(〜1848年)のものとなっています。
そのため、印象派以降のフランスアートや現代アートはほとんど置かれていません。
僕は今回2回目の訪問でした。
やはりルーブルはすごかった。
シンプルな感情を抱きました。
僕は印象派が好きなため、この美術館に自分にとってど真ん中のような作品はありません。
しかし、アートから感じる歴史やその重み、そしてその威圧感。
決してスマホ画面からは伝わらない空気感がひしひしと感じられます。
これらの絵が描かれた時代、人々はどのように暮らし、どのような未来を想起していたんだろう?
美術館を歩きながら考えるのが楽しいものです。
モナリザめっちゃ遠いし、フェルメールめっちゃ小さいし、、、
思ってたのと違うものもあるけど、それもまた自分の知識に入るのがいいなぁと思います。
オルセー美術館
続いて、オルセー美術館(Musée d'Orsay)。
ここはかつての鉄道駅を改装して作られた美術館。
どことなく駅の面影も感じられます。
こちらでオルセーとオランジュリーの両美術館共通の年間パスポート「Carte Blanche」(直訳:白いカード)を購入しました。
こちらは35歳までが25€と安く購入できます。
パリの美術館は入場料はなかなか高額ですが、若者向けの年パスだけは良心的です。
最初に言ってしまうと、僕はルーブルよりオルセー派です。
オルセー美術館はルーブルに展示されているもの以降から第一次世界大戦まで(1848年〜1914年)の作品が展示されています。
つまり、印象派やポスト印象派など、時代が変わりフランス絵画が最も勢いがあった時代の作品がメインになります。
有名な作品は、
モネ「睡蓮」
ミレー「落穂拾い」
マネ「草上の昼食」
ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」
モネ「サンラザール駅」
ゴッホ「自画像」
ほか多数
僕は行った時間が午後だったため、相当混雑していました。
5階の印象派ゾーンはゆっくり眺めるのが困難なくらいです。
好きな作品はじっくり眺めたいだけに、少し居心地の悪い鑑賞となりました。
モネ、ルノワール、ピサロ、ドガ、マネ、シスレー、、
印象派の中心的な画家たちの作品が山ほど展示されています。
本当に贅沢…!
また、今回行ったタイミングで、「印象派生誕150年記念展」を開催していました。
これが本当に贅沢!
印象派の著名な作品をあえて一箇所にギュッとまとめて、印象派誕生前夜の背景を踏まえながら展示していました。
僕の大好きな作品、モネの「印象・日の出」もマルモッタン美術館から特別に貸与されており、これ以上ない上質な展示でした。
最高に幸せです。
オランジュリー美術館
最後に、オランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie)。
この美術館はルーブルやオルセーと比べると規模は小さく、1時間もあれば見終わってしまいます。
テュイルリー庭園の中にあり、元々はオレンジ用の温室だったことから名付けられました。
ここの目玉はモネの「睡蓮」。
連作で知られる睡蓮のうち、大装飾画と呼ばれる幅4mを超える大きな作品を8枚展示しています。
壁一面モネ。
そんな贅沢を味わえる、モネファンのための美術館とも言えます。
オルセー美術館で買った年パス片手に鑑賞。
その睡蓮の圧巻さに息を呑んでしまいました。
同じ睡蓮でも描かれている対象や色使いは異なり、どれもとても個性的です。
僕はエメラルドグリーンやスカイブルーの淡い色使いにモネの良さを感じるので、それらを使った作品がとても気に入りました。
その他
今回は見なかったものの、僕は現代アートもすきです。
次にパリに訪れる際は、ポンピドゥーセンターの現代美術館に行きたいと密かに思っています。
アートはまだまだ語れますが、長くなったのでこの辺りでやめておきます。
パリの人たち
パリの街中を歩いてる人たちは、どこか陽気に見えます。
あくまで主観ですが、パリという街を楽しんでいるそぶりさえ見えます。
ベンチに座って本を読んでる人、セーヌ川沿いでのんびりしてる人、芝生の上でゴロゴロしてる人。
みんな家の中ではなく、パリという街の中を楽しんでいました。
この空間にいることそれ自体に価値がある。
まるでそんなことを言われてる気分でした。
イヤホンを付けて歩いている人はほとんどいません。
歩きスマホをしてる人もほとんどいません。
僕は東京に多くいるイヤホンしてスマホをいじりながら歩く人が苦手です。
街を拒絶して自分の殻に閉じこもってる感じがするからです。
パリの人たちは自分の殻にこもらず、外部とのコネクトしている感じがとても良いなと思いました。
よく言われる「フランス人は日本が好き」。
この実態はイエスと言っても良いんじゃないかと思います。
たまたま知り合ったフランス人は、日本がとても好きで、日本語を学んでいると言ってました。
アニメ、マンガ、ゲームのみならず、伝統、建築、礼儀まで。
日本に憧れるフランス人はたくさんいます。
日本人がフランスに憧れるように、フランス人も日本に憧れる。
隣の芝生は青いけれど、お互いがお互いを思い、リスペクトするのも良いなと思います。
ただ、その離婚率の高さや戦闘民族の血など。
日本と大きく異なる点があることを忘れてはいけません。
さいごに
パリでの生活は、自分自身の状況から比較的ネガティブ続きのものとなってしまいました。
しかしながら、ふとした時に感じる「みんなが憧れたパリにいる」という感覚は少しだけ自分を奮い立たせるものでもありました。
いつまでも明るい夏の夜、安いお酒を片手に。
格安日本人宿で出会った人たちもまた最高のものでした。
これからどうしよう。
同じ思いを抱えながらも、将来に向けて頑張る姿は刺激でした。
日本でサラリーマンをしていたらできなかっただろうな。
自分の不安定な状況は気になってしまうけど、
それでもこのパリでの日々はキラキラした思い出として光ります。
いつもなにか素敵なことが
あなたを待つよシャンゼリゼ
早くも懐かしさを感じてしまうパリの日々でした。
またすぐに戻ってきたいな!
↓ワーホリのきっかけなどはこちらに書いています。