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フランスの田舎町で過ごした4ヶ月

ゼロから頑張ることが大事。

気付いたら周りには味方ができてるから。



Bonjour!
ワーキングホリデーで2024年6月からフランスに来ています。
南仏プロヴァンスの町「サン=レミ=ド=プロヴァンス」(サンレミ)にある日本食レストランで働いていましたが、ついに最終日を迎えました
今は、次の目的地パリまでゆっくり旅をしながら向かっています。

9月から始めたこの仕事は、当初の予定通り4ヶ月間で終了しました。
このサンレミでの濃密な生活が終わり、今はすっきりした気持ちです。

振り返るといろんなことがありました。
感情の起伏がとても多く、つらくて涙を流した日もあれば、楽しくてはしゃいだ日もあります。
プロヴァンスの広大な平原にある人口1万人ののんびりした町で僕は忙しい日々を過ごしていました。


僕はこの仕事を始めるまで、サンレミという場所を全く知りませんでした。
そもそも南仏プロヴァンスに来たのも、今回が初めて。
まさに未知の場所への挑戦でした。



サンレミでの仕事

仕事は、ネットの掲示板で見つけた日本食レストランで、キッチンとサービスの両方を兼任する形で働きました。
火曜日から土曜日の週5日間、昼と夜の営業を休まずに働きました。

通常メニューは全て作れるようになり、配膳からオーダー取り、レジ打ちまで、キッチンもサービスも基本的な常務は全てこなせるようになりました。

フランス語での接客や予約の電話取りもこなしていきました。
最初は話せなくて戸惑ったものの、次第に慣れていき、気付いたら自ら進んで取り組んでいました。

僕を含めてスタッフは3人。
忙しい時も暇な時もいつでも3人で回し、仕事の日は昼ご飯も夜ご飯も常に共にしていました。

おかげでコンビネーションは抜群。
特に忙しい時は、他のスタッフと協力しつつ、空いてるところを補うように仕事をしていきました。

難しいことも多かったものの、やりがいを感じられ、強い納得感がありました。
また、改めて4ヶ月という短い雇用期間でもいろいろと任せてもらえた感謝があります。

自分ができることを進んでやる。
仕事をする上での基本、かつ大切なことを知った期間でした。

少ないメンバーでお店を回すには、他のスタッフからの信頼が必要。
一から人間関係を築き、自分のことを信頼してもらえた嬉しさもありつつ、そのような自分になれたことへの嬉しさもあります。

サンレミでの仕事は、そんなスキルアップと信頼感の両方を獲得できました。



サンレミでの生活

この町の生活は、どちらかと言うと大変なことの方が多くありました。

印象的なのは毎日の通勤です。
家からお店まで片道30分を毎日朝と夜、歩いて通勤する生活でした。

正直、つらかった。
お店での仕事が立ちっぱなしなのに、仕事が終わって家に帰るまでもずっと歩かなきゃいけない。

帰り道は街灯もない漆黒の闇に包まれた中、スマホのライト頼りにひとりで歩いていました。
空には満天の星。しかし、それはそれ。
比較的一人が好きな自分でも、さすがにこの時間は寂しかったものです。
本当に毎日よくやったと、振り返って強く思います。

振り返ると、コロナ禍でリモートで働く習慣ができてから、僕はそれ以降ほぼ全ての仕事を自宅からしていました。
たまにひっそり旅行しながら働いたことはあるものの、通勤はほぼしていません。
だから、そのギャップにはなかなか慣れませんでした。

しかし、僕はその30分を活かすことも考えました。
フランス語のリスニング教材を聴いたり、世界史の解説ラジオを聴いたり。
勉強時間にすることでなんとか満足感を高めていきました。

でも、精神的にしんどかった時は元気になるJ-Popをひたすら聴きました。
日本にいた頃はあまり音楽を聴く習慣のなかった僕ですが、フランスの田舎町に来てから、J-Popにハマりました。

今後の人生、どこでどんな仕事をするかはわかりません。
しかし、せめて遠い場所に歩いて通う仕事は避けたいし、そうなるように自分でコントロールしていきたいと思いました。


他にも、サンレミは他の町へのアクセスの悪さも印象的です。
電車が走っていないため、車を持っていないと、移動は路線バスに限られます。

近隣のアヴィニョンまでは、毎日バスが運行しています。
しかし、日曜日になるとその本数が一気に減り、町に閉じ込められたように、往来がしづらくなります。
また、最終バスの時間も早く、19時を過ぎるともはや選択肢がなくなります。

僕のように旅が好きな人間にとっては、これはなかなかストレスでした。
ヒッチハイクをするようになったのも、この旅への欲求を止められなかったから。

しかし、そのおかげでいろんなドラマが生まれました。
奇妙な出会いもあれば、大変な思い出もあります。

東京生まれで不便を知らずに大人になった僕にとっては、ここでの生活はなかなか考えさせられるものでした。
当たり前に享受していた移動の自由がどれだけ貴重だったか。
その重みを実感することになりました。

とはいえ市街地は素敵な空間が広がっています。
ブティックやグラスリー、カフェが軒を連ね、いつも楽しい雰囲気で包まれています。
ゴッホの聖地巡りを始め、旅行で訪れる価値はあるため、ぜひみなさん足を運んでみてください。
ただ、日曜日と夜中のバスにだけご注意を。



サンレミで学んだこと

僕自身、これまでパソコンでのデスクワークの仕事をすることが多かったため、対面の仕事を一定期間することは久しぶりのことでした。

この仕事を通して気付いたことがあります。
それは、僕は目の前にいる人をポジティブにすることが好き、ということ。
その人が落ち込んでても、そうでなくても、僕と関わることで何か気持ちの変化があったらいいなって思いました。

きっかけは仕事中、キッチンよりもサービスの方がやりがいを感じたこと。
お客さんが喜んでくれる姿を見れるのがとても嬉しく、良い気持ちになりました。
もちろん、お客さんだけでなく他のスタッフに対しても。
人をポジティブにさせることが僕の喜びになると実感しました。

何か新しい知識を与えたり、その人の良い点を伝えたり。はたまた、笑顔で接するだけでも。
手法を問わず、僕が関わることで少しでも目の前の人が元気になったり、何かにやる気が出たり、ポジティブになってくれたら僕も嬉しい。

お店に来てくれたお客さんから同じ場所で働いているスタッフまで、関わる人全員をハッピーにさせたい。
この経験は僕の今後のキャリアで一つのカギになる気がします。


対して、僕は厳しく叱責する人が苦手、ということを再認識しました。
人からネガティブを受け取ると、与えた側の思い以上に僕は心が傷つくことがわかりました。
我慢はできても、心はそのつらさを忘れない。
サラッと受け流すことが苦手なので、それが効果的なアドバイスであっても効きません。(なので効果的ではない)

怒られたくない、というと驕りのように聞こえます。
しかし、僕は傷つくことが嫌だし、それで悲しい思いをするとしばらく立ち直れなくなる。
結果的に仕事にも悪い影響を及ぼすし、強い自己嫌悪に陥ります。

だから、僕は僕を傷つける人とは関わりたくないし、関わらないように生きていきたい、と強く思いました。
(もっとも怒られないように生きるのも大事なのかもしれませんが、それって難しいし生きづらいですよね?)


何の仕事をしていこうか。
悩みながら行動を続けて今に至ります。

今回、飲食店の仕事をして、残念ながらこの仕事があまり自分に向いてないことを少し感じています。
立ち仕事は体力的にしんどいし、料理をつくることにあまり興味が湧かない。

良い思い出もたくさんできたし、自分なりにここに居場所を見つけられました。
しかし、この仕事は自分の仕事ではない
全力で働いたからこそ、この事実に気づきました。

そして、やっぱり関わる人は自分で選べるようになりたい。
ひとまずフリーランスの仕事をもっと拡大できるように注力していきたいです。

僕は優しくてポジティブな人が好き。
能力の高さよりも、明るくて元気な人と一緒に働きたい。
僕が目指す理想「優しい世界で自由に暮らす」を実現するには、自分で仕事をするのが必須だと再認識しました。

とはいえ、そうすぐに実現できるものでもありません。
ひとまず、次の拠点・パリでは、再び日本食レストランで働き、自分の感覚を再度確かめてみたいと思います。



さいごに

町を出る最後の夜、お世話になったスタッフのご好意で、僕の送別会を開いてもらいました。
急遽レストランのオーナーも来ることになり、想像以上に大きなパーティとなりました。

そこで、スタッフとオーナーのふたりから僕に対する印象やお褒めの言葉をもらいました。
思わぬ展開に驚き、そして心から嬉しい気持ちになりました。

ITという別の畑から来た一人の若者に対して、ここまで親身に接してくれる。
改めて、良い人に恵まれたと思ったし、頑張って良かったと実感しました。

終わり良ければ、というわけではないですが(笑)、僕はこの町に来て本当に良かった。

みんなと別れを告げ、一人でバスに乗った時、急に寂しい気持ちが押し寄せました。
誰一人知らない場所でゼロから人間関係を築いてきた。
その事実にこの時気づきました。


ワーホリという限られた1年間。
どこでどうするかは本人の自由。

それでも少しでも何か学んで、何か楽しい思いができたら良いな。

次に向かうは花の都・パリ。
ここでもゼロから頑張っていこうと思います。

これからもフランスでの生活は続きます。




↓ワーホリのきっかけなどはこちらに書いてます。

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