街は光り輝いている。
人やモノは輝きを放つ恒星や、明るく流れる星屑たちに憧れている。
宵闇を知らぬままに、人々は明け方の空のその色だけを目に写す。
誰の目にも光は反射して、それは無限の可能性と未来を創り出している。
けれど、それは時々苦しい。
あまりにも小さな自分の光が、誰かが放ったのか、あるいは大きく反射したその光に埋もれかけている。
光を遮るのはいつも光。
そこに陰は潜んですらいない。
大きな木は、一枚一枚の小さな葉がその命を巡らせている。葉は風に靡いて、雫を垂らし、それでも光のある方へと力強く息を吐く。
葉に当たって反射した光は、決して輝きを放つようなものじゃない。
けれど、それはとても美しい。
微妙に曇ったその光を、僕らは美しいと感じることができる。
どこか遠いところから呼びかけてくる。
僕らはその光を全身で吸い込んで、また吐き出している。
(211210)
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