見出し画像

パリに来てから塞ぎ込んだ話

もっとパリの街を楽しまなきゃ。

今がその時だった。



Bonjour!
2024年の6月からワーキングホリデーでフランスに来ています。
今はパリにある日本食レストランで働きながら、フリーランスのWebデザイナーとしても活動しています。

2月になりました。
2025年が始まったばかりだと思っていたのに、あっという間に1ヶ月が経ってしまいました。
個人的に、引越しや新しい仕事など、大きな変化の多かった1ヶ月間。
充実感のあるイベントがあった一方で、年々速くなる時間の流れには驚かされます。

そして、ワーキングホリデービザの期限まで残り4ヶ月あまり。
フランスで過ごせる時間が、少しずつ短くなっていくのを実感します。



パリに来て3週間が経ちました。
振り返ってみると、特に何かをしたという実感がありません。

新しく始めた日本食レストランでの仕事は、とにかく慣れるのに必死でした。
オペレーションを覚え、自分なりに効率を考えながら動く日々。
少しでも期待に応えられるようにと、一回一回のシフトに毎回全力で臨んでいました。

唯一のハイライトといえば、弾丸で訪れたオランダのアムステルダム。
ずっと行きたかったゴッホ美術館に行くことができ、大満足でした。
作品をじっくり鑑賞し、街を歩き、リフレッシュできた気がします。
旅行をしている時が一番ワクワクするのは間違いありません。

一見、充実した日々を過ごしているように思えますが、実際のところは違いました。
身体が重く、ずっと疲れている感覚。
なのに、夜になると寝つきが悪く、途中で何度も目が覚めてしまう。

気が付けば、何もする気が起きなくなっていました。

仕事が休みの日は、一日中部屋にこもりっぱなし。
昼前に起きてから、YouTubeの動画を見たり、SNSを無心でスクロールしたり、ワインを開けたり。
パリに来て間もないのに、こんなにも堕落した生活を送ってしまうなんて。



なぜこんなにも気分が落ち込んでしまったのか。
理由はいくつかあると思います。

冬の寒さとどんよりとした天気。
交友関係の少なさ。
そして、ひとつの目標を達成したことによる気の緩み。

それらが積み重なり、僕をどんどん出不精に追い込んでいきました。。

パリに来てからの3週間、空はほぼ毎日分厚い雲に覆われ、雨の日も多くありました。
朝起きても、昼になっても、夕方になっても、このどんよりとした景色は変わらない。
ビタミンDのサプリメントは毎日欠かせません。
南仏プロヴァンスで毎日見ていた、あの澄んだ青空を思い出す日々でした。

せっかくパリに来たんだから、夜飲みに出かけたい。
そう思っても、一緒に行く相手がいない。
結果、ひとりで部屋で飲むことが増え、気づいたら本数も増えてました。

さらに、ずっと住みたかったはずのパリに来たけれど、そこで目標を達成してしまったこと。
「パリに行けば楽しいはず」と思っていたけれど、具体的に何をやりたかったのかわからなくなってしまいました。

期待していた場所に来たのに、気持ちは上がらない。
むしろ、どこか空虚な気分になってしまう。

そんな状態が続くうちに、知らず知らずのうちにネガティブな気持ちが強くなっていきました。



パリは、これまで暮らしていた南仏プロヴァンスとは、あまりにも環境が違いました。
それは天気や人間関係だけではありません。
生活する上での利便性も大きく変わったのです。

パリは交通網が発達していて、どこへ行くにも地下鉄やバスですぐに移動できます。
また、スーパーもあちこちにあり、欲しいものはすぐ手に入ります。
さらに、仕事のために地下鉄の定期券を購入したおかげで、いつでも好きなときに自由に移動できることができます。

便利すぎるからか、いつしか「いつでも行けるし、今日は面倒だからやめておこう」と思うようになっていました。
「また今度」と後回しにするうちに、何もしない日が増えていったのです。

結果として、ますます部屋にこもる時間が長くなり、気持ちの沈みを加速させてしまったように思います。

南仏プロヴァンスにいた頃は、行動するのに多少の労力が必要でした。
町から出るバスの本数が少なく、買い物や外出のために、毎回ある程度の計画を立てていました。
それはつまり、すぐに動く習慣がついていたことだったと今になって気づきました。

環境が変わり、便利になったはずなのに、皮肉にもそれが自分を堕落させる要因のひとつになっていたのです。



心理学には「パリ症候群(パリ・シンドローム)」という少しユニークな概念があります。
パリに強い憧れを抱いて訪れたものの、実際は想像していたほど綺麗ではなかったり、言語や文化の違いに戸惑ったりして、精神的に強いストレスを感じる現象のこと。
要は、理想と現実のギャップを感じてしまうということ。
場合によっては、鬱に近い症状を発症してしまうこともあるそうです。

この概念は、日本の精神科医によって提唱されたもので、日本人旅行者や滞在者の間で知られていますが、一部のフランス人の間でも認知されています。
フランスに住んだことのある日本人であれば、少なくともこの言葉の意味には共感できる部分があるのではないでしょうか。

では、僕のこの状況はパリ症候群なのか?
実際に診察を受けたわけではないので、確定的なことは言えません。
しかし、気分の落ち込みや無気力感といった症状を考えると、少し近いものがあるように感じています。

僕はもともとこの言葉を知っていたし、そもそもパリへはこれまでも何度か訪れたことがありました。
そのため、このような理想と現実のギャップによるショックを受けるなんて想像もしていませんでした。
それでも、実際に住んでみると、気づかぬうちに精神的な疲労が溜まり、モチベーションが下がっていたのです。



2月になりました。
月の変わり目は、気持ちを新たにする良いタイミングです。
実際、この数日はポジティブな気持ちで過ごせています。

ちょうど天気も良かったので、パリの街をあちこち歩いてみました。
公園には、日光を浴びながら思い思いの時間を過ごしている人たちの姿がありました。

楽しそうに談笑する人、本を読む人、ベンチで昼寝をする人。
そんな穏やかで自由な光景を眺めているうちに、自分の中にも少しずつワクワクする気持ちが芽生えてきました。

もっとパリの街を楽しみたい。
一時的に気持ちが沈んでしまったけれど、ここで切り替えてみよう。

焦る気持ちを抑えながら、自分のペースで自分らしく。
せっかくパリに来たんだから、楽しんで過ごせたらいいなと思います。

これからもパリでの生活は続きます。




↓ワーホリのきっかけなどはこちらに書いてます。

いいなと思ったら応援しよう!