生命力が高くなる海外の家なし生活
海外生活と一口に言っても、いろんな種類があります。
景色の良いタワマンに優雅に暮らしたり、山間の村で大自然に囲まれたり。
これらの情景を想像する人は少なくないでしょう。しかし、国にもよるけれど実際の海外生活とは意外に普通の日常だったりもします。
海外という「場所」に期待を求めるのは良いけれど、「理想」だけで海外に出ると、困難にあたることが多いかもしれません。
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僕は今、東欧の国・ジョージアで家のない生活をしています。
家がないけれど、路上でホームレス生活をしているわけではなく、「アドレスホッパー」と呼ばれる「定住する家を持たずに移動しながらの生活」を送っています。
僕はまだ収入のないフリーランス初心者という立場で、日々貯金のみで生計を立てています。だからホテルや民泊物件といった高価な部屋には泊まらずに、ゲストハウスを転々として節約しながらの生活を送っています。
この生活の最大の長所は、好きな時に好きな場所に行けることだと思います。そもそも海外ノマドワークをすると決めた時点で、この生活は確約されましたが、どこに行ってもいいし、どこで泊まってもいいのです。
この生活で、僕は何にも変えられない自由を実現しています。
ゲストハウスはWi-Fiが備わっているため作業はできるし、洗濯機もキッチンも完備されており、日常生活を送ることが可能です。
加えて、ゲストハウスは人と出会える場所でもあります。いろんな国の旅人やノマドワーカーと交流でき、驚きや感動を感じることもあります。
しかし、長所があれば短所もあります。
まずプライベート空間がほぼないこと。ゲストハウスの生活はプライベート空間がベッド上のみに限られ、なかなかひとりの空間をつくれません。
そして、宿を探して予約をしたり、移動しなければならない手間があること。宿探しや移動は最初は楽しかったものの、次第に面倒になってしまいます。結局僕は同じところで長く生活することが多くなっています。
他にもたくさん不便なことがありますが、それ以上に「自由を謳歌できる」という点に魅力を感じ、僕はまだこの生活をしばらく続けようと思っています。
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そんな生活を続けていると、僕は「自分はどこでも住める」という感覚を抱く時があります。
特に安いゲストハウスに宿泊した時など、決まって何かのトラブルが起こります。
クーラーガンガンの部屋、水しか出ないシャワー、ロッカーすら存在しないセキュリティ、夜中でもうるさすぎる声やいびき。
ゲストハウスは「寝る場所の提供」という目的があるので、それ以外のホスピタリティは軽視されることもあり、日本の生活基準で考えるとありえないようなトラブルを多く経験します。
そういった生活を続けていくうちに、多少のトラブルも気にならなくなってきます。以前、衛生感に関する投稿をしましたが、これもそのうちのひとつです。
「またこれか」と思い、別の宿に行くまでの数日間だけ仕方なくその場を受け入れられるようになります。そして気づいたら、その生活にも慣れてしまうのです。
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今朝、顔を洗うために蛇口をひねったら、水が出ませんでした。
「またこれか」ジョージアでは断水は日常茶飯事です。
仕方なくペットボトルの水を使って、顔を洗って歯を磨きます。
日本だったらパニックになってしまうことでも、この生活に慣れてしまうと冷静に対応できるようになるし、苦しいとも思わなくなります。
「自分はどこでも住める」という感覚を持てたことで、僕は成長した実感を持っています。一生この生活を続けていきたくはないけれど、便利になっていく世の中で、今のうちにこのような滅茶苦茶な経験しておきたいと思っています。
トラブルが起きた際、その状況を受け止めて対応し、適応していく。この経験こそが生命力を高くしていくし、自分なりのキャパシティを広げられる気がします。
そして、それも楽しく生きていくひとつの手段になっていくのではないでしょうか。
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サムネイルの撮影場所はバトゥミ市場(バトゥミ)