モンテネグロの山の中にある美しく可愛い町へ 〜世界遺産・コトル〜
1ヶ月間の旅は2週間が経過し、いよいよ折り返しに入ろうとしています。当初はエーゲ海周辺だったものが、何が起きたのかバルカン半島旅行となっていました。
この間、幸いにも天気が崩れることはなく、タイトなスケジュールの中でも毎日アクティブに動き回ることができました。
昨日の朝、僕はモンテネグロの首都ポドゴリツァを出発し、次なる目的地・コトルに向かいました。
バスに乗った瞬間、大雨が降ってくるも、2時間のバス旅を終えてコトルに着いた瞬間、雨はピタッと止み、太陽が顔を覗かせました。
なんて幸運なんだろうか。
少し不安になるくらいの運に恵まれ、僕は初めて訪れる山間の世界遺産の町に繰り出しました。
今回は、モンテネグロでいちばんの観光名所であり、「世界の行きたい絶景」にもしばしば取り上げられるコトル観光の様子についてお伝えします。
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コトルという町
コトル(Kotor)は、コトル湾という入り組んだ湾の沿岸に位置する町で、地域一帯は「コトルの自然と文化歴史地域」の名で世界遺産に制定されています。
ヴェネツィア王国によって建設されたため、ヴェネツィアの景観に近いものが見られます。
コトル湾はリアス式海岸ではあるものの北欧のフィヨルドに近い地形をしているため、大型客船の寄港が可能です。そのため、陸路だけでなく海路からのアクセスも可能です。
町は小さく、一日あれば見終えてしまいます。モンテネグロに位置しているものの、ボスニア・ヘルツェゴビナやクロアチアからも近く、それらの国を観光したついでに訪れる人も多くいるそうです。
知る人ぞ知る。モンテネグロの観光名所を訪れました。
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第一印象
ポドゴリツァを出発したバスは、大雨の中モンテネグロの大地の中を進んでいきます。
途中、アドリア海沿岸地域までバスは来ていました。久しぶりとなる海に感動するも、大雨のため車窓からの景観は悪いものでした。
コトルも雨だったらどうしよう。
そんな不安を抱えながらも、バスは峠を越えてコトルのバスターミナルに到着します。
到着した瞬間、雨はピタッと止みました。
なんと!
それから徐々に雲も薄くなり、青空も見え始めました。なんたる強運。
そんな偶然に感動するのも束の間、ここコトルという場所がとんでもない場所に位置していることに気づき、より一層驚きます。
360度見渡す限り断崖絶壁の岩々。その間に広がる青々とした海。そしてその海と岸壁の間にぎっしり詰め込まれた赤い屋根の建物たち。
なんだここ!!
これまで2週間いろんなところに行って、自然が織りなす壮大さや建築物をはじめとした美しさなど自然・文化の両面でいろんな景色を見てきました。
しかし、コトルの景色はそれらを凌駕する壮大さがありました。
絶景に囲まれながら道を歩くと、そこはまるでレッドカーペット。
仰々しいことは承知の上ですが、こんな体験なかなか得られません。
息を飲むような美しさ、そして豪快さ。コトルが只者じゃないことを深く理解しました。この時の強い衝撃は今後も忘れることがないでしょう。
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旧市街散策
お腹が減ったので、コトル名物と言われる「モンテネグロBBQ」なるものを食べました。いくつかの種類のこってり焼かれたお肉を、濃いソースで豪快に食べます。
偶然か?昨日食べたポペツィもそうですが、この国の食べ物はやたらと高カロリー。
でもこれからの観光に備えてぺろっと食べてしまいます。幸せな20分でした。
食べ終えてから、いざ町に向かいます。城の門をくぐった先は、旧市街です。
このコトル旧市街は、狭い地域に小さな建物がぎっしりと詰められています。ヴェネツィアの影響を強く受けているそうですが、僕もここでヴェネツィアの路地を歩き回った学生時代の旅を思い出しました。
路地にはカフェ・レストランや宝飾品、アパレルなど、いろんなお店があります。
いくつか広場があり、その広場の前に立つ教会はとても存在感が大きく、路地を抜けた先に出会える感動がありました。
この迷路のような町を迷子のように歩いてみます。次はどんな景色があるんだろう。そんなワクワク感があります。
エリアは狭いため、1時間もかからずに見終えてしまいます。あっという間だったものの楽しさは頂点に達しています。
しかし、コトルにはもうひとつ大きな見所があります。
目の前には垂直にそびえる岩壁、そしてその岩に張り付くように巡らされた階段。
旧市街を散策するだけではなく、岩の上から町を見下ろせるのです。
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高台からの絶景
旧市街の中に石段を登るコースがありますが、僕はネットで調べていた裏道ルートを通っていくことにしました。
旧市街を出て、川を越えたところにある登山口から入り、ハイキングコースで頂上を目指します。
ギリシャのメテオラ、コソボのプリズレンでも山登りのようなことをしましたが、ここはそれらよりも本格的なもの。クネクネとした道をひたすらに登り続けます。
太陽はギラギラ輝き、冬の面影が残るコトルも気温が上がっていきます。徐々に額に汗がにじんできます。
しばらく上がっていくと、眼下にとても綺麗な景色が広がっていました。
青い空、澄み切った海、隆々とした黒い岩肌、そして赤い屋根の小さな家々。
その美しさにしばらく身動きが取れなくなってしまいました。
これだ。これなんだ。世界の絶景にしばしば取り上げられると言われているコトルの景色はこれなんだ。
それまでの疲れも吹っ飛ぶ感動体験でした。
一番頂上までは行かず、中腹でしばらく休むことにしました。この絶景を脳裏に焼き付けます。
これまで世界中いろんなところに行って、いろんな景色を見てきました。しかし、それでもまだ味わえるこの感動体験。
コトルに来れて本当に良かった。
心の底から思ったし、ここまでたどり着いた自分を褒めたい気分でした。
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一緒に行動
途中、たまたま道中で出会った中国人のグループとインド人のグループと一緒に行動することにしました。
中国人の彼らはロンドンの大学に通う学生。インド人の彼らはベルリンの工場で働くエンジニア。どちらも外国で生活をしており、国ごとの違いという話で盛り上がりました。
僕はフィリピンとジョージアで生活していたので、その話もしてみます。みんながグローバルゆえ、引き出しも多く、とても面白い会話でした。
ただ、インド人の彼らにとって、日本と中国はほぼ同じ国、といった印象があるみたいです。
まだまだ世界の人たちにとってはそのような認識なんだな、と感じました。これもひとつの教訓です。
絶景を見終え、彼らと一緒に下山していきます。下りはとてもスムーズでした。
降りてから旧市街の近くの店でスイーツを食べました。ただ、向こうの意見に流される形で、少し振り回されてしまいました。
たまには良いか、と思いつつも、やっぱり自分はひとり旅が好きだってことに気づいてしまいました。
僕が心から信頼しているとは言えない関係性の人と一緒にいると、どうも相手に合わせてしまいます。迷惑をかけたくない、という気持ちからなのでしょう。
そんな時、行きたいところや食べたいものなど自分が本当にやりたいことができないモヤモヤ感を感じてしまいます。良くない。
これも一つの学びだと割り切ることにしました。
日が沈むのが早いこの地域は6時を迎える頃にはすでに真っ暗になっていました。
夜、彼らと別れ、再びひとりでこの旧市街を歩きます。観光客のほぼない夜の旧市街は、日中とは違った趣を見せます。
闇夜に照らされたいくつもの建物は、独特の雰囲気を感じ、また違った印象を受けました。
昼と夜で二度楽しい。
コトルという町に完全に虜になっている自分がいました。
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まとめ
このコトルという町がなぜ人々にとって魅力的に映るかがよくわかりました。
自然が織りなす美しさ、歴史ある小さな町の可愛さ、それらを一度に楽しめる贅沢さ。
あまり情報を仕入れずに来てしまったことを後悔しましたが、それでもこの町の魅力を存分に味わえました。
日本人にとってあまり馴染みのないモンテネグロという国に、こんな秘境があるなんて。
旅はやっぱり面白い。つくづくそう思いました。
天気に恵まれた運にも感謝だし、学びもありました。
1ヶ月間、無計画に進んでいた旅もそろそろ折り返し地点に入ります。
その場所は、アドリア海の真珠。あの街です。
まだまだ旅は続きます。
旅の様子はこちらにまとめています。
僕のことは以下の記事で紹介しています。
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それでは、また明日お会いしましょう!
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